断腸亭料理日記2010

浅利むき身とねぎの汁

2月27日(土)第一食

今週は、タフな一週間であった。

京都出張もあったが、その他いろいろ。
毎日、気の抜ける日はなかった。

今週末は、なにもしないぞ〜〜、
と、声に出してみた。

と、いうことで、第一食。

なにを食べようか。

冷蔵庫を開けて、思い出した。
昨夜、食べようと思って、買ってきた、
浅利むき身、2パック。

他に、安くなっていたので買った、
刺身を食べて腹が一杯になり、残していた、のである。

なにをしようかと思っていたのかというと、
ねぎの五分切りを一緒に煮た、味噌の汁。

本当は『浅利のぶっかけ』

『浅利のぶっかけ』は、池波レシピ。
池波先生は、エッセイなどにも書かれているが、
小説では、剣客商売。

剣客では秋山小兵衛ファミリーのメンバーともいえる、
鰻売りの又六。
この又六が母のおみねとともに住む、
深川島田町の裏長屋。
深川島田町、と、いうのは、木場の西隣。

現代の住居表示でいうと、木場二丁目。
中でも、ハローワークやら、デイリースポーツのある北側が島田町。
最寄駅は、東西線の木場。
江戸からの貯木場、木場は今はなく、
大きな公園になっているのはご存知の通り。



より大きな地図で 断腸亭料理日記/深川島田町 を表示

現代は、永代通りが東西に走り、
そのすぐ南側に堀川(大横川)がある。
さらにそのすぐ南が、江戸の頃の海岸線。
海辺すぐにあった洲崎神社。今の神社の場所は
江戸の頃とかわっていない。

江戸の地図を見るとわかるのは、木場を含めて、
堀川が、縦横に走っていること。
今は、八幡様、不動様の裏を東西に走る、
首都高深川線の下が、十五間川(富岡川)。
木場と島田町の境目の堀は、今、木場親水公園に。
島田町と南の入船町の間の堀は、今は路地の並びで
わかるだけになっている。

だが、残っている堀川も平久川など、少なくない。

そんな深川の海と木場が近い島田町の裏長屋で
大治郎がなん杯もおかわりをして食べる、
『浅利のぶっかけ』。

今、浅利むき身の炊き込みご飯が、深川飯、といわれている
が、その元の形、と、池波先生も書かれている。
炊き込みご飯ではなく、浅利むき身の汁の
ぶっかけ飯であった、と。

江戸、東京下町に住む者にとっては、
(私の父、祖父母などもそうだが)
浅利むき身、と、いうのは、安く、とても
身近なおかずであった。
私の家では、小松菜とむきみをしょうゆで
濃い味に煮た、煮びたし、などもよく食卓に上る
ものであったのを思いだす。

で、この、ぶっかけ、の、場合、味付けは、
しょうゆ、なのか味噌なのか。
家では、こういう食べ方をしてはいなかったので、
実体験としては、わからない、のであるが、池波先生が深川の親戚の家で
食べた記憶では、しょうゆの出汁で、煮たもの、と、書かれている。

これは、個人的な好み、なのだが、浅利、というのは、
かすかな苦味があり、これが味噌の方が合う、
と、思い、私は味噌にしている。

朝からであるが、これで、飯、ではなく、
一杯やろうと、考えた。

鍋に水を張り、五分に切ったねぎを入れ、
煮立てる。ねぎが煮えたら、むき身を入れ、
火を止め、味噌を溶く。

もう一度、熱くして、でき上がり。
簡単なもの、で、ある。

一合だけ、お燗も付ける。


こんなもので、一杯やるのも、またよい。


翌、日曜、朝。冷や飯にかけた、正調『浅利のぶかっけ』


むろん、これも、うまい。







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