断腸亭料理日記2008

だんちょうていの

出張くいだおれ日記・

静岡編・静岡おでん・その2

3月25日(火)夜

さて、またまた、静岡出張。

先日、仕事の帰り、駅のそばの居酒屋で
静岡おでん、なるものを初めて食べた。

その後、上の日記を書くために、少し調べてみて
おでん屋ばかりが集まっている、横丁の存在やら、
いろんなことがわかった。

せっかくであるから、今度は、その、最も‘コア’であろう
ところへいってみようか、と、考えたのである。

静岡のおでん屋にも、いろいろ、あるようなのだが
その集まっている青葉横丁というところ。

先日は、なん人かでいったのだが、
まったくこの界隈に土地勘のある者がおらず、
行き当たりばったりで、居酒屋を探しただけであった。

事前にこの青葉横丁をはじめ、地図でちょっとこの界隈、
静岡の町を調べてみた。

駅、北口を出ると、目の前に松坂屋。
この前の通り、御幸通りというようだが、を、
まっすぐに行くと、右側に御濠があり、静岡県庁、その後ろに
駿府城跡。
(駿府城跡の真正面、大手門の前に、行く手を阻むように
県庁が建っているのは、おもしろい。)

繁華街は、駅から向かって左側らしい。
青葉横丁は、その奥のよう。

町名を見ると、紺屋町、呉服町、両替町などが並ぶ。
昔からのものなのかもしれぬ。
商売の名前で町屋であったのだろう。

公園のような中央にスペースのある通り。
これが青葉通りというらしい。
青葉横丁というのは、このそばにあり、これに由来するのだろう。

駅から地下道を通って、紺屋町のあたりに出る。
ここからまっすぐにいって、青葉通りに出て左。
少し迷うが、クラブなどが集まっている飲食街に
その横丁を発見した。

店は、三河屋、というところ。

路地に面していたので、すぐに見つかった。


まだ早い時間なのだが、戸を開けてみると人がいっぱい。
このあたりでは、やはり、かなりの人気店なのであろう。
一行三人で、入ってみる。

店の中は四畳半ぐらいかもしれない。
かなり狭い。
真中の、ちょうど、屋台のような四角い台に
おでん鍋、フライもの用の油の入った鍋、
その隣に、炭の熾った七輪。

向こう側に、店主らしきご夫婦。
他の三辺を取り巻いて、お客が座っている。
全員で、これで数席まだ空きがあるようだが、
我々も入れて10人程度。

これは、屋台を家の中に入れた、そんな感じではなかろうか。

座って、瓶ビールをもらう。

一息ついて、見回して、気が付いた。
これだけ人が入っているが、まだ店を開けてすぐ、のようである。
皆、飲み物は呑んでいるが、食べてはいない。
「コ」の字になっているので、全員の顔が見える。

準備ができて、皆に少しずつ、つまみがきはじめた。

まずは、おでんから。

牛筋と、ごぼう巻きから。


牛筋で出汁を取っているということなので、
やはり、牛筋は欠かせなかろう。

ごぼうもそうだが、すべてに串が刺さっている。

味がかなり濃い。
甘辛。その上に、牛筋の出汁のためであろう、
かなり脂っこい。

店の親爺さんが、鯵、揚げるけど、食べる人?という。
こういうのには、乗らねば。

半身のフライ。
目の前で、衣を付けて、端から揚げる。
揚げあがると、ソースは、全部、半分?と、浸ける割合を聞く。
脇にあるウスターソースの容器に、浸ける、のである。
筆者は、全部。


かなり、大ぶりな鯵、で、ある。
静岡である、刺身にもできるほどの鯵。
シャバシャバのウスターソースで、カリッと揚げたて、
うまい。

酒は、ビールから日本酒へ。

また、おでん。


すじと厚揚げ。
すじは、練りもののすじ。

練りものの、すじ、は東日本のものだが、
静岡にもあり、牛筋と同居しているのはちょっと珍しく感じる。

すじは、まあ、単なる、練りもの一種であるから、
考えてみれば、別段、驚くほどのことでもないが、
牛筋と言えば、土手焼きを初め、名古屋を含めて、関西のもの。
そこに、東日本らしいおでん種の
すじ、が同居しているのはおもしろく感じる。

結局、静岡おでん。
これは、関西風でも、東京風でもなく、
もっというと、おでんではない、別の食い物である。
そう思えば、かなり、うまい。
先にも書いたが、つゆに脂が多いので、炒め煮、のような
そんな感じになっているのである。

次。


揚げてしまうと、なんだかわからぬが、
名物、黒はんぺんのフライ。

黒はんぺんはむろん、おでんもある。

酒から、酎ハイに換え、さらに三杯ほど。

他にもなにか食べているのだが、写真もなく、
よく覚えてもいなかったり、、。

入ってから、一時間半で時間切れ、ということで、
お勘定。

こんな狭いところなので、長居されるのは、困るのであろう。

しかし、この店の、居心地のいいこと。
全員が顔が見えるのがよい。
また、ほとんどのお客が地元の方だと思われる。
しかし、常連面し、わがままをいったり、するようなお客はいない。
ここのお店の特徴なのか、静岡の人々はおとなしく、真摯なのか、
わからぬが、とにかく腰掛けに根が生えてしまう。

勘定は、筆者はかなり呑んだが、一人、2500円ほど。
驚くべき哉。




また、静岡にくる楽しみができてしまった。





三河屋



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