断腸亭料理日記2009

断腸亭、モロッコへ行く その4

さて。

断腸亭の夏休み、モロッコへ行く、その4

カサブランカ、二日目。

午前中は、ホテルのプールでのんびり。

昼は、近所で食べようと、出てみる。
この界隈は、最初に書いたように郊外のビーチ。
ビーチ沿いにホテルやら、レストラン、夜はクラブなども
店を開け、地元の人々の遊び場のようなところに

なっている。

街を歩くと、ドネルケバブ。


モロッコでも、いたるところで見かける。

ガザ(カザブランカのこと。ローカルの人々は、
こう呼んでいる。)の新市街にもたくさんあったが、
この界隈にも多い、オープンカフェ。


マクドナルドなんぞもあったりするが、
中で、イタリアンっぽい店に入ってみる。

日差しが直にあたると、ちょっと、暑いかと思ったが、
やっぱり、オープンのテーブルに案内される。
真夏の真昼間に、日本などで、日のあたるところで
ランチなどとてもできないが、ここではそれなりに、
できてしまう。
ガザなども海辺であるがやはり、湿度が低い、のである。

ビールは、もう一つのローカルビール
スペシャル。


昨日のカサブランカブランドよりも少し安い。

日本のお新香みたいなものだろう。


必ず、最初にオリーブが出される。

メニューがきたが、あれま。


フランス語。

なにを隠そう、私は、落語の他に、
フランス語もできるのである。

と、いうのは、大嘘で、大学での第二外国語は
フランス語であったのだが文学部でもあり、
3年生まで必修。この単位を落とし、さらに、
4年生までやらされたのであった。そんなことなので、
むろん話せるわけもない。

だが、わかる単語を拾い読みすると、
なんとなく、意味はわかる。
(念のため、成田でフランス語とアラビア語の
会話ブックを買って持ってきていた。
やはり、これは必要、で、あろう。)

頼んだのは、モロッコ風のサラダ。
ケバブ。(ドネルではなく、普通の串焼き。)
うまいので、またまたラムのタジン。
イタリアっぽいのを看板にしている店だが、
ローカルフードも置いてある。

サラダ。


なにがモロッコ風かというと、
野菜をさいの目に切ってあること。
それから、ドレッシングがクミン風味であること。

そういえば、モロッコの人々、というのは、
クミンがお好みのようである。
ケバブ、タジン、その他なんにでも使うし、なにかというと出てくるし、
胡椒のようにテーブルに置いてあるものでもあるようだ。
それ以外のスパイスでは、コリアンダー、フェネル、
シナモンなんぞも比較的よく使われているかもしれない。
それに比べ、辛味系のものは意外に多量には使われない。

ともあれ。

ケバブ。


串から外してあるが、ビーフのケバブ。
やっぱり、シンプルにクミン風味。

ラムのタジン。


フレンチフライがのっている。
他の料理などを見ていても気がつくのだが、
モロッコの人々は、このフレンチフライも
お好みのようである。なにかというと、ついている。

チーズもかかって、下は、トマトのソース。

味は、やっぱり、うまい。

モロッコというのは、やはり、ほとんどの店、
料理が、水準以上。うまい。安心して食べられる。
さすが、と、いうべきであろう。
実際のところ、旧領を含めた英米圏ではあり得ない。
(あ、例外があった。モロッコの魚料理、で、ある。)

さて。

この日の夜。
せっかく、カサブランカにきたのだから、
寄っておきたい店があった。

それはリックス・カフェ(Rick`s CAFE)というところ。
この名前を聞いてお分かりの方は、まあ、あるまい。

「その1」で紹介した映画カサブランカ。
これの重要な場面である、As Time Goes by、が弾かれたりする
カフェ、の名が、リックス・カフェ、と、いうのである。

その映画に登場する店のインテリアからなにから、丸々再現して、
ピアノの生演奏までつけている、その名も、
同じリックス・カフェという店がカサブランカに
あるのである。

やっぱり、話の種に行かずばなるまい。

夜、8時前にホテルを出て、タクシーで向かう。
場所は、ガザのランドマーク、ハッサン2世モスクのそば。

248,Bd Sour Jdid, Place du jardin public.
Ancienne medina
TEL:(022)27-42-07
http://wwww.rickscafe.ma/

夜8時というのは、遅いと思われようが、
これが、モロッコ時間。
昼間は暑くて、シエスタ(お昼寝)をするので、
ディナータイムは8時頃から。
(むろん、みんながみんな、お昼寝をしているわけでは
なさそうなのだが。)
そして、明け方まで、呑んで騒ぐ、そんな人達も
あるようである。

ともあれ。

タクシーで店の前に着く。

ステップがあり、玄関。
この表の造りも映画どおりらしい。

ドアボーイがいて、明けてくれる。

入ると、エントランス。
マネージャーらしき男性が、予約はあるか?と。
いや、ない、と。
だが、モロッコのこと、そうそう、こういう店が、
満席、と、いうことはない、と踏んできたが
予想通り、まあ、あいてはいる。


ピアノの生演奏は8時から始まっており、
そのピアノと反対側の壁際のテーブルに案内される。

これもアールデコ風、なのだろうか。
映画に出てきた通りの白い丸い柱が、なん本も立っている。
なかなか、雰囲気がある。
いや、映画を知らなくとも、
十分にお洒落なレストラン、で、あろう。

メニューは、フレンチというよりは、イタリアンか。
注文は、カサブランカビールをもらい、
内儀(かみ)さんは食べすぎを考えて、サラダ。
私は、ここまでの店であれば、大丈夫だろう。
リベンジ、と、ばかりに、シーフード。
Sward Fish、カジキ。

パンも心なしか、お洒落。


サラダ。


これは、シーザーズサラダ。

カジキに、ついてきた、ナスとズッキーニのソテー。


カジキ。


ムニエル、緑色のソースはバジル。

味は、、、、、、?

あーーーー。

ザッ、残念。


やっぱり、生ぐさい。

これほどの店でもこうだということは、
もはや、魚とは、生ぐさいもの、と、この人達は
思い込んでいる、と、しか思えないだろう。

そういえば、フレンチなどでは、魚介類にはタイムを使うが、
そもそもタイム自身が、魚の生ぐさい匂いに近い、と、
いえるような、、、、、。

もうやめよう。
ショウガナイではないか。

気を取り直し。

食事も終わりに近づく頃、ピアノは、あの曲、そう、
As Time Goes by を弾き始めた。

この曲をやる、とは、話に聞いていたが、実際にこの耳で聞くと、違う。
よいものである。


場所もカサブランカ、雰囲気も映画と同じ。
カッコイイ、ではないか。

日出る国の日本からはるばるユーラシア大陸を越えて、
アフリカ大陸の西の端、日沈む国のモロッコの
カサブランカまできた甲斐があった、と、いうもの。
(モロッコ、という国の、アラビア語であったか、名前には、
日の沈む国、という意味があったと聞いた。)

これこそが、旅情、と、いうもの。

と、余韻にひたりながら、、、、


明日へつづく。







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