断腸亭料理日記2009

名古屋・ひつまぶし その2

今日は昨日のつづき。

名古屋のひつまぶし。
列に並んで、待ちに待った、特上、が、きたところまで。




海苔やら、薬味やらがずらりと並べられている。
その上、ご丁寧に、足りなくなったら、申しつけて下さい
との、お姐さんの言葉つきである。

先日の日本橋の穴子料理や、を思い出す。

いや、こちら名古屋が本家で、
あちらの方が、真似、で、あろう。
(最後に、茶漬けにするのまで、同じである。)

余談だが、結局、このズラリが、名古屋流なのだろう。

ちょっと離れるが、名古屋といえば、喫茶店。
ご存知の方も多いかもしれない。

私が住んでいた、10年前は、名古屋中心部は、だいぶ、
少なくなっていたが、郊外に出れば、まだまだ健在であった。

なにかというと、名古屋の喫茶店のサービス。

モーニングの豪華さも有名だが、
通常時間帯も、コーヒー以外に、最低でもピーナッツの小鉢
の、ようなものは、必ず付いてくる。
並べるのが好き。それが豪華な感じ。

韓国なども、小鉢が並ぶが、おそらく、日本人も
もともとは、少しずつ、いろんなものを並べる、
と、いうのが、もてなし、であったのだろう。
それが名古屋などには、現在も健在である、ということ。

これに対して、江戸のようなところは、簡便、
即席をよしとする。
従って、天丼、うな丼、親子丼などの、丼ものが発展した。
そういうことではなかろうか。

先日の、志ん生の、中トロ穴子ちらし、
などは、よい例かもしれない。
別に食うのはめんどうくせえ、一緒にのっけてくれ、で、ある。
(まあ、がさつ、ざっかけない、ともいえようが。)

ともあれ。

さすがに特上。
二段に重ねられた、蒲焼。
贅沢、で、ある。

山椒をふって、茶碗によそい、食べる。

これは、うまい。

こんがり、焼かれているが、中は柔らか。
名古屋のうなぎ蒲焼としては、上級ではなかろうか。
噂は正しかったか。

どう食べても、むろん食べる人の勝手であろうが、
ひつまぶし、と、いうもの、
1)そのまま食べる、2)薬味をかけて食べる、
3)最後に、出汁をもらって、うな茶にして、
三回楽しむもの、と、いわれている。

飯の中にもかば焼きを入れている場合もあるのだが、
ここのは、中には、なく、上だけ。
だが、十分な量である。

出汁は、温かいのをお出しするので、
ベルを押して呼んでくれ、と、いうので、

飯茶碗二杯分程度の残りで、出汁をもらう。
土瓶に入れられて、出てくる。

うな茶。


ねぎ、大葉、わさびものせて、食べる。

これがまた、格別に、うまい。

これは、名古屋にいく以前のこと。

なにかの落語に出てきたのだが、
うな茶というものが、世の中にあるらしい、
というのを聞いて、東京の蒲焼で、お茶をかけて、
自分でやってみたことがある。
しかし、これは、まったく、だめ。
食べられたものではない。
蒲焼自体の味が、薄くなりすぎてしまうのである。

こちらの出てくる出汁は、ただの出汁ではなく、
味も付いているのだろう。
しかし、おそらく、名古屋の蒲焼では、ただのお茶をかけても
うまい、のではないかと思われる。

また、もともと柔らかい東京の蒲焼は、
湯に浸すと、さらに柔らかくなり、食感としても
うな茶にするには、焼いただけの、こちらのものの方が優っている。

東京の蒲焼を茶漬けにすると、味が薄くなる、
と、いうのは、なにが違うのか。

やはり、ポイントはたれ、で、あろう。
使っているしょうゆが、名古屋のものは、
たまり、と、聞いたことがある。
これが、茶漬けにしても負けない濃さに
なっているのではなかろうか。

味噌煮込みにしても、なんにしても、
濃い味好きの、名古屋食文化、で、ある。

うまかった、うまかった。

大満足。
腹も一杯。
まさに、名古屋名物ひつまぶし、堪能、で、ある。

3時過ぎの新幹線で、大阪へ。



まるや本店






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