断腸亭料理日記2010

2010年・断腸亭の夏休み

『モルジブ』その2

8月5日(木)〜

さて。

引き続き、断腸亭の夏休み、モルジブ、で、ある。

昨日、インド洋と書いたが、モルジブは、
スリランカの南西、インド洋に点在する島々の集まり。

範囲は広いのだが、サンゴ礁だけでできているので、
一つ一つの島はほんの小さく、最も大きい首都マーレの島でも
歩いて数十分で一周ができてしまう。

そして、同様にサンゴ礁でできているため、ほとんどすべての島が
海抜1mもなく、温暖化による海面上昇で沈んでしまうのでは、
とも心配されてもいる。
また、先年のインドネシア津波でも被害を受けている。

人口は30万ほど。産業といえば、漁業と
その見事なサンゴ礁の海を生かした、観光。
宗教はスリランカ、インドのそばだが、イスラム教。

ウィキペディア

人種的には、スリランカ、インドなどに近いのであろうが、
古代から海のシルクロードの中継点として栄え、
インド洋を越えた、アラビア方面とのつながりがあり、
12世紀にはそれまでの仏教からイスラムの国になったという。

現在、モルジブは、それぞれの島が小さいので、
一つの島が、一つのホテル、一つのリゾート、ということになっており、
海以外に、史跡などを見て回る、いわゆる観光というのは、
ほとんど成立しない。(一般の住民の住む島への観光客の立ち入りは
禁止されてもいる。)

リゾート島にいる人は、リゾートの従業員と、その客のみで、
マリンスポーツ以外にはまったくすることがなく、いわば、
海だけを前に、徹底的のんびりするところ、で、ある。

出発は、木曜日、成田発13:20のスリランカ航空の直行便。

モルジブは独立国なのだが、つい最近まで独自の軍はなく、
自国の航空会社もない。
それで最も近い国であるスリランカのエアラインなどが
飛んでいる、と、いうわけである。
(今は、直行便があるが、少し前まで、スリランカのコロンボ経由で、
それもただの経由ではなく、強引にコロンボ宿泊、市内観光まで
させられる、というおまけまで付いていた。)

成田から直行で、10時間。
まあ、機内食を食べてひと眠りすれば着く。

現地時刻19時半の、夜着。
マーレ空港とはいうものの、首都のマーレ島ではなく、
近くにはあるが、空港だけの別の島。

マーレ空港はこれで5回目、である。

国際空港だが、日本の地方空港のようなもの。
いや、それよりも簡素であろうか。
小さな空港で、入国審査を済ませ、扉を開けると、
冷房もなく、屋根はあるが簡単なコーヒーショップが一つある
程度のところ。

イスラムの国で基本的には治安はよいのだが、
それでも20数年前、最初に訪れた頃には、
1ドルの“てろてろ”のTシャツを売りにくる
妙に日本語のうまい子供などもわらわらといたのだが、
もうそういうのも見当たらず、いたって、のんびりしている。

我々が今回モルジブで泊るのは、フォーシーズンズ
(東京では目白の椿山荘などにある
グローバルなホテルチェーンである。)

空港には、旅行代理店と、ホテルの出迎えがきており、
ホテルのスピードボートでフォーシーズンズの
リゾート島、クダフラへ向かう。

以前には、どこのリゾートもドーニと呼ばれる
明るい青色に塗られたモルジブ伝統の小さな舟に
ポンポンエンジンを付けたものであった。
しかし、迎えの桟橋にはそんな舟は、もうあまり見えない。
モルジブも近代化しているのか。

モルジブという国はサンゴ礁が輪になった
大きな環礁でできている。
そしてそれらが綾なすリングのように繋がり、
南北にそうとうに長くなっている。
南北で、500km程度はあるのだろうか。
(それで、インド洋の首飾りなどとも呼ばれている。)

空港のある島や首都のマーレは真ん中よりも
少し北寄りのところにある。
空港から遠い島にもリゾートはあり、そういうところへは
さらに水上飛行機などでいく。
(どこも狭い島なので、滑走路のある飛行場は、
そうおいそれとは、作れないのである。)

今回のフォーシーズンズは、空港からスピードボートで
北へぶっ飛ばして、20分ほど。
近い方、で、あろう。

もう暗くなっているので、海や空の景色はわからない。
真っ暗な海を疾走する。

今は、衛星通信で自分の位置を把握するGPSなども
このボートは備えているのだろうが、おそらく
キャプテン(船長)は、そんなものは見ていないだろう。
モルジブの人々は海の中で育ち、おそろしく目がよいという。
むろん、空港島との送り迎えは毎日のことであろうし、
星やら、かすかに見える遠くの島の灯りで場所を判断し、
ボートを操(あやつ)っているはずである。

日本人は農耕民でもあるが、四方を海に囲まれ、
モルジビアンと同様に海洋民でもあった。
漁師や船乗りは古代からおり、
こうした夜でも船を操れる能力を持ち、
今でもそういうことができる人々は少なくないであろう。
どうも私は、山よりも海の方が好きである。
(山菜よりは海の魚の方が好きである。)
私はこうした海洋民のDNAの方が強いのかもしれない。

飽きる間もなく、フォーシーズンズリゾートの
クダフラ島に着いた。

小さな桟橋からあがり、あがったところに
レセプションのある椰子の葉で屋根を葺いた大きな建物へ。
ロビーの椅子で一休み、で、あるが、面倒な
レセプションでの手続きはなく、そのまま、電動カートで
部屋まで送ってくれた。

このサービスはよい。
どうせ飛行機の長旅で疲れているのはわかっている。
本人確認さえできればよいはず。
立ったまま住所やら名前を書かされないのはありがたい。

南の島のリゾートには、今、水上コテージというのも多い。
(たいていは、そちらの方が高価だが。)
水上コテージというのは、おそらく、タヒチあたりが
発祥だと思うのだが、以前はモルジブにはあまりなかった。
今は、モルジブのある程度のリゾートで、用意されている。
(これは津波などがきたら、一発、で、ある。)

ここにもあるが、我々は陸上のコテージ。
(すべての部屋が、水上を含め、独立したコテージ形式、
で、ある。)

コテージの部屋に案内されてびっくり。


キングサイズのベッドの上にゴージャスなレースの
屋根がある。
は、はー、なるほど、フォーシーズンズ!。
(妙なことに感心をしている。)


といったところで、つづきは、また明日。





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