断腸亭料理日記2008

合羽橋・太助寿司

2月29日(金)夜

夕方、つくば、から、直帰。
TXで、一本。

こんな時には、久しぶりに、合羽橋、太助寿司。

18時過ぎ、TX浅草駅で降り、特に電話もしないで、
合羽橋本通りの商店街を歩く。
合羽橋道具街通り(新堀通り)を渡ってすぐ。

無沙汰の詫びをし、座る。

昼間は暖かったが、夜になってやはり少し、寒くなってきた。
ビールではなく、お酒をお燗でもらう。

白子の豆腐のお通しが出て、刺身。


今日は、鯛がいいんだよ、と、親方が自慢する。
豊後水道だという。
皮に近い血合いの部分の上に、
霞のようにうっすら白くなっているのが、よい、のだという。
脂のある鯛、というのもわるくはないが、
淡白で、あまみとうまみのある、鯛、そんな感じであろうか。

たこに、青柳。

その上が、鰹。
もう、初鰹。鹿児島かと思ったが、房総だという。

みずみずしく、むろん、水っぽくもなく、
血なまぐさくもない、すばらしい、初鰹、で、ある。

もう房総で出てくる、というのは、
やはり、温暖化の影響であろうか。

真中にあるのは、鰹の皮を炙ったもの。
香ばしく、うまい。

もう一品つまみ。


また、初もの。筍を焼いたもの。
それから、穴子の白焼きに、いっぱいじょうゆをたらしたもの。
(いっぱいじょうゆ、とは、酒としょうゆを、1:1、に
割ったもの、ということ。)

走りの筍は、最近、こんな風に、焼いて出すところが多くなった。
それこそ、生でも食べられるというのもあったりする。
えぐみは、皆無。大地の滋味とでもいうのか、穀物に近いような
独特の香りと、あまみが、格別、で、ある。

穴子の白焼きとは珍しい。
正直のところ、今の穴子は、脂もなく、いま一つ。
そこで、焼いてみた、ということ。
これはこれで、さっぱりとして、よい。


べったらが入り、握り。

今日のまぐろは、壱岐、で、ある。


これを見てくれ、と、ねた箱を出してきた。
名札が付いているが、壱岐、ということもあるが、
その下に、小さい字で、仲卸の名前が入っている。
これがポイントであるという。
まぐろ専門の店で、ここのものである、というのが、
本物の証(あか)し、ということらしい。

中トロ。


壱岐のものは久しぶりであるが、北のものよりも
繊細で上品かもしれぬ。
うまい。

すみいか。


すみいかは、好物。
これは江戸前。
すみいからしい、ぷりっとした歯ごたえと、あまみと香りが
十分にあじわえる。

うに。


浜中。
いつもながら、口の中でとろけるうまさ。
こうして、飯を多めに合わせるのもよい。

さて、今日一番の親方の自慢。
赤貝。


四国、観音寺、で、あるという。
この大きさ。


これだけの赤貝を食べたのは、初めてかもしれぬ。
たっぷりと肉厚で、味が濃く、べらぼうにうまい。

続いて、ひも。


これも、身、同様、太く、濃厚な味。

さらに、赤貝の肝をしょうゆでつけ焼きにしたもの。


なまぐさくも、苦くもない。
うまみたっぷりの、肝、で、ある。

いやいや、おそれいった。

さより。


葉山。
肉厚で、あまく、十分うまいのだが、なんとなく、
赤貝のインパクトの前では、かすんでしまう。

煮はま。


蛤も季節、で、あろう。
うまい。

蝦蛄。


いつものように、三河湾。
密度が濃く、しっかりと引き締まり、
あまみのある、蝦蛄、で、ある。

小肌。


わるくないが、ちょっと水っぽいか。
時期の問題かもしれない。

最後は穴子。


最初に白焼きで出てきたが、これは、正月に煮て
冷凍してあったものだという。
看板であるから、これもいたしかたないのだろう。

鮨というもの、当然、季節の物を、うまく食うのが本道。
時期でないものは、しょうがない。
いつきても、同じものを食べたいという意識の方が、おかしかろう。
無理して、食べなくともよいくらいである。

今は、春先。今日は、鰹、そして、赤貝。
そういう季節、である。

しかし、今日も、バラエティーに富んで、十二分に楽しませてもらった。

これが太助寿司のやりかた、ということであろう。

勘定は少しいって、¥15000。


うまかった、うまかった。



合羽橋・太助寿司
電話番号:03-3841-4811
住所: 東京都台東区松が谷2丁目26−6




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