断腸亭料理日記2010

がんもどきの朝飯

読者各位様

1600号記念(?)。メルマガも発行をしておりますが、それで数えて、今日で1600号です。

おそらく、数え間違いもありながら、概算でも、このくらいなのでしょう。

毎度ご愛読、ありがとうございます。続けているだけが、取り柄、のような

気もしています。今後ともご愛読のほど、よろしくお願い申し上げます。

断腸亭

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11月6日(土)朝

木曜日の夜、で、あったか。
雷門の尾張屋で、海老天の天ぬきで、呑んで、
そばを食って、ぶらぶら歩いて帰ってきた。

田原町の赤札堂の前で、浅草通りを渡って、
菊屋橋の交差点。

新堀通りも渡ると、元浅草。
渡って、菊屋橋の交差点から二本目の路地を入ると、
右側に、小松屋

と、いう小さな豆腐屋がある。
(なん回か、書いているが。)

2010年

2008年

ここの豆腐がうまい豆腐で、前を通る場合、
開いていれば、のぞいて、買ってしまう。

まあ、わざわざ買いにくるというほどではなし、
ちょいと買いに出るには、私の住む元浅草一丁目からは、
少しある。

日曜休みだし、ウイークデーは開いている時間に
この前を通ることはほとんどない。

今、この界隈、元浅草全体でも、
豆腐屋というのは、ここ一軒ではあるまいか。

下町では、豆腐屋なぞ、昔は一町に一軒は
あったはずである。

豆腐屋に限らず々な商売が各町内にあり、日常のものは
町内でこと足りていた。
それが時代とともに、それまでの職人や問屋の町から、
それぞれが会社になり、住む人が減り、そういった身近な商売が必要なくなり、
店もなくなっていった。
(今また、マンションが増え、私などもそうだが、
都心回帰などといって、いわゆる夜間人口も多少は
増えているかとは思うが、昔の下町とは異なっていよう。)

そんな歴史の、この界隈で、自家製の昔ながらの豆腐の商売は、
なまなかなこと、では続けられないであろうことは
想像に難(かた)くない。

ほろ酔いの、いい機嫌で歩いていたので、時間ははっきり
しないのだが、豆腐屋は開いていた。

入ってみると、親爺さんが出てきた。

なにがよかろう。
寒くなったし、がんもでも煮ようか。
大きいのを四つ。

これを買って帰り、酒としょうゆだけで、
煮ておいた、のである。

ここは、豆腐もうまいが、
がんも、も、うまい。

スーパーで売られているのは、
むろん機械で作られているのだろう、
皮も薄く、中身もスカスカしている。

このがんもは、中身が詰まって、ずっしりと
重い。豆腐もうまいのは、豆乳が濃いため、で、
あろうと、思われるが、それで作ったがんもどきも
また、充実している。

こういうがんもは、煮たその日よりも、
翌日、翌々日と、味が染み込み、もっとうまくなる。

で、土曜の朝。

前の晩から、朝は飯を炊いて、がんもを食おう、
と、考え、寝る前に、米を研ぎ、炊飯器ではなく、
鍋で浸水をしておいた。

鍋、に、したのは、いつもの方法で、炊くため。

朝起きて、味噌汁の準備。
冷蔵庫の野菜室には、ねぎぐらいしかない。
根深汁だ。

鍋に煮干をどっさり入れる。
頭や腹を取ればよいのだが、面倒なので、
そのまま。

煮立てて、煮汁に色が出てくるまで煮出す。

一度鍋ごと洗い桶に突っ込んで冷やす。

なんでこんなことをしているのか。
実は、科学的な根拠はわからない。

野菜にしても、魚にしても、煮る場合は、
お湯に入れるのではなく、水から、と、料理の世界ではいう。
この方が、出汁が出るのだという。

それで一度冷やしてみた。

ねぎを切って、鍋に入れ、再度点火。

ここで、米も炊き始める。
ご飯の方は15分もあれば炊けるので、
このあたりがよい。

ねぎは煮えたら、火を止めて、
味噌を溶いておく。

ご飯の方は、強火で煮立て、
一度しゃ文字でかき混ぜて、
ごく弱火で水分が飛ぶまで、じっくり待つ。

水分がなくなり、微かにおこげの匂いがしてきたら、
火を止め、蒸らす。

10分弱。

OK。

がんもの鍋も冷蔵庫から出し、温め、用意。

味噌汁も、再加熱。
沸騰前に止めて、終了。
漬物は、京漬物のすぐき。


がんも、の、煮たのというのは、
どうしてこうもうまいのであろうか。

それも、ここのは、味が染みると、よりうまい。

酒の肴にもよし、こうして飯にしてもよし。
特に冬には、よいもの、で、ある。








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