断腸亭料理日記2009

神田猿楽町・蕎麦・松翁

4月17日(金)夜

さて。

金曜日、同僚が、蕎麦を食いたいというので、
神田猿楽町の松翁へいくことになった。

松翁はよい蕎麦や、なのだが、たいていは土曜日の昼、
などで、帰りにまわってみる、ということは今までなかった。

つまみがうまそう、なので、夜いくのは、楽しみ、で、ある。

(ちなみに、ここは、非公式(?)池波レシピ、で、ある。
なぜ非公式、なのかというと、先生の作品では
イニシャルで書かれており、実名は出されていないから、
で、ある。詳細はこちら

18時、定時にオフィスを出る。
たまには、いいであろう。

市ヶ谷駅から、総武線に乗って、水道橋まで。
松翁のあるのは猿楽町でもJRの水道橋駅の方が
近いと、思われ、都営新宿線の神保町ではなく
水道橋からいってみた。
(ほぼ、同じかもしれない。)

駅から歩くと、ちょっとわかりずらい。
白山通りを渡って、日大経済学部の脇の路地を入り、
二本目を右。路地というには少し広い道。
この通りは錦華通りというらしい。
曲がってすぐ右に、カトリック神田教会の、古い、
いかにも教会らしい建物が、ある。

余談である。

この錦華通りは、真っ直ぐいくと、靖国通りの
駿河台下交差点の直前に出る。

錦華、という名前は、ちょっと不思議な香りがする。
由来はなにかと思って調べてみた。

これは、この靖国通りに出る手前に、最近まであった、小学校、
錦華小学校、からきているという。

この錦華小学校は、夏目漱石も卒業したという。
むろん明治の頃からあったのであろう。
錦華小学校という名前、なるほど、いかにも明治の香りがする。

今、東京でも公立の小学校の名前は、たいていは地名、で、ある。
しかし、明治にできている東京都心の小学校というのは、
こういうちょっと凝った名前が少なからずある。

たとえば、銀座数寄屋橋の泰明小学校、などは有名であるし、
私の会社のそばだが、牛込には愛日小学校というのもある。

錦華、泰明、愛日、、漢語で二文字。

まるで、私立学校のようである。

愛日小学校などは、実際には、もとは私立であったのを、
公立化したという歴史もあるようだが、最初から公立だが
こうした意味性の強い名前を付ける、ということが
当時はあった、、。

これはなぜであろう。明治という時代性、なので、あろう。
今の公教育は公平無私、であらねば、というのがタテマエであるに対し、
明治の教育人、行政人にある程度、自由に裁量できる余地があった、のか。
おもしろいもの、で、ある。
(浅草に金竜小学校というのがある。ここも最初から公立。
金龍山浅草寺の、金竜で、ちょっと意味性の方向は違うが、
地名でない小学校の例、にはなろう。)

閑話休題。

そばや、松翁、で、あった。

6時半前。

店に入ると、金曜日であるが、さすがに
この時間であれば、まだ、お客はちらほら。
どこでも座れる。

生ビール(琥珀ヱビス)をもらう。


前から、うまそうなつまみがたくさんあったのが
わかっていたので、二人であるし、よりどりみどり、
うれしいもの、で、ある。
メニューを見ながら、穴子煮凝り、卯の花、ここまで、私の好み。
田楽、ほたるいか、筍土佐煮、これらは連れの好み。

煮凝り。


ちょっと色が黄みがかっているのがかわっている。
味は濃い目で、なかなか、うまい。

卯の花。


卯の花の煮たの、は、好物なのだが、自分ではあまり作らない。
なぜかというと、卯の花は、煮ると量が増え、鍋一杯にでき、
いつになっても食べ終わらない。そのうちに飽きてしまう、のである。

これも濃い目の味で、うまい。

田楽。


蒟蒻と里芋(絹かつぎ)もある。
味噌は、柚子味噌。
里芋にまぶされているのは、山椒。

ほたるいか。


酢味噌がフランス料理のようにちょっと洒落て
散らされている。
ここは、こういうこともするのか、と、感心する。
黒っぽいのは、胡麻の入った酢味噌。

土佐煮。


季節のもの、で、ある。
これは濃い目、というよりも、甘めの味付け。
ちょっとエグミがあるのも、旬の味らしいところか。

ビールから、酒。
二人で、二合ほど。

そばは、やっぱり、天ざる。
普通の天ざるではなく、季節の目玉の入ったもの。
今は、若鮎、の、よう。
これを私は頼む。

鮎がきた。


ここは、置いてある、テーブルの皿に、
揚げたてを、運んできて、直接箸で、置いてくれる。
(ここまでするのは、そばや、ではない、天ぷらや、で、あろう。)

置かれた姿が、身体が立っており、まるで泳いでいるよう。
心憎い、演出、で、ある。

これもほろ苦いはらわたが、旬の味覚であろう。

行者にんにく。


そばもきた。


食べ始める。

続いて、またまた、天ぷら。


これは、ヤングコーン。
香ばしく揚げられている。

アスパラ。


ほくほく、という表現が合っているだろう。
うまい。

最後に、もう一度、鮎。


終わりかと思ったら、〆にまた鮎が出てきた。
そうとうに、満足、で、ある。


うまかった、うまかった。

ちと、食いすぎ、、、、。


住所 東京都千代田区猿楽町2−1−7 

03-3291-3529




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