断腸亭料理日記2012

浅利ぬた

4月9日(月)夜

暖かくなった。

いや、今日などは暑いくらいであった。

帰り道、大江戸線牛込神楽坂の駅に向かいながら、
なにを食べようか、考える。

時季として、貝もよい。

簡単に、蛤の湯豆腐、あるいは、蛤の吸い物に
豆腐を入れる。
これは、べら棒に、酒に合う。
ちなみに、蛤の湯豆腐は池波レシピ。

これもよいが、貝つながりで、
思い付いたのは、ぬた。
具は、浅利。

よし、これでいこう。

ぬた、というのは、むろん、ねぎねたで、酢味噌で食う。
酒の肴として、格好のものである。

駅の隣のスーパーに寄る。

青果売り場に、谷中。

暖かかくなると、これもよい。
買おうか。

ねぎは、わけぎを買おうかとも思ったが、
1把、300円弱。
これは高い。いつも通り、普通の長ねぎでよいだろう。
(買い置きあり。)

鮮魚売り場にくると、浅利むきみもあった。
2パック。

帰宅。

ねぎを切る。

長さ4〜5cm。
1/4に割って、ほぐす。

火の通りやすい薄い皮の部分と、
太い芯の部分を分けておく。

薬缶に湯を沸かす。

鍋の湯に入れて湯がくと、どうしても
火が入りすぎてしまうので、私は、熱湯を
かけるだけにしている。

ねぎぬたの場合、熱が入りすぎると、水が出て
酢味噌が薄まり、とても食べられたものではない。

最初に火の通りにくい部分を、ざるにのせる。

すぐに冷やすために、ボールに水、氷の替わりの蓄冷剤(保冷剤)を入れ
スタンバイ。

沸騰したら湯をざっとかけ、一渡りかけると、
別にしておいた火の通りやすい、薄い部分を足し、
さらに湯をかけ、しんなりしたら、すべてを冷水にさらす。

冷えたら、ざるに上げておく。

浅利むき身の方は、洗って鍋で湯がく。

貝類も火の通しすぎは禁物だが、
かといって、生はちょいと、食べずらい。

それでも沸騰したところに入れ、数秒。

水洗いし、これもざるに上げておく。

酢味噌作り。

八丁味噌と白味噌、、と、思ったのだが、
白味噌が切れていたのを、忘れていた。

八丁味噌に信州味噌半々。
少し、甘味がほしいので砂糖を少々。

酢を合わせる。

OK。

ざるに上げたねぎと、浅利はペーパータオルで
潰さぬように気を付けながら、よく水分を取る。

谷中は食べやすいように、縦に包丁の歯を入れ、
こちらは、信州味噌のみ。

それぞれ、皿にのせる。


ビールを抜いて、食べる。

ちょいと、火の通りが不足しているのもあるが、
まあまあ。

湯通しだけの調理なのであるが、ぬた、というのは、
なかなか難しいものである。

特に、ねぎ、というのは、熱の入り具合がある一点をすぎると、
先に書いたように、あとからあとから、水がどんどん出てくる。
一度熱が入ると、後から冷やしても、もうだめ。

火の通りすぎよりも、生の方がまだ食べられる。
よって、今日の仕上がりは、まあまあ。
合格点。

味噌、の、こと。

酢味噌は、白味噌のみ、あるいは、白味噌に辛子を入れて
辛子酢味噌。
八丁味噌と信州味噌(米味噌)の合わせ。
八丁味噌のみ。

この三つくらいの組み合わせ、どれもぬたには、ありえる。
使い分けは、合わせる具材次第。

クセが強い鰯などの光物の酢〆は、八丁味噌のみ。
苦味が多少ある今日の浅利などは、半々の合わせ。
鮪などもうまいが、これは白味噌。

こんな風に考えている。

谷中も、むろん、うまい。

これから初夏。
こういう肴がうまくなる。





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