断腸亭料理日記2009

味噌煮込みうどん

3月7日(土)第一食

依然として、風邪。

いや、一度、今週、よくなった、のだけれど、
木曜に接待のような外で呑む機会があり、ぶり返してしまった。

鼻と微熱、その他。

なにか、温かいもの、、、、。
煮込み、うどん。

と、くれば、味噌煮込み、だ。

そういえば、1月に、本場、名古屋で最もうまい、
(と、思う)山本屋本店で食べた。

むろん、これほどはいかぬが、味噌煮込みうどんは、
自作もできる。

前にも書いたが、名古屋単身赴任中、山本屋やら、
他の店でもよく食べたが、真似て、自分でも
作り始め、それなりに食えるものに、なった。

ポイントは、二つほどだろうか。

その1.山本屋、などで持ち帰りで売っている
味噌煮込みうどんのセットもそうなのだが、
麺は、乾麺を直に、味噌のつゆに入れて
生から煮込む。

そして、その2.味は、味噌も、出汁も、濃く。
やはり、名古屋の食いものは、甘いも辛いも、
濃い、これがポイント。

具は、あるもの、だが、鶏肉。
ねぎ。
他には、蒲鉾だったり、油揚げ、椎茸の煮たの、、
麩、そういうものだが、このあたりは、
むろんなくともよい。

と、いうわけで、ねぎと鶏肉。

凍っている、もも肉を解凍しておく。

出汁を取る。
これは、鰹。
むろん、鰹削り節。

煮立った湯にたっぷりと入れ、
弱火で3分、濃く出す。
火を止め、落ち着くまで置いておく。

濾して、一度ボールに取り、鍋に入れる。
最終的には、煮込みうどんなので、土鍋、
なのだが、先に書いたように、つゆの中で、
乾麺をそのまま戻さねばならない。
しかし、土鍋には、長い普通のサイズの乾麺は
入らない。従って、最初は普通の鍋につゆを作り、
柔らかくなってから、土鍋に移そう、と、いうのである。
(名古屋の山本屋では土鍋に入れやすいように、
丸く曲げた乾麺を使っているのである。)

味噌を溶く。
味噌煮込みうどんは、むろん、名古屋の赤味噌。

ちょっと、名古屋の赤味噌の説明をしてみよう。

日本の味噌というのは、その製法原料から、
なん種類かに分けられる。
一番一般的なのが米味噌、と呼ばれる味噌。
米麹と大豆から作られる。
信州味噌も仙台味噌も、京都の西京味噌もみんな、
基本的には同じ、この米味噌に入る。
(東京などでも普通に使われているのは、
みなこの米味噌。)

これに対し、主として名古屋地方で作られている
赤味噌は、豆味噌、と、呼ばれるもの。
米味噌は、米麹を茹でた大豆と合わせ、寝かせて
醗酵させる。
これに対して、豆味噌は、大豆のみで醗酵させる。
赤味噌というよりは、豆味噌というのが
本当はあたっている。
仙台味噌など米味噌でも赤い色が強いものを
赤味噌、と呼ぶこともあるので、誤解も多いのである。

さらに、名古屋地方の豆味噌の中でも、
特に、あの徳川家康の生まれた城下町、
三河岡崎の八丁という町で作られたものを
特に、八丁味噌、といい、赤味噌(豆味噌)の
代名詞、に、なってもいる。
そして、名古屋地方で、味噌といえば、どの家庭でも、
この赤味噌を指す。

で、その赤味噌。
なのであるが、赤味噌というのは、
味噌汁にすると、いわゆる赤だし、に、なる。

赤味噌は、米味噌と比べると、旨味が少ない。
これは、実際に分析をしてみると、
アミノ酸の量が、米味噌に比べて、格段に
少ないらしい。
そこで、赤味噌に、米味噌を合わせ、旨味を加える。
これが、本当の合わせみそ、で、ある。
赤味噌に、京都の西京味噌を合わせたものを
特に、桜味噌という名で呼ぶことがある。
(江戸から続いていた、江戸懐石の料亭、八百善の
レシピには、風呂吹き大根の肉味噌などもそうだが、よく、
この桜味噌が出てくる。
これを知り、味噌やに、桜味噌、なるものを買いに行った
ことがある。すると、そういうものは売っておらず、
合わせたものですよ、と、教えられた。
そんなことがあったっけ。)

豆味噌、赤味噌、八丁味噌と、いうものは、
名古屋地方が誇る、偉大な調味料。
うまいもの、で、ある。

またまた、与太話が長くなってしまった。
味噌煮込みうどん、で、あった。

鰹出汁に入れるのは、赤味噌を主とするのだが、
旨味を足すため、5:1程度の割合で、
少し、信州味噌も溶き入れる。

ここに、乾麺一把を入れる。
多少柔らかくなってきたら、曲げて全部をつゆの中へ
入れ込む。
もう少し柔らかくなったら、
もういいだろう。土鍋に移す。

切った、鶏もも肉も入れ、煮込む。

土鍋のつゆで麺をもどすとくっつきやすいので、
ある程度頻繁に、かき混ぜる必要がある。

乾麺なので、そこそこ時間がかかるが、
よく戻ったら、生玉子、ねぎ、名古屋なので、
特に青い部分を入れ、ふたをする。

玉子が少し固まって、完成。


食べる。

、、、、う。

つゆが濃かった。

味噌の量、で、ある。
そのままではつゆは飲めないくらい、で、ある。

風邪のせいだろう。ぼんやりしていた。
微熱もあるし、、、。
そうだ。
味見もしていない。

ある程度、麺だけを食べたところで、
酒を加え、薄め、もう一度、煮立てる。

やっとリカバー。

こうなれば、うまい。

体も温まるし、汗もかく。
風邪にはぴったり、で、ある。

味噌煮込みうどん、皆さんもお試しあれ!。



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