断腸亭料理日記2007

西浅草・手打そば・おざわ

3月17日(日)昼

さて、今日は朝起きると、そばが食いたかった。

なにか、忘れていたようであるが、西浅草へ引っ越した、
おざわ、で、ある。

`06年7月

`06年8月

(そういえば、昨年の秋のお彼岸、浅草寺での放生会の帰りにも
寄ったのであった。21日の春のお彼岸にもご招待を受けていたのであった。
この寒さで伝法院様の桜花はちょっと先になりそうだが、、。)

おざわは、日曜もやっていたはずである。

いくとなると、一杯呑みたい。
そうすると、ここは、一人よりは、
二人の方が落ち着ける気がする。

なぜであろうか。
(この分析は、おざわだけでなく、そもそも、外で、
呑み食いするときは、一人がいいのか、二人がいいのか、
大勢がいいのか、、という問題にいきあたる。
むろん場所によっても違うし、気分もある。
あのグルメ王、山本益博氏などは、どんなところでも、
絶対に一人ではいけない、と、いっていた。
そういう人もいるのであろう。
今度、落ち着いて、考察してみようか、、。)

ともあれ、今日は、内儀(かみ)さんといこう。
そんな気分である。

開店すぐ店に入る、を目指そう。
歩いて15分ほど。

11:30開店である。15分前に出る。

今日も寒い。
外へ出ると、今日は、お彼岸の前の日曜ということだろう、
寺町であるこの元浅草界隈は、墓参りの人々が出ている。

東北方向にジグザグに進む。
七軒町、永住町、阿部川町、菊屋橋、新堀通りを渡り、
栄久町、寿二丁目。
ここまでは、前に、町の由来など詳しく書いた。

浅草通り、赤札堂前の信号。ここを北へ渡る。

江戸の地図

渡ると北側は、西浅草。

西浅草は、浅草通り、国際通り、言問い通り、合羽橋道具街通りの新堀通りに
囲まれ、南から一丁目で、三丁目まである。
その真ん中を南北に通っているのが、この赤札堂のところの
通りである。言問い通りの先は、千束の路麺、ねぎどん、にいきあたる。

西浅草一丁目。

江戸の頃は、西側半分が、東本願寺。
東半分も中小の寺院。町屋は、それぞれの門前町。

寺々は、敷地の一部を長屋にしたり借地にして町人に貸していた。
それが、○○寺門前町、といわれていたのである。

明治になり、ここは浅草松清町となっている。
由来は、東側にあった大松寺と清光寺の
松と清を取ってつけられた。

今も、西半分は、かわらず、本願寺である。
このあたりも今日は、墓参の人々が多い。

東本願寺は一般に“門跡”(もんぜき)という。

『俺ンとこは、浅草“門跡裏”、角(かど)に酒屋、あっから、

そっから、三軒目。腰障子(こししょうじ)にマルハチ

としてあるからわかるよ、てぇーと、女が来るよ、、

カラコン、カラコン、カラコン、カラコン、、カーラコーン!

頭のこの辺から声出して、「コーンバンハ!、コーンバンハ!、、』(野晒し)

などと、落語の台詞にも出てくる。
(門跡裏とは、文字通り本願寺様の裏(店、たな)、であろう。)

赤札堂の前を通り、焼鳥屋、マツキヨ。
浅草郵便局の手前の路地を左に曲がる。

入って一本目の路地を左に曲がった右側二軒目。西光寺。
民家のような小さな敷地のお寺さんである。

この西光寺には、池波先生のお墓がある(らしい)。
菩提寺、といってよいのだろう。
筆者はお参りはしたことはない。
(なぜであろうか、墓参りというものは、
あまり好きではないのである。)
したがって、あるらしい、なのである。
間違ってはいないとは思われるが、、。

一緒に歩いている内儀さんに、ここだよ、と、教え、
また、もとの路地に戻り、北上する。

少し大きめの路地にあたる。
ここが一丁目と二丁目の境。
右へ行くと、雷門通りの突き当たり、旧仁丹塔のところ。
交番と太鼓屋さん、宮本卯之助商店の路地、で、ある。

さらに、北上。ここから西浅草二丁目。旧浅草田島町。
ここは、江戸の頃は、誓願寺という比較的大きな寺と、
組屋敷であった。

誓願寺の門前町は、誓願寺店(だな)と、呼ばれた。
ここは、落語(人情噺)唐茄子屋政談という噺の後半の舞台である。
本当にそうであったかどうかは、わからないが、噺の中では、
いわゆる貧乏長屋のあるところ、と、いう位置付けであった。

誓願寺は、田島山誓願寺という。その田島山という山号から、
明治になって、町名となり、浅草田島町という。

誓願寺自体は、震災後、府中市へ移転している。

この路地は、かっぱばし本通りに突き当たる。
突き当たりは、どぜうの飯田屋

このあたり、なぜだか、ラブホテルが多い。
やはり、昔からの“様々な業態”が変わってきたのであろうか。

そのラブホテルの隣のマンション、1F。
飯田屋へ突き当たる、手前の左側、で、ある。

手打ちそば、おざわ。深い黄緑色の麻の暖簾が出ている。
よかったよかった。気まぐれに、営業時間をずらしていることが
あるので、注意が必要なのである。

11:30、ちょい過ぎ。
なんと、もうお客さんも二人ほどいる。

お燗のお酒を一本だけもらう。


くるみ味噌。

そばは、内儀さんが、温かいねぎそば。
(白髪ねぎだけのそばで、ある。)

筆者は、鴨汁そばの、そばを、生粉(きこ)打ちにしてもらう。

鴨汁は、鴨せいろ、のつゆに、鴨肉ではなく、
鴨肉のつくねが、入っているもの。
生粉打ちは、太めの、いわゆる、十割そば、で、ある。

以前からこの鴨汁はなん回か食べている。印象であるが
味が変わってきているような気がする。
鴨のつくねが、うまくなっている。
(筆者の必須条件、しょうゆの濃いつゆは、変わっていない。)

うまかった。うまかった。

お勘定をして、二人でぶらぶら帰宅。



西光寺
住所:東京都台東区西浅草1丁目6-2

手打そば・おざわ
住所:東京都台東区西浅草2-25-15
電話:03-3841-6450


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