断腸亭料理日記2010

池波正太郎と下町歩き11月 その1

11月20日(土)

さて。

NHK文化センターの『講座』
「池波正太郎と下町歩き」下期2回目。

今回は、虎ノ門から、新橋、銀座。
食事は、資生堂パーラーというコース。

資生堂パーラーは、いわずと知れた、
池波レシピ。先生はティーンエージャーの頃、
株屋の小僧として働かれていた時分からの
お馴染みであった。

私なんぞも、コロッケにこの値段を取るのか、
と、若い頃は思っていたところであるが、
東京そして銀座、洋食というものの歴史、
あるいは、料理として材料にしても、手間のかかり方にしても
駅前の定食屋のものとは違うものである、
などということががわかってくると
この店の価値がわかってきた。
まあ、そんな資生堂パーラー。

コースを考えるときに、資生堂パーラーを決め、
ここをゴールにどこをどう歩き、なにを参加する
皆様に伝えるか。これを考えるわけである。

資生堂パーラーのあるあたりは、銀座でも7〜8丁目。
古くは芸者さんのいた、花街。
このあたりのこと。

そして、その南隣、汐留を含め、新橋駅周辺のこと。
まあ、ここまでは普通に考えて妥当な線。
しかし、これだけでは、少し、少ない。

新橋まで、どちら側から歩くか。
海側か、それとも、南側の浜松町方向から、
あるいは、西側の虎ノ門。

海側は浜離宮である。

浜離宮へいって、また戻ってくるのは、ちょいと
コースに無駄がある。

南側、浜松町からだと、見どころとしては、
今一つ。あるいは、神谷町、愛宕山から歩くというのも
なくはないが、少し遠い。

それで、西側、虎ノ門から。
なん度かこのあたり下見をしてみたら、
意外に、おもしろいものが見つかった。

と、いうことで、集合は、銀座線の虎ノ門駅。


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虎ノ門駅は今の虎ノ門交差点。

北側は官庁街。
南側はオフィス街。

角にTOTOのビルがあったりする。

通りは、外濠通りと桜田通り。

北西の角に、少し古く見えるビルがある。

ここの地下鉄の出口で待ち合わせ、で、ある。



私は、稲荷町から銀座線に乗って、一本。
乗っている時間は20分程度か。

今月から着物はむろん冬物。
落語用に以前から持っているものだが、
紬の緑が少し入った茶の羽織と、同じく
錆が入って茶の着物。
白足袋に雪駄。鼻緒は黒。

天気もよく、気温も少し上がると天気予報では
いっていた。歩くにはちょうどよさそうである。

皆さん集合。
この歩道は、官庁街でもあり、土曜日の今日は、
人通りも少ない。

この場で、説明を始める。

まずは、虎ノ門のことから。

虎ノ門というのは、江戸の頃は、
虎ノ御門。
外濠に架かる橋であり、いくつもある、
江戸城外郭の門の一つがあったところ。

江戸城大手門から南方向の主要な門。

虎ノ門の、名前の由来だが、これは、実際のところ、
はっきりしない。

主要な説は、中国の五行説の左青龍と右白虎からという。
大手町に辰口(たつのくち)というところがある。
今は、この地名は、知る人も少なかろうが、
和田倉濠前の住友銀行のあたり。
古くはここから道三濠が北東に掘られていたが、
その道三濠の入り口。

ここが辰、つまり龍で、江戸城からみて左の龍。
そして、右側の今の虎ノ門の位置に、虎。

なにか、少し無理がある気もする。
左右というのには、辰口から、この虎ノ門の位置は、
離れすぎている。

じゃあ、虎だから、寅の方向?。
これは明らかに違う。
子(ね)が北で、卯(う)が東なので、寅は、ほぼ東北東。
南にある虎ノ門は午(うま)の方向。

案外、虎は強そうでいいいじゃないか、程度でつけたのかもしれぬ。

ともあれ。

虎ノ門は、大手門の南で、裏鬼門の方向。
江戸城の防衛上も重要な門であったことは、
間違いなかろう。

ここまで説明し、今度は振り返り、
背後のベージュ色のちょっと古めのビル。
この建物は、霞が関官庁街の南東の端になる。

これは今、文化庁が入っている。
以前は文部省。
建てられたのは、震災後、1932年(昭和7年)。
当時の官庁の建物も関東大震災で大きな被害を
蒙ったのだが、その復興建築の好例ということである。
国登録の有形文化財。
(この指定をするのが入っている文化庁というのは、
ちょいと、おもしろい。)


こんなところで、今日はここまで。
つづきはまた明日。




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