断腸亭料理日記2009

浅草・イタリアンレストラン・

カプチノ

6月28日(日)夜

昨日と、打って変わって一日雨。
特段、出かけもせず、終日、家ですごす。

夜は、内儀(かみ)さんがイタリアンが食いたいという。

日曜日に、イタリアンというと、なかなかむずかしい。
雨だし、あまり遠くまで出掛けたくもなし。
門仲のパッソ・ア・パッソ
に、TELをしてみるが、当日では、だめ。

そこで内儀さんが、思い付いたのは、馬道の

カプチノ

あそこはよい。

久しぶりだが、いってみよう。

一応、TELを入れ、7時に予約。

10分前、雨なので、タクシーで向かう。

馬道、と、書いたが、今ある地名ではない。
今は、浅草二丁目。

馬道といえば、今は、東武の浅草駅から、浅草寺側を北へ上がっている
通りの名前。あるいは、この通りと言問通りの交差点の名前、
と、いったらよいだろうか。
(あるいは、町内会の名前には残っていよう。)

以前、馬道という町名は、仲見世のあたりから、一丁目、
通りに沿って、富士小学校のあたりまで、七、八丁目まで
あった。

なぜ、馬道、という名前がついているのか。
この由来は、落語などにも出てくる。

この馬道通りは、真っ直ぐいくと、
昔は、山谷堀にぶつかり、土手八丁、土手沿いに吉原まで。
吉原通いの遊客が馬に乗って通った、ので、
と、いわれている。

この説には異論がたくさんあるらしいが、その一つ。

吉原というのは、明暦の大火後に、今の人形町あたりにあった
遊所(元)吉原が、かの地に移転させられた。

一方、馬道という地名は、明暦以前から、ある、という。
従って、吉原遊客の馬、説、に説得力はない。
「下谷浅草町名由来考」(台東区)では、『往古』と書かれているが、
江戸以前なのか、に、浅草寺北側に、馬場があったという。
浅草寺の僧侶がその馬場に乗馬の稽古をする際に通ったから、
その名が付いたのではないか、と、考察している。

ともあれ。

カプチノは、その馬道通り沿い、ブルーウエーブインの先、左側にある。

本当に小さな店、で、ある。

昭和44年創業、と、いう。
古い店、で、ある。

店に入ると、雨のせいか、お客さんはなし。
(なにか、このところ、こういうシチュエーションが多いような、、。)

入口付近のテーブルに案内される。

ビールをもらい、メニューを吟味。

と、次々と、お客さんが入り、あっという間に、ほぼ満席。

やはり、いつもそうだが、日曜夜の浅草、
皆、普段着姿の地元の人のようである。
(ちょうど我々の次に入ってきたお客さん。
一番奥に座られた人。私よりも少し年齢は上の、
名前を書けば、ご存知の方も多いと思われるが、やはり、
ご近所在住の有名作家氏。その方が、妙齢の美人を連れて、
いらっしゃっていた。)

さて。

ここで、食べなければいけないのは、
『冷製ほうれん草のパスタ 1360円』、と、
『オックステールシチュー 2730円』。

特に、ほうれん草のパスタは、ここにくるお客の
ほとんどが頼むのではなかろうか。
ここで、これを食べずに、帰ってはいけない。

それから、サラダと、内儀さんの希望で、
ムール貝のオーブン焼き。

ミックスサラダ。


これはまあ、普通のもの。

ムール貝のオーブン焼き。


チーズが香ばしく、また、中の貝の身はジューシーで
なかなかうまい。

テールシチュー。


これもここの名物メニューであろう。
テールのコラーゲン質がトロトロで、デミグラスソースも
絶妙に、うまい。

内儀さんは、この料理がきてから、パンを頼んだ。
確かに、このデミグラスソースは、
パンをつけて、食べたくなる。

そして、なぜか、パスタなのに、最後に出てくる。
冷製ほうれん草のパスタ。


日本人としては、腹にたまるものは、最後、
だからなのか。
一番うまいものだから、最後なのか。

どちらでもよいが、最後はこれ。

味付けは、オイリーさは強くなく、にんにく、と
なにかわからぬが、スパイスなのか、ナッツの類、なのか、、。
得もいわれる、後を引く、ソースの味、なのである。

うまいこと、おびただしい。

満腹。

勘定をして、帰る。

雨は上がっており、帰りは歩き。

工事中の二天門から、観音様、仲見世、伝法院通り、
六区を抜けて、国際通りも渡り、
合羽橋道具街を通り、菊屋橋交差点、帰宅。

かわらず、いつもうまい浅草馬道のカプチノ。
我々には、大切なレストラン、で、ある。






TEL 03-3842-1793
住所 東京都台東区浅草2丁目32−12






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