断腸亭料理日記2012

スパゲティー・カルボナーラ

9月16日(日)深夜

さて。

一日、もどる格好になるのだが、
やはり、書いておきたいと思う。

なにかといえば、表題にある通り、スパゲティー・カルボナーラ。

この夏のイタリア行きで、ローマで食べた。

カルボナーラはイタリアでも北部の方の料理、というのは
知っていたが、ローマの名物でもある、というのは今回知った。

この時、火が完全に入り、スクランブルエッグを越えて、
炒り卵になっていて、いけない。カルボナーラは半生がうまい、
と、書いた。そすると、友人から、あれはちゃんと
火が通っていて、よかった、と、思わねばならない、と、
たしなめられた。

なにかといえば、海外では生玉子はおろか、半熟もよした方がよい、
と、いう。

生で玉子を食べるのは、世界広しといえども、日本くらい。
なんとまあ、野蛮な。
日本人は、蛇ですか!?、ともいわれている、やに聞く。

このくらいのことは、知ってはいた。

また、日本の玉子は生食ができるように管理して生産されており、
海外ではそうではない、と。

これも、ある程度、知っていた。

で、実際に、海外で生玉子、あるいは、半熟の玉子でも
そうとうに、危ない、ということ。
これは、知らなかった。

やはり、アタルことはある、という。

なるほど、そういうものか、で、ある。

そういうものがあるのかどうかは、知らぬが、
生食あるいは、半熟で食べたいのならば、そのために
管理して生産された玉子を使わなければ安心はできない、
と、いうことか。

それから、もう一つ。

シシリア・タオルミーナでたまたま買ってきた
ペッコリーノ・チーズ

シシリア産のペッコリーノなので、
ペッコリーノ・シシリアーノ、というようだがこのチーズ。

あそこでも書いたが、ペッコリーノは羊乳のチーズで
濃厚なのだが、イタリアではローマ産=ペッコリーノ・ロマーノが
最も有名で、かの、ローマ名物のカルボナーラは、パルメジャーノ・
ジレッジャーノではなく、このペッコリーノ・ロマーノを使う
ということがわかった。
それで、残っていたペッコリーノ・シシリアーノで
カルボナーラを作らねば、と、思っていた。

日曜日の夜中、腹が減って、カルボナーラを作り始めた。

鍋に湯を湯を沸かす。

今日はローマ式を目指して、生クリームは使わない。

ペッコリーノ・シシリアーノはもう残り少ない。
全部を使う。

薄くスライスし、さらにみじん切り。

お椀に生玉子二個を、割りほぐす。
ここにみじん切りしたペッコリーノを合わせる。

塩もここに入れ、黒胡椒も電動ミルで挽いて、入れておく。
あとの手際を考えて、全部を合わせておくのである。

湯が沸いたら、塩を入れ、スパゲティーを投入。

ベーコンを切って、フライパンで炒める。

スパゲティーが茹ったら、湯を切って、フライパンへ。

ここに先ほどのお椀をあける。

全体を箸で混ぜる。

ん!、温度が低く、固まらない。
フライパンでベーコンを炒めてからの時間の問題で、
玉子が固まる温度よりも下がっていたから。

まあこれは想定内。
ここからがポイント。

フライパンに点火し玉子が固まり始める温度まで加熱する。

この加減が難しい。
鉄のフライパンは熱しやすく冷めやすい。

玉子の固まり始める温度に達すると、鍋肌に接している部分から
急に固まり始めるので、麺に絡んでいる部分は生でも鍋肌だけが、
完全に固まってしまう、という状態に、すぐになってしまう。

つまり、生と固まったものが同時にあるという状態。
このくらいの状態は、スパゲティーやで食べても出てきたりするので、
問題はないと思われる。
結局、自分で出来上がりの目標をどのあたりに置くか。

私の目標は全体が完全に半生のクリーム状。

このため、ある程度、フライパンの熱が上がってきたら
もう、箸で混ぜ始める用意。
少しずつ固まってくる気配が出てきたら、すぐに火を止め、
フライパンもガス台から外す。
火を止めても、ガス台の余熱で固まってしまう。

全体をよくかき混ぜる。
フライパン自体の余熱だけでクリーム状までもっていく。

よし、いい感じに、全体がクリーム状になった。

味見。

ペッコリーノの塩味も強めだからか、ちょうどよい。
仕上げにもう一度、黒胡椒を挽き入れる。
カルボナーラの、語源であるCarbo=炭にちなんだ、
黒胡椒はそれとわかる存在感があるくらいに、たっぷり入れたい。

皿に盛り付け。


どうであろうか。
こんな感じ。

やはり、このくらいがカルボナーラとしては、最良では
なかろうか。
パルメザンチーズではなくペッコリーノを使っている違いは、、?
正直のところ、明確にはわからない。(量の問題もあったかも。)

カルボナーラを私が作り始めたのは、いつ頃からか。
よくわからぬが、15年以上は作っているだろう。
むろん、最初の頃はなん度も失敗している。

最初は温度の加減がわからない。
フライパンの温度が低く固まらないので、レンジをかけたことも
あった。しかし、レンジの方が温度の上昇が急激なので
コントロールしずらい。
やはり、フライパンで微かに熱をかけて、が、
まだコントロールはしやすいので、今はそうしている。


ともあれ、今日のカルボナーラ、うまかった。

いつもは、生クリームを入れるのだが、なしでも
十分にトロッとしたものができたのは、収穫、で、ある。

 

 



 

断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5 |

2004 リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10 |

2004 リスト11 | 2004 リスト12 |2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005 リスト15

2005 リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20 |

2005 リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006 6月

2006 7月 | 2006 8月 | 2006 9月 | 2006 10月 | 2006 11月 | 2006 12月

2007 1月 | 2007 2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月 | 2007 7月

2007 8月 | 2007 9月 | 2007 10月 | 2007 11月 | 2007 12月 | 2008 1月 | 2008 2月

2008 3月 | 2008 4月 | 2008 5月 | 2008 6月 | 2008 7月 | 2008 8月 | 2008 9月

2008 10月 | 2008 11月 | 2008 12月 | 2009 1月 | 2009 2月 | 2009 3月 | 2009 4月

2009 5月 | 2009 6月 | 2009 7月 | 2009 8月 | 2009 9月 | 2009 10月 | 2009 11月 |

2009 12月 | 2010 1月 | 2010 2月 | 2010 3月 | 2010 4月 | 2010 5月 | 2010 6月 |

2010 7月 | 2010 8月 | 2010 9月 | 2010 10月 | 2010 11月 | 2010 12月 |2011 1月 |

2011 2月 | 2011 3月 | 2011 4月 | 2011 5月 | 2011 6月 | 2011 7月 | 2011 8月

2011 9月 | 2011 10月 | 2011 11月 | 2011 12月 | 2012 1月 | 2012 2月 | 2012 3月 |

2012 4月 | 2012 5月 | 2012 6月 | 2012 7月 | 2012 8月 | 2012 9月 |


BACK | NEXT |

(C)DANCHOUTEI 2012