断腸亭料理日記2009

青柳ぬた

4月12日(日)第二食

日曜日、昼下がり。
今日も、御徒町の吉池まで自転車で、出る。

昨日に続いて、吉池だが、今日はなにかというと、
どうしたわけか、急に、酢のものが、食いたくなった。

酢のもの、というと、なんであろうか。

魚の酢〆か?


今日も天気がよく、気持がよい。

吉池に着いて、売り場を見て回る。

鯖やら鯵やら、生の酢〆にする魚はむろん売っているが、
今すぐに、食べたいので、これではだめである。

既に〆たもの、は?、と、探してみる。

そういえば、ここでは、出来上がった〆鯖、などは
買ったことがなかった。

むろん、置いているのだが、いわゆる自家製のもの、ではない。

〆鯖、小肌、ままかり、などなど、どこか地方のメーカーで
作られて包装されたものばかり。

こういうものは、滅多に買わない。
なぜかというと、むろん、様々な保存料のようなものも
入っていると思われるし、それ以上に、これらは、
東京以外で作られているせいであろうか、
味付けが甘いように思うのである。

小肌にしても、鯖にしても、酢〆、というのは、
東京では、まず、砂糖は入れないのではなかろうか。

むろん微妙な甘さなのだが、
それでも甘いのは、だめである。

と、なると、なんであろうか。

貝類などで、ぬた、、!

うん、これでいこう。

貝を見ると、青柳、があった。
江戸前。

たいした量はいらない。300円弱。

これでよかろう。

買って、すぐに帰る。

ねぎは、家にあった。

青柳は、江戸前を代表する貝、で、あろう。
自分でむいたことはない。

貝自体は、なぜ、そんなヘンな名前なのか、
様々な謂(い)われはあるようだが、ご存じのように
バカガイ、という。

バカガイの貝柱は、小柱、で、刺身で
(池の端藪蕎麦の、はしらわさびは、そうとうな好物、で、ある。)
あるいは、鮨種。かき揚げの天ぷらも、うまいし、
なにより、どれにしても、いかにも乙、江戸前な肴、
食い物、と、いってよいだろう。

それに比べると、貝本体の、青柳の方は少し、
影が薄い、かもしれない。
私は、鮨やでは、にぎり鮨として、あまり食べない。
やはり、ぬた、が、一番かもしれない。

さて。

買ったものは、生だが、今日は、貝も湯通しをしてみよう。

生でもむろん食えるが、青柳は湯通しをした方が、
うまい、ともいう。

ねぎも、用意。

長ねぎ。

5cm程度に切り、さらに縦に切り、バラバラにする。
太い芯の部分は、皮の部分と熱が同じように入るように、
さらに細く切っておく。

薬缶で湯を沸かす。

最初は、ねぎ。

ねぎは水が出るので、最初にやった方がよいだろう。

ざるにねぎを入れ、用意。

沸騰したら、ざるのねぎに、かける。
一度かけたら、すぐに冷水にさらす。

大急ぎで、水をかえて、もう一度。
(氷水でもよいのだろうが)この、大急ぎ、が、大切。
一回だけでは、余熱が残っているので、加熱が進んでしまう。

ざるにあげて、熱の通り具合をみる。
皮の部分はよいが、芯の部分が、ちょっと足らない。
これだけ取り出して、もう一度。

OK。

水を切って、ふきんに、並べておく。

次に、青柳。

今度は鍋。

煮立ってきたら、青柳を入れ、
これはもう、くぐらせる程度でよいだろう。
すぐにあげて、同じように、大急ぎでなん度も水をかえ、
冷水にさらす。

冷したら、一つ一つ、包丁を入れて、開く。
鮨やでもこうしているが、開いた方が、見栄え、が、よい。

開いたら、これもふきんに並べ、水気をよく切っておく。

酢味噌。

西京味噌と、八丁味噌。
半々でもよいが、八丁味噌の方が、味が強いので、
西京味噌を多めにした方がよいだろう。
酢を加え、よく混ぜる。

OK。

ねぎ、青柳ともに、よく水をふいて
皿に盛りつけ、酢味噌も添える。


どうであろうか、我ながら、なかなか、きれいに盛りつけられた。

うまそう、で、ある。

ビールを開けて、食う。

びっくりするほどのものではないが、十二分に、うまい。

いくらでも、食える。

江戸前の肴として、及第点、で、あろう。





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