断腸亭料理日記2011

日本橋・吉野鮨

3月25日(金)夜

さて。

金曜日。

今日は、ウイークデーにしては珍しく、
内儀(かみ)さんと待ち合わせて、日本橋の
吉野鮨へ。

吉野鮨はなん回か書いているが、
今、私としては、いろんな意味で、
気に入っている鮨や。

私が、あまりに、ちょいちょい行くので、
内儀さんも行きたい、といっているのだが、
日曜は休みで、土曜も昼だけ。
なかなか、いけなかった、のである

そんなことで、金曜の夜行こう、ということになった。

そうはいっても、あまり早い時間には行けないので
予約はなしで、20時頃、店で待ち合わせ、ということにした。

『たかがすし屋、されど鮨屋』。
これがこの店のキャッチコピー。

このメッセージのお店側の真意は、聞いたわけではないので、
わからないのだが、私なりに、腑に落ちる、のである。

鮪は大間でなければ、だの、赤貝はどこどこ、平目は、、、
なんといった、ことは、ほんとは、お客は口にすべきことではない
のではないか、ということ。
むろん、産地によって、味が違うであろうことは、
わかるのだが、そこだけに価値を見出すのは、
間違っていると、考える。

同じ産地でも様々な条件によって、味は違うはずであるし、
その後の鮨職人の拵え方によっても味は違う。
ともすれば、この産地ブランドだけが独り歩きし、
値段だけが上がってしまう。
さらに、この結果として、日本人は世界中から魚を買い漁り、
資源の枯渇ということにもつながっている。
日本人には、責任があり、むろん、自制すべき、で、あると
考える。

客は、ぐずぐずいわないで、職人に任せ、
出されたものを食べるだけ。
それで、うまいかどうかを純粋に判断すればよい。

こういったことが、私なりの、鮨というものの今の解釈で、
この店の『たかがすし屋、されど鮨屋』はそういう観点で、
ぴったりくる。

と、いうことで、20時、日本橋高島屋裏通りの
吉野鮨の前までくる。

内儀さんは、まだのようで、先に入っていることにする。
暖簾を分けて硝子戸を開けて入る。

二人、と、いうと、カウンターは一杯のよう。
こんな時でも、吉野鮨はにぎわっている。

日経も社説に書いていたが、地震、原発で、
なにもかも自粛というのも考え物ではないか。
買いだめやら、エアコンをガンガンかけたり、と、
実際に迷惑をかける事や、度が過ぎたことは
むろん慎むべきであるが、ある程度、普通の生活を
送ることも、経済上も我々の精神衛生上も、
必要ではあろうと、考える。

壁際奥の小上がりのテーブルに座る。
内儀さんに入っている旨、メールを入れ、
ビールをもらっておく。

ほどなく、内儀さんも到着。

まずは、一人前をもらう。


テーブルではこういう頼み方がよいだろう。
いか、中トロ、赤身、ほたて、イクラ。
鉄火巻、海老、玉子、穴子。

どれも、うまい。
特に、海老、で、あろう。
色もよく、みずみずしい。

一通り食べて、追加。
運んでいる、お兄ちゃんに、あにがあるのか
聞きながら、で、ある。

一人前には、光物がなかったので、
小肌、それから、さより。
白身は、鯛の昆布〆。
それから、煮蛤がないので、浅蜊。


浅蜊の煮たものは、私はあまり見たことが
ないように思う。軍艦で出てきた。

小肌がなにより、うまい。

そして。
内儀さんの希望で、うに。
それから、かんぱち、〆鯖、たこ。


〆鯖がうまいし、ここは、たこもうまい。
きちんとした仕事をしているのではなかろうか。

仕上げに、かんぴょう巻、わさび入り。


どうでもよいが、
海苔巻でも、かんぴょう巻だけは、
このように大きめにきるのは、なぜであろうか。
おそらく、江戸前鮨や、では、ほとんど
この大きさに切っているだろう。
昔からの習慣なのだろうが。

うまかった。

テーブルでこうして気楽につまむのもまた、
よいものではある。
この店の、テーブル席は、ご近所のサラリーマン、
OL達で、居酒屋状態。
これもまた、よし。

ビール二本に、お銚子も二本。

15000円だったか。
まあ、お安め、であろう。




(今日、28日、東京は桜が咲いた。

そして、みんな、元気になろうよ。)


東京都中央区日本橋3-8-11
03-3274-3001

ぐるなび










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