断腸亭料理日記2008

京都三条大橋〜先斗町・蕎麦・有喜屋

5月9日(金)昼

午前中は市内でミーティング。

これが終われば、帰るだけ。
珍しく、今日は楽な予定、で、ある。

夕方には、東京のオフィスに帰らないと
いけなかろう。
しかし、このまま帰るのは、やはり、もったいない。
昼飯くらいは、ちょっと食べていってもいいだろう。

昨日のいふき、を調べた際に、様々な先斗町の食いものやが
出てきたのだが、その中で、そばや、というのがあった。

昨晩から、またまた、で、あるが、先斗町へ
いってみよう。

先斗町という町がよい。

今日は、地下鉄で三条京阪駅までいく。

昨日は四条通からであったが、今日は三条通から。
目指すそばやは、先斗町歌舞練場の隣。

三条通から、すぐのところ。
昨日のいふき、よりは、だいぶ北。

三条京阪駅の階段を上がって、三条大橋の東詰に出る。
いきなり、視界が開け、気持ちがよい。

この橋を、生で、見たことはあったのだろうか。
ひょっとすると、初めてかもしれない。
(今日も、引き続き、お上りさん、で、ある。)

お江戸日本橋から始まる、東海道五十三次、
中山道六十九次の終点。

これが、京の三条大橋か、、、。

やはり、なにか、感慨のようなものがある。

むろん、橋はコンクリートでアスファルトの車道。
車の交通量も多い。

しかし、空の下の三条大橋。
これである。

これに引き比べて、今のお江戸日本橋
首都高速にさえぎられて、日蔭者にされている姿。
これに思いがいってしまう。

この空の下の三条大橋を守っている京都人。

先祖の江戸人に、申し開きができないではないか。
腹立たしい以上に、悲しくなる。

ともあれ。

橋の袂まで、きてみる。
鴨川の川面が見える。

映画やら、TVではなん度も見ている。
鴨川というのは、底が浅く、川底の石が見えるほど。
そして、清流。


川の向こう側、川っぷちに、
歌舞練場の薄茶色の建物が見える。
(先斗町歌舞練場と、書いてあるのですぐにわかった。)

中ほどまできて、今度は、今きた、東側の岸を
振り返ってみる。

河原があって、土手。
その上に、並木。
これも、映画などで見た風景のような。

河原に降りている人もいる。
こんな都会の中でも、こうして、
自然の植物の生えている河原があり、そこに降りられる川。
これは本当にうらやましい。
隅田川など最近は、申し訳程度の遊歩道と、人工的な植え込み
なぞが作られているが、あそこを歩いて、寛げる人が
どれだけあるだろうか。

橋を渡り切り、西詰すぐに道があり、これを南に下がる。
ちょうどこの袂に、東海道中膝栗毛の弥次さん喜多さんの像、
なるものがある。
東海道の終点ということであろう。

この道は、すぐに右に折れ、さらに左に曲がる通、が、あり、
ここからが、先斗町ということになる。

歌舞練場と、目指すそばや、有喜屋は曲がるとすぐに見える。

入ると、満席。
地下があるようで、そちらに案内される。

一応、仕事中で、あるが、帰るまでには相当時間がある。
内緒で、よいだろう。ビール。
(こんなところに書いたら、内緒もヘチマもないが。)

えーと、つまみは?

京都で、ある。
にしんの京煮、というもの。
にしんそばにのっているあれ、で、あろう。

これをもらう。

ビールがきて、鰊。



柔らかく煮てあるが、これは、甘い。
先日の、日本橋弁松、ほどではないが
甘露煮、で、あるから、甘いのは当然なのだが、
私の味覚では、ちょいと甘さが強すぎると感じてしまう。

京都の味覚は基本的に、甘さは強めなのであろう。
それでも、やはり、私の味覚は、そうとうに甘みがだめ、
なのかもしれない。

さて、そば。
なにがよかろう。

メニューの数は多いかもしれない。
ノーマルな、ざるや、せいろ。
そばも、二八と、十割、二種類ある。

創作そば、などというのもあり、
ここだけ、と書いてある、店の名前を冠した
有喜そば、というのにしてみる。
玉子と納豆のようである。
温、冷、どちらもできるようだが、
ぶっかけ、の、冷たいそばに。


こんな感じである。
玉子を泡立てているようである。
海老天ものっている。

食べてみる。

おっと。
このつゆも、甘め。
しかし、この程度であれば、
東京のそばやでも、ありそうな甘さである。
(台東区、上野浅草のそばやでは、ないと思われるが。)

ここの創業は昭和初期という。
そして、今のご主人は三代目で、なんと
拙亭近所、上野藪で、修行をされたらしい。

それでも甘いつゆ、と、いうのは、やはり
京都の味覚、なのであろう。

食べ終わり、勘定をして出る。

ちょっと、隣の歌舞練場の前までいってみる。


建物は昭和2年にできているようである。
先ほど三条大橋から見えていた薄茶色は、タイル張り。

お?鴨川をどり?

まさに、今、上演中、の、ようである。
入れ替えもあるのか、建物の道を挟んだ前の縁台で
待っているお客さんも大勢いる。

鴨川をどり、というのは、先斗町の舞妓さんや芸子さんの
踊りの会、で、ある。
今月がその期間にあたっていたようである。

さすがに、踊りまで見るわけにはいかない。
先ほどきた道を、また、三条大橋へ向けて、戻る。

今度は、三条通を渡り、北側の歩道を通って渡ってみる。
河上の先に北側の、山々、北山も見える。
そして、正面、東側は、東山。
新緑なのだが、東山は一部分だけ、春紅葉、というのだろうか、
黄緑、黄色など緑一色ではない。計算しているのか、どうなのか。

ともあれ。

名残惜しいが、地下鉄に潜り、京都駅まで出て、
車中の人となる。


有喜屋




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