断腸亭料理日記2010

池波正太郎と下町歩き5月・その3

末広町・花ぶさ

今日も昨日のつづき。
5月15日(土)、のNHKの『講座』。

神田明神、明神下・旧講武所花街、秋葉原と歩き、
末広町の花ぶさにたどり着き、花ぶさの三階の座敷。
池波先生命名の千代田膳を皆さんと食べ始めた。
昨日は、酢のもの、お造り、吸い物まで。


松花堂弁当形式の、膳。


右上から時計回りに、名物の海老真薯、
鰹のたたきの酢のもの、鮭のバタ焼き、
野菜の炊き合わせ。

海老真薯。
これはどうも、必ず入っているようである。
やはり看板であり、自慢、なのであろう。
池波先生も、お好みであったと思われる。

これだけの人数であるが、揚げ立て。
(従って、というべきか、若干、出てくるのに、
時間がかかっていた。)

味はむろん、文句はない。

鰹のたたき、にしても、煮ものにしても、
どれも、上等な材料で、念入りに料理がしてあり、
うまい。

新生姜の炊き込みご飯。


出汁巻き玉子。


先月きた時には、ご飯は、新筍、であったが
今回は、新生姜。
香りは、ほんのり。

出汁巻き玉子も、むろんあたたかく、
味は薄味。

最後は、白玉のぜんざい。


やはり、これがなくては、花ぶさ、ではない。
最初に、この店にきたのは、ランチ、で、あったが、
昼の忙しい時にも、これをその都度作り、
すべてにつけていた。

あまみをおさえた、白玉のぜんざい。

池波先生は、酒も好きだが、
食後の甘味も、欠かさなかった。
(ともあれ、食べすぎには、注意、か。自戒を含め、、。)

皆さん、口々にいっていたが、
これで、十分すぎるほど、腹一杯。

勘定。

(これがまた、各々で会計なので、時間がかかる。
こうした、個人営業に近いお店の場合、
いたしかたなかろうが、、、課題、で、ある。)

というわけで、だいぶ、時間も押してしまったが、
行程表に出した以上、端折る、わけにもいかず、
本牧亭、うさぎや(ここでは、名物の
どらやきを購入された方もあった。これも池波レシピ。)、
旧天神下(下谷)花柳界、湯島天神、で、終了、解散。

なかなか、むずかしいもの、で、ある。
食べるのは、やはり最後がよかった。
食事では、呑む向きも少なくなく、そのあと、説明を聞く、
のも今一つ、でもあろう。
最後に、もう、固定しよう。

結局、そうとうに、余裕を持った方がよさそう、で、ある。

女性、ご年配の方も少なくない20名以上の皆さんを
引き連れて歩くには、そうとうに余裕が必要。
話す内容などは、それこそ、いくらでもあるが、
行く場所数などは厳選し、少なめ、くらいが
結果的には、ちょうどよいのかもしれぬ。

もう一つ。

なんとなく、気になっているのだが、
この講座のタイトル、『池波正太郎と下町歩き』なのだが、
この“池波正太郎”の、部分。

食事を、先生縁(ゆかり)のところで、というので、
目的は一つは達しているのだが、池波作品と、町歩き、
との関係。
つまり、例えば、神田明神だったら、鬼平のこんな
ところに出てきました、というような、もの?。

1回目も今回も、このあたりは、
あまり意識していなかった。

実は、これは、一つには、切りがないか、というのが、
最初に考えたことであった。
鬼平にしても江戸市中、膨大にあるし、これに、剣客、
梅安などを入れれば、もう、どのくらいになるのか、
見当もつかない。

また、むろん、現代の東京の町で、江戸の頃を
思い出させるようなものの方が、少ないわけであるし、
例えば、近代的なビル街で、このあたりの蕎麦屋で、
忠吾が張り込みをしていました、、というような話も、
今一つか、というようなことも考えたのではあった。

しかし、代表的なものを、というのでもよいのかもしれぬ。
今回の外神田界隈で、今、私が印象的に、思い出すのは、
梅安、で、ある。

白子屋との戦いのクライマックス。

白子屋を梅安らが襲撃するところ。
彼らの江戸でのアジトは明神下同朋町の山城屋という宿屋。
その隣に、味方である、音羽の半右衛門が、探るために
出したの、深川屋、という鰻屋。
(例えば、明神下、神田川も、鰻屋である。)

あるいは、鬼平で、伊三治が最終的には
命を落とすことになる、のだが、強矢(すねや)の伊佐蔵に、
刺されたのは、黒門町あたりの、鳥居丹波守屋敷前、
今の中央通り、御成街道、であったか。

私は、鬼平にしても、梅安にしても、剣客にしても、
なめるようにして、なん度となく読んでいるので、
あの話の、あの場面は、ここ、と、いわれれば、思い出す。
(蕎麦屋など店舗は、創作、で、あるが、池波作品のほとんど、
おそらく、90%以上、は、実在の江戸の地名、町名を
使っているので、これができるのである。)

しかし、こんな話をするのは、あまりにマニアック!?

参加者の皆さんの中でも、作品を読んでいる方、いない方、
様々、あろう。読んでいなければ、なんのことやら、
さっぱり、わからない、か!?。

ま、ま、そんなことも考えての、こと、
ではあるのだが、、、。

次回は、試しに、少し、
そんな話もしてみよう、かしら。






東京都千代田区外神田6-15-5
03-3832-5387




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