断腸亭料理日記2012

燗酒とおでん

2月29日(水)夜

雪が降った。

今年の東京の雪は、なん度目であったろうか、
積もったのは先月の末であったか。

子供の頃や、若い頃は、雪が降って、積もるのは
ワクワクすることであったが、さすがにこの年齢では
うれしくはない。

まあ、かといって、迷惑というほどでもない。
足元が滑りやすいのは困るのだが、それなりの
非日常感はやっぱりあって、癒されるというのか、
ほっとするような、落ち着けるような、、、
そんな気もする。

午前中は珍しく、六ヒルへ。

高層ビルから外を見ると朦々と雪が舞っていた。

夕方になって、ちょっと雨が混じり、そのままやんだ。

雨が混じると、路面や歩道の雪も溶けるので、
好都合、で、あった。

7時すぎ、市谷のオフィスを出る。

やんだが、やっぱり、寒い。

温かいものが、食べたい。
なんであろうか。

汁もの。

粕汁、なんというものも、温まる。
(が、内儀(かみ)さんが嫌いであった。)

モツ。

モツ煮ではなく、モツの汁。

これも意外にうまい。
味付けは、味噌。

つまり、モツの味噌汁。

具は、芋、玉ねぎ、ねぎ。
豆腐なんぞを入れてもよい。
(イメージは豚汁をモツに代えたようなもの、である。)

考えつつ、地下鉄に乗って、新御徒町まで戻ってくる。

ハナマサまでくると、店前の野菜のコーナーに
里芋があった。

芋は、ジャガイモのつもりであったが、
里芋でもよいかもしれぬ。

里芋にモツと木綿豆腐を買って、帰宅。

着替えて、作ろうか。

モツを冷蔵庫に一度仕舞おうと、あけると!。

あ!!。

おでんがあった。

大きな鍋に、作ってあった、おでん。

出してみると、まだ、随分と残っていた。
いつのだっけ?。

これは12月のおでん。さすがに、これではない。)

この季節だし、冷蔵庫に入れっ放しだし、
濃いしょうゆ味だし、時々、思い出したように、
煮返して食べていたし、まあ、食えるだろう。

モツは明日だ。

おでんなら、火鉢で燗酒だ。

炭、炭。

炭を熾さねば。

火熾しにいつものように炭を三つほど入れ、
ガスにかける。

すぐに燗をつけたいので、鉄瓶もかけておく。

おでんも、温まってきた。

炭はある程度赤くなったら、火鉢に移す。

鉄瓶も火鉢の五徳にかける。

お銚子とお猪口も用意。

酒は毎度の菊正宗だが、
少し前に買った、瓶入りの樽酒。

他の蔵元ではあまりないかも知れぬが、
菊正はこんなものがある。

一度杉樽に詰めて香りを移し、瓶詰めしたものである。

浅草の並木藪などでは店に菊正の大きな樽を置いている。
呑み慣れないと樽の香り、というのは、気になるのだが、
わざわざ香りを付けているくらいで、昔から東京では
好まれていたのであろう。

お銚子に移しで、鉄瓶に突っ込む。


おでんも皿にのせて、出す。


お燗は、熱くもない、ぬるくもない程度。

燗酒の基本は熱くしすぎない、
上燗(じょうかん)、というやつであろう。

おでんの方は、十分、食える。

東京風の濃いしょうゆ味のおでんには、
やっぱり、菊正宗の燗酒。

温まった。









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