断腸亭料理日記2010

上野・蕎麦・翁庵

9月7日(火)夜

今日は、常磐線で福島まで出張。
19時半頃、上野まで帰ってきた。

先週の喉痛からの発熱は、金土と、一度治まったかに見えたが
薬が切れたからか、日曜にまたぶり返し発熱。
月曜、再び病院で鎮痛剤と別の抗生物質を処方してもらい、
会社に出るには出たが、早く帰ってきて、寝ていた。

それで、今日の出張。
熱は薬で抑え、喉の痛みはだいぶ治まっていたが、ぐったり。

なにを食べようか。
ラーメン?

そういえば、上野駅にラーメンやがあった。
上野公園側の道路に面したところ。
列になっていることもあった。
いってみようか。

上野駅のモールを抜けて、きて看板を見ると、
あ!、一蘭
つい、この4月に、博多で一度入った。
各席が、ブースのような衝立がというのか、
隣との仕切りがある、妙なラーメンや。

一蘭だったのか、、、。
(むろん、味は、わるくはないが。)
列がある店、程度の認識で、店の名前まで、
頭に入っていなかった。
一蘭ならば、入ってみるまでもない。

さて。

どうしようか。

こんな体調なので、酒、ではない。

そば、で、池の端藪、と、いうのもあるが、
あそこは、8時まで。
歩いて行くうちに、8時なりそうである。

浅草側、上野警察前の、翁庵はどうだろうか。

ちっちゃなかき揚げがつけ汁に入った、
ねぎせいろ。

あそこなら、8時すぎでもやっていたはず。
(なん時閉店であろうか。9時であろうか。)

上野駅の正面口にまわり、歩道橋に上がる。
向う側、東京メトロの本社ビル前に降り、
浅草通りの角を右に曲がる。

この角、三井アーバンホテルがもうじき開業するようである。
そういえば、ここは、なんであったか。
お稲荷さん(稲荷寿司)の看板を出した、
小さな店があったような、記憶もあるが、
よくは思い出せぬ。

路地一本あり、古い日本家屋の一戸建て、
翁庵。

暖簾が出ている。

硝子の格子を開けて、入る。

呑んでいるグループが二組ほど。

あいているテーブルに、座る。

なぜだか、冷たい水と、温かいお茶を同時に
お姐さんが、運んできた。

注文は、迷わず、ねぎせいろ、
大盛ですか?と、聞かれたが、普通で。

待っている間にも、一人のお客が、
ちらほらと入ってくる。

まわりを見回して気が付いたのだが、
ここ、店内を少し、改装をしているようである。
天井やら、壁が貼り替えられている。
それで店内が明るくなっている印象。
だが、以前の昭和の雰囲気というのか、得も言われぬ、
味のようなものは、そのままではある。

きたきた、ねぎせいろ。


ちょっと、緑がかった、細めの蕎麦。

つけ汁にひたっている、かき揚げを千切りって、
食べながら、蕎麦をたぐる。

うまいもの、で、ある。


食べ終わり、勘定をして出る。

しかし、この翁庵、なかなか、ありそうでない蕎麦や、
で、はなかろうか。

できたのは、いつ頃だろうか。
少なくとも、この一軒家は古いが、建ったのは、
戦後ではあろう。
また、いわゆる、藪だの、砂場といった、老舗系では
ないのだろう。
翁庵というのは、暖簾分けのものなのか、
神楽坂にも、かつ蕎麦の、翁庵もある。
しかし、関係はあるのか、ないのか、それもわからぬ。
つまり、生い立ちのようなものが、よくわからない。

ともあれ、かつ丼もあるし、見た目は、
ごく普通の町の蕎麦や、で、ある。
しかし、味は、老舗にも引けを取らぬとまでいうと、
いいすぎかもしれぬが、この界隈の他の蕎麦やよりは、
数段、うまいことは間違いない。

そして、ねぎせいろ、というのは、この店の
やはり、多くの客が頼む看板である。
だが、このちっちゃなかき揚げが入ったせいろのそば、
どこの蕎麦やでもやればできるだろうが、
他ではまったく見たことがない。
なぜであろうか。

そして、この店のある場所。
浅草側だが、上野駅前といってもよい場所。
この場所だから、こういう店なのか、、、。
これも、とらえどころがないような気もする。

都合、他にはない、そうとうに、
稀有な蕎麦や、で、はなかろうか。

むろん、なくなって欲しくない、稀有な蕎麦や、で、ある。




住所 台東区東上野3丁目39−8
TEL 03-3831-2660






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