断腸亭料理日記2010

鮨・新橋・鶴八 その2

昨日に引続いて、鮨やの新橋鶴八。

刺身の鰹をもらったところまで。


鰹は多めに切ってくれたので、
ここからは、にぎりにしてもらう。

いかと、、、。
白身は、、なにがよかろう。

平目、同昆布〆、かんぱち、鰤(ぶり)もある。
かんぱち、に、しよう。


おっと。
二個ずつ出てきてしまった。

なにもいわなかったのでそうなのであろう。
(まあ、これは鮨やの常識。初回の店であったのを
忘れていた。)

にぎりの大きさは、大きめ。
ねたと酢飯の割合は、この美家古系統ならではの
酢飯が大きい昔風。
しみづは、割合は同じだが、全体がもう少し小さい。

毎度書いているが、やっぱり、にぎり鮨は、
酢飯の存在感が大切である。
ねたを、ばかに大きくしてにぎるのであれば、
にぎりの意味がない。酢飯とにぎってうまいのが、
にぎり鮨、で、ある。

ともあれ。

いかは、むろん、すみいか、であろう。
このところ、ちゃんとしたすみいかを食べていなかった。
やはり、歯応えと柔らかさ、あまみと、ほんのりとした香り。
うまいもの、で、ある。

ここの酢飯の味は酸っぱすぎず、ノーマルであろう。
これも、しみづ、と比較すると、あちらは赤酢で、
濃いめ。

次は、光りもの。

小肌、鯵、鯖。
今度は一個ずつ。

小肌は、美しくにぎられている。
巷(ちまた)では、ここの小肌はピカ一、という
人があるようである。

うまいのだが、若干〆具合が浅めのようである。

浅めがよいのか、強めがよいのか、
まあ、これは、完全に食べる方の好みであろう。

私は、小肌であれば、強めに〆た方が好きである。

本来小肌は生ぐさく、〆なければ食べられない魚。
であれば、強めに〆た方がよいと思われる。
ちなみに、しみづは、強め。
神田鶴八はノーマルから、ちょい強めだったか。
ちなみに、最近よく行く、日本橋吉野

も強めであった。元来の江戸前の〆方は強く〆るものでは
あったのであろう。
時代は変わったが、小肌に限っては変わらず、私は、
強めがうまい、と、思う。

鯵は酢洗いしてある様子。
これは神田、しみづも同様。

鯖は、やはり浅めだが、脂があり、そうとうに、
うまい。鯖は、むろん、浅め、でもうまい。
今年は鯖が、あたり、かもしれぬ。

既に、ビールからお茶にかえている。
お吸い物も出ている。
お吸い物は、豆腐が入り、おそらく蛤。

海老。

これも、この美家古系統に限らぬが、
ちゃんとしているところと、そうでないところの
違いが激しい。
むろん、値段も違うのであろうが、
ボイルして売られているものなどを使っているところは、
パサパサでうまくもなんともない。
回転寿司や、出前の鮨はこの類だが、ひょっとすると、
ある程度の値段を取るところでも、そういうところがある。

注文があってから、茹で立てを、ある程度冷まして
剥いてにぎる、と、いうのが本来の仕事であろう。
時間の経った茹で冷ましなどとは、まったく味が違う。
プリプリであまみがあり、実にうまい。

ここは、車海老、と、ねたの木札には書かれている。

海老のにぎり、とともに、頭を塩焼きにしたものも
小皿にのせて置かれた。
裏方は見えないのでわからないが、
茹で立てではなかろうか。

十二分にうまい海老、で、ある。

中トロ。
柔らかく、とろけるようで、ばかうま。
よく吟味をされたもの、であろう。

最初の二個ずつが、効いている。
だいぶ腹も一杯になってきた。

蛤と、穴子。

穴子もここのものは、評判が高い。

とろけるように煮てあり、炙って出てきた。
評判通り、なるほど、という味。

たびたび、引合いに出すが、しみづは、
穴子のにぎりを、半分に切って、片方は塩で
片方はたれで、というものを出す。

新橋鶴八がオーソドックスな穴子であるとすると、
この塩、というのは、誰が考えたのであろうか。
私の少ない経験では、観音裏の[久いち]も塩を出す。

蛤はむろん、煮ハマだが、瑞々しい。

うまかった。
これで終了。

お勘定、11000円。

この内容で、安くもなく、高くもなく、
まあ、普通、であろう。

ご馳走様ぁ〜、と、店を出る。



私とすれば、神田と、しみづ、をつなげる、
間の店としてきてみた、新橋鶴八。

親方の着物姿などをみると、
中間、というよりは、神田に近いかもしれぬ。

しみづ、がよいのか、新橋鶴八がよいのか、はたまた神田は?。
弟子師匠、兄弟弟子(今の神田と新橋は兄弟弟子。
新橋の方が兄弟子になる。)、近いところで、甲乙をつける意味は、
なかろう。どこもある水準はむろん越えている。

ただ、しみづ、の、親方の方が若い分だけ、むろん、
江戸前の基本を押さえた上でだが、今できるうまいにぎり鮨を
出すために、新しいことをやってみている、と見受けられる。

にぎりなどの味以外にも、店の雰囲気、
親方のキャラクターなどなど、総合して、
まあ、結局、行く人の好みに、合うか合わぬか。
様々なものをひっくるめて、居心地がよいのかどうか、
である。

で、私は、という話。

このところ、『たかがすし屋、されど鮨屋。』の、
肩の力の抜ける、日本橋吉野が気に入っていた。
今は、新橋しみづ、との、使い分け、ということに
なるかもしれない。



港区新橋2丁目16−1−206
03-3591-1551







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