断腸亭料理日記2010

焼き茄子の生姜じょうゆと鶏もも焼

7月8日(木)夜

夜、8時すぎ、オフィスから牛込神楽坂駅への
道を歩きながら、今日は、なにを食べようか、考える。

焼き茄子が食べたくなった。
先日、豚の生姜焼き、でも書いたが、
やはり夏になると、焼き茄子を生姜じょうゆで
食べたくなる。

夏らしいし、なにより、簡単、で、ある。

そう。
皆さんは、焼き茄子、というと、どういうものを
想像されるのであろうか。
世の中には、焼き茄子といっても、2種類あるようである。

一つは、そのまま魚焼きのグリル、などで焼いて、
皮をむき、かつぶしなどをふってしょうゆをかけ、
ちょうどおひたしのようにして、食べるもの。

もう一つは、半分に切って、油で焼いて、
生姜じょうゆで食べる。

どちらも焼き茄子、と、いっていると思うが、
きっと、皆さんどちらか、なのではなかろうか。
あるいは、地域性があるかもしれぬ。

私の家では、小さい頃から後者であった。
父、母どちらの主導の料理であったのか、
よくわからぬが、夏になると、よく出ていた。

食べ物に小うるさかった父も、黙って食べていたようだし、
父の好物であったかもしれぬ。
また、母は、簡単なので、歓迎していたのかもしれぬ。

父の“小うるさい”は、決して、贅沢なものを食べたい、
というようなものではなく、自分が食べて育ってきたしょうゆの濃い、
東京下町の味以外は、まったく受け付けぬ、というもので、
まあ、昭和一ケタ生まれの男、らしいというようなもの
であった。
今では、そんな男はとても女性に受け入れられなかろうが、
気に入らない味付けは、お膳をひっくり返す。
まあ、今考えるとマンガのような情景が
私の家では展開されていた。
そういえば、池波先生も同じようなことを
仰っていたように思う。結婚してすぐに、気に入らなければ、
お膳をひっくり返せ、と。
でなければ、男一生の不幸であると。

私の父は、昭和2年、池波先生は大正12年の生まれ。
この世代の男は、どこの地方でも食いものについて、
皆こうだったのか。
東京下町育ちの男だけのことなのか。
池波先生もそうであったと思われるし、
私の父だけのことではない、とは思うのだが、、。

ともあれ。

焼いて皮をむいて、の、方は、
私は、大人になるまで、
そういう茄子の食べ方があることすら知らなかった。

同じ焼き茄子という名前だが、
片や油を使うし、片や、さっぱり。
まったく違う料理、で、ある。

私の場合、そういうわけで、油で焼いた生姜じょうゆが
焼き茄子と思って育ったので、今でも皮をむく方は、
存在は知っているし、食べたこともあるが、
やはり、いまだに食べようとは思わない。

そんなことで、焼き茄子の生姜じょうゆは、
決まりとして、焼き茄子だけではさびしいか。
もう一つ。
鶏もも肉でも焼こうか。
甘辛く、焼鳥風に。

茄子も鶏もも、も、家にある。
そのまま帰宅。

茄子も、もも肉焼きも、料理というほどのことはない。
どちらも簡単。

まずは、冷凍庫からストックの鶏もも肉を一枚出し、
レンジで解凍。

解凍をしたら火が通りやすいように
皮と反対側の肉の厚い部分に、垂直に包丁目を入れておく。

これを、魚を焼く、ガスのグリルへ。
最初は皮を上。

焼いている間に、からめるたれを作る。
フライパンに酒、しょうゆ、砂糖。
これをトロトロになるまで煮詰める。

例の、穴子の煮汁を煮詰めて、たれにする要領。
これをやる時には、思い切り、煮詰めなければ
いけない。あの、焼鳥のたれらしい、トロっとした
たれは、極端ないい方をすると、焦げる寸前、
ぐらいの気持ちで煮詰める。

同時進行で、茄子。

こちらは洗って、へたを落とし、
半分に切り、皮に斜め、格子状に包丁目を
入れておく。これも火が通りやすいように。

たれを作っているフライパンとは別のフライパンを
用意し、油を引き、裏から焼く。

鶏の方の様子を見る。
皮に焦げ目が付いてきたら、ひっくり返す。

茄子は柔らかくなればよいので、適当に
ひっくり返し、終了。

生姜をおろし、生姜じょうゆを作る。

たれも、煮詰まってトロトロになったら
焼けた鶏をからめ、終了。

茄子。


焼鳥。


別段、まったくかわったものではないが、
うまいものができた。

満足、満足。





断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5 |

2004 リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10 |

2004 リスト11 | 2004 リスト12 |2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005 リスト15

2005 リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20 |

2005 リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006 6月

2006 7月 | 2006 8月 | 2006 9月 | 2006 10月 | 2006 11月 | 2006 12月

2007 1月 | 2007 2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月 | 2007 7月

2007 8月 | 2007 9月 | 2007 10月 | 2007 11月 | 2007 12月 | 2008 1月 | 2008 2月

2008 3月 | 2008 4月 | 2008 5月 | 2008 6月 | 2008 7月 | 2008 8月 | 2008 9月

2008 10月 | 2008 11月 | 2008 12月 | 2009 1月 | 2009 2月 | 2009 3月 | 2009 4月

2009 5月 | 2009 6月 | 2009 7月 | 2009 8月 | 2009 9月 | 2009 10月 | 2009 11月 |

2009 12月 | 2010 1月 | 2010 2月 | 2010 3月 | 2010 4月 | 2010 5月 | 2010 6月 |

2010 7月 |


BACK | NEXT |

(C)DANCHOUTEI 2010