断腸亭料理日記2009

「食べ物日記―鬼平誕生のころ」を読んで。

その4 小柱と三つ葉のかき揚げ

6月14日(日)夜

池波先生の「食べ物日記―鬼平誕生のころ」を読んで、
の最後。
小柱と三つ葉のかき揚げ。

ご自宅での夕食によく登場する。

おそらく、奥様のお手製。このかき揚げが揚げられる、
というのは、奥様の腕はそうとうなもの、で、ある。


今日は、うまく揚げようと、少し、考えてみた。

天ぷらの場合、プロの技に、重曹を入れる、と、いうのがある。

衣に、ほんの少し重曹を入れると、重曹が発泡し、
カラッと揚がる。
路麺(立ち喰いそば)でもこの系統の天ぷらを
揚げているところもある。

この技は、むろん知っていたのだが、
あえて、しないようにしてきた、のではある。

今日は、この重曹そのものではなく、市販の天ぷら粉。
市販の天ぷら粉にも、おそらく少し重曹が入っているかと思い、
使ってみることにし、小さい袋のものを、買ってきた。

三つ葉は2〜3cmに切って用意。

まずは、いつもの通り、玉子冷水を用意。
ボールに玉子を溶き、冷水、氷2かけら、よく混ぜる。
このまま、一度、冷蔵庫へ入れておく。

油を用意。

今日は新規の油。
胡麻油とサラダ油を半々。
一度、予熱として、温めて、止めておく。

かき揚げの種を作るのに、お椀を二つ用意。

まず、一つに、かき揚げ一つ分の三つ葉と小柱を取る。
前にも書いたが、プロの技として、ここに粉を入れ
まぶす。おそらく、これがつなぎ、に、なるのであろう。
今日はここから、天ぷら粉を使う。

このタイミングで、鍋に点火。

もう一つのお椀に、玉子冷水、かき揚げ一つ分、を取り、
天ぷら粉を軽く溶く。
これを、先の三つ葉と小柱のお椀に入れ、混ぜる。

油の温度をみる。

180℃よりは、少し低めを目指す。

お椀から、一気に投入。

10秒数えながら、待つ。

いいかな。ひっくり返す。

いい色まで。

こんな感じ、で、ある。


天ぷら粉、らしい、揚げ上がり、で、ある。

うーむ。

わるくはないが、不自然な、カリッとした感じ、、、、
とでも、いったらよい、のであろうか。

その上、天ぷら粉自体には、味も付いており、これも
なにか、出来合いの、人工的ともいえる味に一役買っている。
これでは、やはり、満足はできない。

さて。

ここから、実験モードで残った小柱、
あるいは、冷凍庫にあった小海老を使って、この日にも3つほど、
その後も数日、数回、三つ葉のかき揚げを揚げてみた。

(その間に、油温が高すぎて、久しぶりに、投入直後に
沸騰したように、油があふれてしまい、ガス台が油浸し、に
なってしまった、といったこともあったが、、。)

その結果、正しいのかどうか、よくわからぬが、
このあたりか、というところにたどり着いた。

一つは、天ぷら粉は、最初にまぶすところだけで、
後から入れる衣は、普通の小麦粉(薄力粉)でゆるめにしておく。
そして、この後から入れる衣と具材は完全には混ぜない。

つまり、最初にまぶす具のツナギは、
軽めに揚がるように天ぷら粉。
そして、後から入れる衣は自然な衣になる小麦粉で、
少しゆるめにすることで、軽く揚がる。
つまり、中と外と、二種類の衣のような構造になるように
考えてみたのである。

それで揚げたもの。(6/21)


この写真では、内部がどうなっているのかわからない。
内部は、気持としては、少し柔らかめで、もう少し、
堅めに揚がってほしい感じではある。

だが、まあ、まあか。

今回は市販の「天ぷら粉」を使ったが、先に書いたように、
これは味も付いており、純粋に重曹だけを入れる、という
のも一つの手、かもしれない。

油の大沸騰は、計算外であったが、それでも、実験モードで、
いくつも作ってみるのは、楽しい作業ではある。

だが、かき揚げ、難しいことであることは間違いない。
私には、まだまだ、修行、で、あろう。

さて。

小柱の使い道として、朝飯にこんなものも。


温めた飯に、小柱をかけ、海苔、そして、わさびじょうゆを
かけまわしたもの。
小柱飯、と、でもいったらよいか。

これは、うまい。

そして、さらに、余った三つ葉。

実は、これも、池波先生の「食べ物日記・・・」に
よく登場していたのだが、三つ葉おひたしの、からしじょうゆ。


特段、珍しいものではないが、
拙亭では、今まで、あまりやらかかったもの。

これも、うまい。







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