断腸亭料理日記2011

浜町藪そば

9月1日(木)昼

昼前、少し時間があったので
次回の『講座』の下見を兼ねて、人形町へ。

しかし、暑い。

いや、気温よりは、湿度、で、あろう。
まったくまとわりつくような、空気、で、ある。

台風が近付いているので、昨日から急に
土砂降りの雨が降ってきたりしているので、
油断がならない。

この台風は速度が遅く、実際に上陸するのは
明日になりそうだが、毎日こんな感じである。

人形町というところは、仕事関係も含めて、
なんだかんだで、昔からよくくる街ではあった。

ご存知のように、この街は食べるところの候補には、
事欠かない。

洋食の小春軒などは、最も贔屓、
かもしれない。

だが、実は、今日は、昼飯は決めてきた。

どこかといえば、表題に書いた、浜町藪。

浜町藪は、随分前に一、二度来たことがあったのだが、
なんとなく、ピンとこないで、その後、
足を向けていなかった。
(ま、ま、こういう相性の店も、あるにはあるもの、である。)

ここも、池波レシピ。

『日本橋浜町の[藪]もその(藪)系列の蕎麦やで、

私は年に一度ほど、明治座で自分の芝居を上演するときには、

「さあ、浜町の藪へ行けるぞ」と、それが一つのたのしみになる。』

「散歩のとき何か食べたくなって」新潮文庫





これによれば、連雀町(神田)、並木、池之端、浜町の
藪が、創業家の直(じか)の系統だそうな。

浜町藪は、創業明治37年。
やはり、藪とすれば、古い方、で、あろう。

場所は、甘酒横丁を、都営新宿線の浜町駅、
明治座の方に歩き、旧浜町掘を越えて、すぐ、
右側にある。

間口は二、三間の、小さな店である。

表の戸を開けて、入る。

エアコンが効いていて、生き返るようである。

12時半頃。
空席もある。

あいているテーブルに座る。

中は、思っていたほど、狭くはない。
女性二人が、忙しく立ち働いている。

扇子でパタパタ。

なにがよかろう。

こんな暑い日は、鴨せいろ。
品書きも見ないで、決めた。

おしぼりを持ってきてもらった、最初のタイミングで、
「鴨せいろ!」と、頼む。

新聞なんぞを広げて読みながら、待つ。

さほど待つまでもなく、きた。


もりの量は、多めではなかろうか。
蕎麦の色も、藪にしては、気持ち細めで、白っぽいか。

鴨のつゆをつけて、たぐる。

やはり、鴨せいろは、
うまいもん、で、ある。

池之端などは、つくね団子も入っていたと思うが、
ここにはそういうものは入っていない。
脂身と切り身の肉と、ねぎ。

とてもノーマルな鴨せいろ。

つゆをそば湯で割って、全部飲み干す。

うまかった。

立って、勘定。


ありがとうございまぁ〜す。

という、送り出す声も、藪直系らしい。

飾り気のようなものは、まったくないが、
居心地はよい。

ちょっと、印象を新たにした、
浜町藪蕎麦、で、あった。



中央区日本橋浜町2-5-3
03-3666-6522









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