断腸亭料理日記2007

鶯谷・蕎麦・公望荘

10月7日(日)第一食

さて、またまた、そば、で、ある。

ちょっと、気になる手打のそばやが、根岸にあった。
昼前、天気もよいので、自転車で、出る。

元浅草の拙亭から、北上。
浅草通りを渡り、さらに北上。
言問い通りも突っ切り、金美館通りまでいく。

左折し、昭和通りを渡り、右側に小野照さま。
右側にカーブし、金杉通りも渡り、次の信号で、金美館通りは行き止まり。
だが、路地がある。
この路地を真っ直ぐ行くと、根岸小学校の裏手へ出て、尾竹橋通り、
尾久橋通りの合流する交差点に出る。

尾久橋通りの一本北側に、目指すそばやはあった、、、
のではあるが、シャッターが降りていた。
(つるぎや、という店。近所では有名、らしい。)

嗚呼。
日曜は、やっている、という情報であったのだが、、。

はて、どうしたものか。

このあたりであれば、、、どこであろうか、、。

鶯谷、橋を上野寛永寺の裏へ上がったところにある、公望荘、か。

ここは、前から知ってはいたが、
いまだにいったことはない蕎麦屋。

尾久橋通りを渡り、根岸一丁目を抜け、言問い通りを潜り、
通り沿いに戻り、坂下。坂を上り、凌雲橋、JRの線路を越える。
右側、鶯谷駅南口、駅前、向かって左側にその蕎麦屋は、ある。

駅の狭いロータリーを先頭に、坂上からタクシーが列をなしている。

坂上に向かって左側は、忍丘中学校。

店は、日本家屋の一軒家。その向こう側は、寛永寺の墓地。
店の脇に、自転車を停め、入る。

昼時の、駅前のそばやではあるから、そこそこ、人は入っている。

さほど広くはない店の奥、四人掛けのテーブルに座る。
メニューを見る。

グラスのビールをもらう。
天気もよく、自転車で一回りしてきたので汗が吹き出る。

ここの創業は昭和初期、らしい。

御免そば、という特製のそばがメニューにはあるが
できるのか、と聞いてみると、難しそう。
(これは十割そばで、予約が望ましいよう。)

とろろそば、を頼む。

さほど時間もかからず、出てきた。


箸袋に「御手打天下御免 鶯谷 貸席 公望荘」、と、ある。

『御手打天下御免』の「手打」は、むろん、蕎麦の手打と、
武士がいう「手打ちにしてやる」の手打の、洒落、で、あろう。

貸席、というのが歴史を物語っているのか。

鶯谷、根岸界隈の歴史

大正から、昭和初期、戦後まで線路の向こう側、
今はラブホテル街であるが、ここは根岸の花街で、
料亭街であった。

いわゆる花街は、三業地(あるいは二業地)などともいった。

三業とは、芸者置屋、料亭、待合(貸席)の三業態のこと。
つまり花街は、芸者さんのいる芸者置屋と、料理を作る料亭(料理屋)、
座敷だけを貸す、待合(貸席)の三つで構成されていた。
そして、警察へ、それぞれ登録が必要だったのである。

坂の下(JRの外側、根岸側)がその料亭街の中心であったが
橋を渡ったこちら側の公望荘も、その、貸席としての
登録もあったのかもしれない。

ともあれ。

とろろそば、を、食う。

とろろの味自体は、さほど濃くはないが、とろろが濃く、
とても滑らか。

うまい。

このとろろそばは、亡くなった喜劇女優の清川虹子さんが
生前、好物でよく食べにきていた、ともいう。

とろろは、そばを全部食べると、ちょうどなくなる。
そば湯とともに、そば湯用のそば猪口にほんの少し
つゆが入ったものが運ばれ、そば湯を入れて、飲み干す。

勘定をして出る。

駅前のそばやで、なかなかせわしないが、
味は確か。うまい蕎麦屋、で、ある。

再び自転車に乗り、上野の山に向かい、坂を登る。



住所:台東区上野桜木1-16-68
TEL:03-3822-2288






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