断腸亭料理日記2009

断腸亭、モロッコへ行く その1

さて。

09年、夏休みも終了。
明日からはまた、いつもの仕事の日々に戻っていく。
皆様の夏休みはいかがであったろうか。

日本では、地震やら、台風やら、ノリピーやら、、、
そうとうに騒がしい、この一週間であった、のか、、。

そんな日本を離れて、今年は、表題通り、モロッコ、へ
いってきた。

昨年は、中東、ペルシャ湾岸、UAEのドバイへいってきた。

あの後、ドバイも世界的なバブルの崩壊の
影響を随分とこうむっているやにも聞くが
アラブの王様の豪華絢爛な夏を再現した、
優雅なリゾートライフをすごすことができた。

感じたことは、アラブは我々が今まで考えてきたよりも
意外に食い物もうまく、楽しいところということであった。

日本に入ってくる、アラブやイスラムの情報は
ほとんどがアメリカ経由のもので、自爆テロやら、
タリバンやら、きなくさいもので、なにを考えているか
よくわからない人々、という印象であったと思う。

湾岸諸国などは、ヨーロッパや米国よりも距離的にも
日本に近く、UAEのドバイという石油の富で潤っているところ、
という背景は大きいにしろ、治安もよく、紳士な国であり、人々で、
もっと私達は直接、文化を含め、彼らのことを
知ってもよいのでは、と思ったのである。

で、今年は、その第二弾。

モロッコ。

さて、皆さんはモロッコ、というのが、どのへんにある国か
ご存知であろうか。

会社などで、若い女の子などに聞けば間違いなく、
知らない。
なるほど、そんなものか、と思ったわけである。

モロッコは、アフリカ大陸の北西端、地中海と大西洋に
面した国。北は、地中海、ジブラルタル海峡をはさんで
スペイン。
東隣りは、アルジェリア。南は西サハラ。
(どちらも政情不安定?)
アフリカ大陸であるが、イスラム教の国。
旧フランス領。

映画カサブランカは、ご存知であろうか。
これも若い人は知らない。

1941年製作のアメリカ映画である。
私もむろんリアルタイムで観たわけではない。
アカデミー賞受賞作、主演はハンフリーボガードと、
イングリッドバーグマン。

カサブランカというのは、モロッコの地名。
フランス領、第二次大戦中のカサブランカが舞台。

女「昨日はなにをしていたの」
ボギー「そんな昔のことは忘れたよ」
女「明日はなにをしているの」
ボギー「そんな先のことはわからない」

という、べら棒にカッコいいセリフ。

あるいは、このセリフとともに、
テーマ曲、「As Time Goes By(時の過ぎゆくままに)」も
印象に残っている。


まあ、そんなものが、今のカサブランカに
あるわけもないのは百も承知ではあるが、
前から一度行ってみたかった。

それから、モロッコといえば、もう一つ。
最近の世界遺産ブームで、よく紹介されていた、
砂漠の迷宮、マラケッシュ。
ここには、最近は、クリントン元大統領も通う
高級リゾートホテルホテルがある、と聞いていた。

エキゾチックな、砂漠のリゾート?。
去年のドバイは、旧英領であったが、ここは旧仏領。
飯は、もっとうまいのでは?という期待。

そんなことで、今年の夏休みは、
モロッコに決まったのである。

手配は毎度のことだが、内儀(かみ)さんなのだが、
モロッコへの日本からのツアーはほとんどなく、エアライン、
ホテルともに、全部自前で手配。

成田から、エールフランスでパリ経由。
待ち時間も入れて、20時間もかかった。



カサブランカ空港。
正式名称は、ムハンマド5世空港。

モロッコは王国。
現王様はムハンマド6世。

ガイドブックからのウケウリを含め、モロッコの概略を少し。

立憲君主制で、首都はラバト。
アラブ連盟に属し、公用語はアラビア語。
旧仏領のため、フランス語もほとんど通じる。
宗教はイスラム教スンニ派。
総人口は3324万人。
カサブランカが最大の都市で、354万人。
次いで、首都のラバト、マラケッシュの順。
民族構成はアラブ系が65%、ベルベル系は30%。

ベルベル系、と、いうのは、この地方に古くから住んでいた、
アフリカ系の先住民族。マグレブとも呼ばれるこの地方は
歴史的には、アラブ人が東方から侵入し、ベルベル、アラブ、
さらには、南スペインの文化が融合した地域、ということである。

1800年代から、隣のアルジェリアとともに、
フランスが占領。植民地になり、独立は第二次大戦後の
1956年。
(映画カサブランカは、第二次大戦中、フランスがナチスドイツに
占領されていた頃、モロッコにもナチス軍が進駐していた
というのが背景になっている。)

町の表記はほとんどが、アラビア語とフランス語の並立表記。
英語は簡単な単語以外、ほとんど通じない。
ホテルなどでも、ちょっと、むずかしい言葉になると、
通じなくなる。
これには、なかなか苦しんだ。ちなみに、観光客は見た感じだが、
フランス人が最も多く、他にイタリア人、スペイン人が少し。
英語をしゃべる人にはやはりほとんど出会わなかった。

また、モロッコ人の顔というのは、なるほど、
様々な顔を見るとこができる。
ちょっと色が黒く、細い顔のアラブ系。
まったくの黒人のアフリカ(ベルベル?)系。
(ベルベル系なのかどうかよくわからぬが、
アメリカのオバマ大統領によく似た顔もよく見かけた。
黒人なのだが丸い顔ではなく、頭は細く、髪はチリチリで短髪。
手足が長く細いという、あのオバマさん、で、ある。
オバマさんのルーツは確かケニアであったが、そういえば、ケニアの
マサイ族などは、あんな顔であったか。)

それから、カサブランカでは多く見かけたが、
ジャックマイヨールのような、イタリアあるいは
スペインなどに近そうな、ラテン系の顔。

女性はもう少しおもしろい。
イスラム教の国であるのだが、比較的モロッコはゆるい、とも
聞かれ、顔全部を蔽っているベールをかぶっている人は、なくはないが、
少なく、若い女性などではミニスカートなど肌を露出している
人も少なくなかった。
アラブ系の女性というのは、大体において、きれいである。
顔は彫が深く、その上、若い女性はスマートで、グラマー。
アラブの民族衣装を着ていないので、それがよくわかる、
のである。

また、人種系統も女性もむろん同様で、髪はブロンドなのに、
イスラムのベールをしていたり、なかなかおもしろい。

ともあれ。

モロッコは国内総生産はアフリカで第四位で比較的豊かな国。

石油は採れないが、肥料の原料となるリン鉱石は埋蔵量世界第一位。
モロッコの南にはアトラス山脈があり、その先はサハラ砂漠であるが
大西洋、地中海に面した地域は地中海性気候で、雨も降り、農業も盛ん。
おもな作物は、オリーブ、サイザル麻、甜菜、オレンジ、トマト、
ナツメヤシなどなどと、いう。
(生のオレンジジュースはホテルでも露店でも多くあり、とてもあまく、
うまかった。)

また大西洋岸は豊かな漁場で、漁業も盛ん。
海に面した、カサブランカでは、シーフードも食べられた。
(料理については、後述。)
日本との結びつきはこのあたり。
タコ、モンゴウイカも多くモロッコから輸入している。
(魚やでよく見る。)

そんなことで、政情もこの地域にしては安定しており
治安も比較的よいようである。
結局、ある程度豊かであれば、国は安定するのであろう。

滞在中、特に危ないと感じることはなかった。

ただし。
客引きのしつこさと、値段交渉には苦労した。
メーターがありながら使われず、3〜4倍、ひどい時には、
10倍も、高く吹っ掛ける言い値を、必ず値切らなければ乗れない
タクシー。

みやげものやなど、マラケッシュの露店、大道芸人などなど、
特に、観光客相手、ということであろうが、
これらは、取れる人間からはできるだけ取ってやろう、
という大原則に貫かれている。
大阪人には、もってこいかもしれぬが、
そもそも、値切る、という習慣のない東京人である私には、
交渉することそれ自体が、とても面倒なことであった。
(最後には、タクシーで、2倍程度であれば、もうめんどうくせいから、
それでいってよ、と、思うようになってきたのであった。)

考えてみれば、これは、アキナイの大原則なのだろう。
アラブ人というのも、砂漠を横断する隊商など、交易で
暮らしてきたという文化を持つ人々、だからであろうか、、。



だいぶ長くなってしまった。
今日はイントロだけで恐縮であるが、
断腸亭、モロッコへいく、つづきはまた明日。




[参考:「地球の歩き方」モロッコ、「ウィキペディア」モロッコ]





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