断腸亭料理日記2007

ポルチーニのリゾット

5月5日(土)第二食

さて、午後。

随分前から、冷凍庫に入れたままにしておいた、
ポルチーニが気になっていた。

いつのものだったのだろうか。
前の日記を見てみると、昨年の九月であった。

香りの強いものであるから、と、密閉容器に入れて、
冷凍庫に入れておいたのであるが、いわゆるフリーズドライ状態、
というのであろうか、粉になりはじめていたのであった。

一昨日、深川のイタリアンで食べたが、リゾットにしてみようか。

ポルチーニとは、イタリアの香りの強いきのこ、で、ある。
クリーム系のパスタソースなどによく使われる。
むろん、日本に入っているものは、輸入もので、
生のものも、なくなはいようだが、スーパーで売っているのは
乾燥したもの。乾燥椎茸のように、水で戻して使う。

香りがよいきのこというと、日本では松茸、が思い浮かぶが、
もっと強いかもしれない。また、香りだけではなく、
筆者は、旨みも、強いような気がしている。

袋入りで、2〜3回分くらいの量が入っているが、
前回買ったものは、¥600と¥1000と、なかなか高価である。
(イタリアではもう少し、安いものではあるようである。)

この¥1000のものを使い切らず、
冷凍庫にストックしてあった、というわけである。
せっかくの高価なもの。ダメにしてはもったいない。
全部使い切る、のだが、ちょっと、量はある。


高いものと安いものでは、やはり香りの強さが違うようである。
また、量も、多く使えばそれなりに強い香りが出る。

これだけ使うと、ぜいたくな感じであろう。

まずは、ぬるま湯で戻す。

玉ねぎみじん切り1/4個。
オリーブオイルで炒める。

米、1合。

こちらは、先日のイタリアンでもいっていたが、
リゾットでも、日本の米でもいけるようだ。
(筆者は使ったことはないが、ヨーロッパで作られている米も、
今、売られている。)

洗わずに、炒めた玉ねぎに入れる。
弱火で、焦がさぬように、炒める。

透明になるまで、などというが、なかなか透明にまではならない。
適当にやめる。

コンソメスープの素一個を溶かしたスープ、300cc。
量は、出来上がり、好みに合わせて、足してもよいようだ。

煮立ってくると、かき混ぜる。

中弱火にし、時折、かき混ぜながら煮る。

頃合いを見て、戻した、ポルチーニを入れる。
たいした根拠はないが、なんとなく、米が柔らかくなりはじめた
頃、と、思ったのである。
あまり早く入れてしまっても、香りが飛んでしまいはしないか、
と、いう危惧である。

米の量の割りに、ポルチーニが多い。
もう少し、米が多くてもよかった、などと思うが、
もう遅い。

ふたをせず、そのままかき混ぜながら。

水分が少なくなってきた。
米のかたさをみる。

まだまだ、かたい。

ポルチーニの戻し汁も、半分ほど入れる。
(戻し汁も捨てないで、使う。)

だいぶ柔らかくなってきた。
アルデンテ、などというが、日本人の感覚では
パスタはともかく、米は芯があっては、イマヒトツ、で、ある。

また、リゾットであるから、べちょっとした感じも
必要であろう。
残っていた、戻し汁も全部入れ、焦げないように気を付けて
かき混ぜながら、煮る。

軽く塩胡椒。

バターを少し、入れる。

味見。
かたさも、大体よいであろうか。

パルメザンチーズを入れる。
(パルメジャーノ・レッジャーノ、ではなく、
パルメザンチーズ。クラフトの緑のものである。)

盛り付け。


これだけふんだんに、ポルチーニを使うとさすがに、
かなり、うまい。まずかろうはずがない。
(それも、高い方のものである。)

ポルチーニは、(うまそうな)芳香と、うまみ、であろう。
この芳香、文字で表現するのは、なかなか難しい。
ローリエ、などに似ていようか。
だが、なになにの香り、という表現ができない。

松茸などもそうであるが、
食い物についている、うまそうな香り、というのは、
一体なにものであろうか。

むろん、香り自体は、味ではないから、
それ単体では、うまい、というものでは、ないはず、
で、ある。

逆に、(甘い、塩辛いではなく)うまい、という味覚も
よくよく考えると、難しい。
が、いわゆる、うまみ、は、グルタミン酸など、
人間がうまいと感じる成分は解明されている。

例えば、肉がこげた、香ばしい匂いは、うまそう。
しょうゆ、なども、こげた匂いは、うまそう。
だが、これらは、肉や、しょうゆが、うまい、のを
知っているから、これらがこげた匂いが、うまそう、に、
思えるような気もする。

ポルチーニの香り。
これは、多分、どなたでも、食べたことがなくとも、
香りをかいだだけで、うまそう、と、
感じるのではないかと、思われる。

ポルチーニの香り。不思議なもの、で、ある。




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