断腸亭料理日記2009

両国(本所・亀沢町)・江戸蕎麦・ほそ川

引き続き、まだ、連休。

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5月4日(火)みどりの日

もともと、私は、男のくせに、と、思われるだろうが、
占いというものが意外に好きで星占い、西洋占星術なども
よくみていたりする。

少し前に、ふらっと入った、浅草橋のガード下の
小さな串揚げやのカウンターで、一人で呑んでいると、
隣でやはり、一人で呑んでいる、私と同年輩の
サラリーマンの男から話しかけられ、少し、話をした。

私は、昭和38年の生まれで、意外に、年を食っているんですよ、
などと、年の話ををしていると、その男は、私は気学、というのを
少し勉強をしているんですが、じゃあ、何月何日生まれですか、
と、聞かれ、教えると、占ってくれた。

内容を聞いてみると、これが、こわいほど、よく当たっている。
気学というのは、そうとうにむずかしいらしい。
そういえば、池波先生も凝っておられたと、
エッセイに書かれていたのを思い出した。

興味をおぼえ、少し、ネットで調べてみた。
やはり、ほとんどどういうものか、わからないのだが、
生年月日を入れると、毎日のよい方位などを
占ってくれるサイトを見つけ、占ってみたりしている。

そこで、今日は、なにを食おうか、どこへいこうか
この吉方位で占ってみることにした。
今日いくところを、こんな方法で決める、というのも
たまには、おもしろいであろう。

すると、今日の吉方位は、東南、と、出た。

元浅草から、東南というと、蔵前、あるいは、柳橋、、
お、川を渡れば、両国だ。

両国、といえば、なんであろうか。

石原の洋食のクインベル
おお、蕎麦やの、ほそ川があった。

おざわ、大黒屋、と‘趣味そば’が、続いているが、
いってみようか。
あそこは、確か、今年、ミシュランに載ったはず、で、ある。
土日祝日は営業している。

日祝は予約も取らないよう。
だが、蕎麦やである、昼を外せば、だいじょうぶ、で、あろう。

天気もよいし、今日も歩いて出る。
足元は、かかとの裏を直したばかりの、雪駄。
これは、竹皮表で、鼻緒は皮、色は藍で、蜻蛉の柄。

元浅草から両国までは、どういってもよい。
隅田川に架かる橋は、春日通りの南だと、厩橋、
次が、蔵前橋通りの蔵前橋、そして、靖国通りの
両国橋。

今日は、南へいこうか。
三筋を抜けて、途中で新堀通りを蔵前側に渡り、
蔵前通り(江戸通り)と蔵前橋通りの交差点に出る。
ここから、蔵前橋を本所側に渡る。

西詰、南側に交番と公衆トイレがあり、
細くて頼りない、なん代目かの首尾の松がある。

渡って、東京都の復興記念堂のある横網公園。
日本庭園の灰皿の前で、一服。

清澄通りに出て、南下。

ほそ川は、、あれ、どこだっけ。
一度きたきりなので、忘れてしまった。

清澄通りから東側に入り、さらに、路地を南に入った
ところであった、はず。

ちょうど、江戸東京博物館(江戸博)の入口。
大江戸線のエレベーターの前の交差点が、
本所南割下水、今いう、北斎通りの入口。

これであった。
北斎通りの路地であった。

この表、清澄通りには、天ぷらや、天亀八もある。

路地に入り、表のガラス窓から、中が見える。
あいている席もありそうだ。

麻の暖簾を分けて入る。

一人なので、真ん中の大きなテーブルへ。

若い衆がメニューを持ってくる。

にこやかに、今日のお勧めは、穴子天せいろと、
温かい、なめこそば、です、と、いう。

まずは、ビール、瓶のキリンを頼む。

そばはなににしようか。
実は、朝、NHKであったか、羽田の穴子、をやっており、
穴子の天ぷらが食べたかったのである。
(ちなみに、穴子天はここには、いつもあるよう。)

ビールがきた。


そば粉で作った、揚げせんべいのようなものが一緒。

きたところで、穴子天せいろ、を、頼む。

文庫本を読みながら、呑み、つまむ。

そばからきた。


続いて、天ぷらも。


ここの天ぷらは、うまい。
蕎麦やの天ぷらではない。

このご主人は、西浅草のおざわ、などもそうであったと思うが、
もともとは、和食の修業をされた方で、揚げ方としては、
割烹風のもの、である。

趣味そば。毎度書いているが、藪だのの、老舗系でもなく、
街の蕎麦やでもなく、独立開業、凝った内装、酒も充実、
という、増殖中の蕎麦や、のことである。そのなかには、よく、
蕎麦だけは修業している、脱サラ店主、と、思われるような
ところも少なくない。
こういうところは、蕎麦はそれなりだが、他のメニューは
(俺の方がうまいだろ、くらいの)まったく素人仕事であるところ
もある。(その上、蕎麦粉は毎日石臼挽きはよいのだが、
態度が決まって横柄なのは、なぜであろう。
文字通り、趣味のそば。それも客の趣味ではなく、店主の趣味、
ということか。客商売ではない、と、思えばよいのか?。
これには、そういうのをちやほやする、グルメマスコミの風潮も
助長しているのだろう。)

ともあれ、ちゃんと修行をしているご店主の店は趣味そばとはいえ、
サービスも、そば以外の料理、つまみも、むろんのこと、
ちゃんとしている。

そばつゆと、天つゆが、別々にくる。
残っていたビールを呑みながら天ぷらを食う。
野菜天もうまい。

天ぷらを食い終わり、ビールも呑み終り、
そばにかかる。

そばもうまい。
(少しつゆが薄いように感じたのだが、
気のせい、だろうか。)

食い終わり、勘定をして、出る。

ミシュランに載ったので、どんなことになっているのか、
おそれていたのだが、最初にきたときよりも、
落ち着いて、むしろ、よくなっているように思われた。

帰り、江戸博のミュージアムショップをのぞき、
手ぬぐいを二本ほど買い、隅田川沿いをぶらぶら歩いて、帰宅。





ほそ川
TEL 03-3626-1125
〒130-0014 東京都墨田区亀沢1丁目6−5 




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