断腸亭料理日記2010

『講座』の資料作りをしながら、考えたこと〜

松が谷・ラーメン・てんくう

11月3日(水)文化の日 第二食

文化の日、祭日、で、ある。
今日も朝から、やっぱり、
資料作りの続き。

作っている資料が、段々長くなっている。

『講座』を始めた4月のものと比べると、
明らかに、長くなっているのである。
当初は、A4で、2〜3ページであったと思うが、
先月は、5ページ、今月も5ページ、いや、もう1ページ
増えるかもしれない。

基本的には、見てまわるスポットごとに、その説明を
書いているわけである。
テキストとして読んでいただくことが目的であるが、
自分で喋ろうと思う内容の、
基本的には、ノートの位置付けでもある。

文章もあるのだが、昔の街の写真だったり、
浮世絵なぞも、よりリアルに理解していただくために
助けになろうと、入れるようになってきている。

資料もある程度揃ってきているので、
自分で疑問に思ったことは調べ、おもしろい、
と、思ったことは、書き入れている。
それこそ、ウィキペディアで調べればわかることなどでは
申し訳なかろう、とも思っている。
(それを整理するだけでも意味はあると思うが。)

基本的なこと、プラス、あまり知られていないこと。
それらを入れると、段々に増えてきている、ということである。

増えている、ベーシックな理由をもう少し説明すると、
どうも、自分で楽しんで書いているのである。

今まで、東京の街を歩き、食べ、疑問に思い、
調べ、断腸亭料理日記、を、書いてきてはいる。

だが、毎日のことで、疑問に思いながらも
そうそう深く調べられず、済ましてしまっていたことが
随分あったことを今さらながらに気が付くわけである。

つまり、やらねばならぬ、と、思ったことが、
『講座』という形を与えていただいたことで、
ある程度自分で納得のいくまで調べることができている、
ような気がしている。
それで、おもしろくなり、長くなっているように思う。

と、そこで、考えたのだが、
じゃあ、なにを、おもしろいと、感じているのか、で、ある。

むろん、東京の街の歴史、なのではあるが、その本質は
なにか、ということ。

東京の街に生まれ育っても、自分の故郷でありながら、
江戸時代、明治、大正、昭和と、同じ場所で歴史としては
つながっているはずなのに、ちっともそんな気がしていない。

毎度買いているが、東京オリンピック前、
昭和の30年代までは、東京の人にも、街にも、
“江戸”があった。
長屋もあり、落語も庶民のものとして、近くにあった。
私の親の世代であれば、それを知ってる。

だが、昭和30年代の終わりに生まれた私などは、
生まれた頃には、既に東京に“江戸”はなくなり、
同じ場所、同じ土地なのに、ぷっつり過去と切り離されて
しまっている、と、ずっと思ってきたわけである。

結局、私のしている作業は、それを探して、つなげること。
自分の故郷探しであるし、それを、できるだけ多くの方に
伝えたいということなのである。

『講座』で調べる行為は、丹念にそれをやらせてもらい、
自分でも様々な発見があり、それがとてもおもしろい、
というわけである。

この前書いた、帝国議会の議事堂のあった場所ではないが、
歴史的に見れば大きな足跡なのに、どこにあったか、誰も知らない。
そこへいっても、なんの痕跡もない。碑、すらない。

むろん、いろんな理由、背景はあろうが、
そんな風に、過去を切り捨て、忘れ去っているのが
東京なのだ、ということもわかってくる。

ともあれ。

私は、そんなものを、探してつなげ、東京というのは、
なんなのか、を、再構築せずにはおれない、のである。

ま、ま、資料作りをしていて、改めて、そんなことを考えた、
のであった。

昼下がりまで資料作りをして、腹が減ってきた。
ちょいと、なにか食べに出ようか、と、考えた。

例によって、稲荷町の洋食や、ベアで、カツカレー
なんというのもよい、と、思ったら、祭日は、休み。

そこで、ラーメン。
最も近所の、最も“まっとう”なラーメンや、てんくう

この日記にも一度書いているが、その後も、
松が谷は近いので、なん度もいっている。

祝日もやっている。

自転車でちょいと、出る。

浅草通り、浅草に向かって、菊屋橋交叉点の一つ前の信号を
左に入ってすぐ左にある。

拙亭からは、自転車で5分もかからなかろう。

13時を少しすぎた頃。
入ってみると、中で二人ほど立って待っている。
休みの日なので、親子連れなどもあるからだろう。

ここにくると、わんたん麺がどうも多いようだ。
海老わんたん、というのも出ているようだが、
限定で売り切れており、いつもの、しょうゆのわんたん麺に
する。


見ておわかりになろうか。
とても、几帳面なラーメンではないか。

具材の並べ方もそうなのだが、
わんたんの包み方。
折り目がぴったりと、整然ときれいに
閉じられている。

しょうゆ味のスープだが、これがうまい。
なくなってしまったが、千束五叉路にあった、
元祖恵比寿ラーメンのものを思い出させる。

シンプルなしょうゆスープをうまく作るのは、
なまなかなものではなかろう。

うまいわんたん麺。

こんなご近所で、ありがたいこと、
で、ある。



TEL 03-3841-5962
住所 台東区松が谷1-3-15 佐野ビル1F






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