断腸亭料理日記2009

子持ちいいだこ桜煮

1月25日(日)夜

さて、昨日買った、いいだこ。





四杯。
子持ち、と、いうことで、さすがに大きい。
俎板に伸ばすと、30cm程度はある。

以前に、子持ちではないもので、桜煮、というのを
やってみたことがある。

この桜煮をまたやってみようか。
子持ちなら、なおよいかもしれない。

いいだこをさばくのは、たいへんである。
墨を、完全に取らないと、煮ても、真っ黒になってしまう。

頭(胴体)から、内臓を引き出して、墨を取って
また、胴体に、おさめる。

子持ちの場合は、どうするのか。
ちょっと調べてみると、内臓と一緒に、
玉子が入っているので、これも共に引き出すが、
同様に墨を取って、おさめるらしい。
(まあ、大差ない。)

まずは、塩をふって、よくもんで、ぬめりを取る。

それから、くちばしと、目玉を包丁で取る。
そして、内臓を引き出し、墨を取る、のだが、
これがたいへん。
墨の袋だけ、外科手術のように取ればよいのだが、
袋だけ取るのは、難しい。
傷つけてしまうと、墨が溢れ出してしまう。
こうなると、出しきって、きれいに洗うしかない。

また、この墨が、吸盤に入り込んで、黒くなってしまう。
プロは、ここまできれいに洗うというが、まあ、適当に
やめておく。

四杯、終了。

次に、番茶で茶ぶり。
煮魚などは、熱湯をかけて、いわゆる、霜降りをするが、
これを番茶でする、のである。

日本料理で、たこの桜煮は、こうするもの、が
決まりのようである。しかし、なぜ番茶なのか、
理由がよくわからない。
色がよくなるのか、柔らかくなるのか、香りなのか、
よくわからぬが、まあ、やってみる。

鍋に湯を沸かし、番茶を入れて、煮出す。

霜降り、で、あるから、完全に沸騰させて、
ざるに入れた、いいだこに、かける。

このまま、水に入れて、20分おく。

ここから、煮る、のではなく、出汁に入れて、蒸す。
蒸す理由は、硬くならない、ということであろう。

鰹削り節で、出汁を取る。

濾して、薄口しょうゆ、煮切ったみりん、酒で、味をつける。
これがレシピなのだが、どうも薄口しょうゆだけでは、
色が薄く、たよりなく感じてしまうのは、
東京人のかなしい(?)、性(さが)、か。
濃口しょうゆも、少し、入れる。

味見。
気持ち、濃いめの味に。

この出汁に、いいだこを入れて、20分蒸す、の、だが、
なにか、容器にいれなければならない。
どうしようか。

いいだこ、四杯が入り、鍋で、蒸せる容器。

取っ手のない小さめの鍋で、四杯入るものを探し、
これにいいだこを入れ、出汁を張る。

一番大きな鍋に、一応、直(じか)でない方がよい、
と、考え、菜箸を二本置き、ここにお湯を入れ、
一度沸騰させる。

煮たったところで、鍋を入れ、ふたをする。

これで、20分。


こんな感じである。
たこは、頭(胴体)を下にして入れる。

よいかな。
あげる。


なかなか、よい色である。

頭から足を切り、頭は半分に切る。
酢味噌、というが、まずは、しょうゆで、食べてみようか。


ついでに、昨日のメジ、も、出す。

食べてみる。

江戸前の鮨やで出る、たこも、店ごとに多少の違いはあるようだが、
基本は、この茶ぶりであると聞いたことがある。
わりに、あの味に近いように思う。
ちょっと、表面の皮などが、ホロっとしている感じ。
これが、番茶の効果、で、あろうか。
あるいは、蒸す、という効果、で、あろうか。

それから、玉子。

これもまた、ホロホロしており、うまい。


桜煮、というのは、この色からのことであろう。

乙なもの、で、ある。


まだ、桜の季節には間があるが、
なんとなく、春を感じさせる、いいだこ桜煮、で、は、

ある。





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