断腸亭料理日記2012

浅草・イタリアン・リストランテ・
ジャルディーノ その1

9月30日(日)夜

さて。

日曜日。

台風が近付いている。

このところ、いくつかきているが、二百十日、二百二十日とすぎ、
9月も終わりになって、というのは、やはり、季節が少しずれてきている
ような気がする。

今回のものは、強い、という。なんとなく、不安、ではある。
特に、大潮と重なるため、高潮の恐れがある、と、気象庁は
警告している。

ハザードマップというものが東京都にもあるが、
これによれば私の住む台東区の浅草あたりは、
最悪の想定では5mであったか、浸水するといっていた。

昼前に四国付近。
愛知付近に上陸、列島を縦断し、関東に最も接近するのは、
夜遅くなってから、といっている。

さて。

それはそれとして。

今夜は、イタリアンを食べにいくことにした。

このあたりでイタリアンといえば、西浅草のジャルディーノ

場所は旧仁丹塔交差点から西へちょっと入ったところ。

最近は浅草でもイタリアンは増えたが、
なかでもここは、古株といってよいではなかろうか。

昼すぎ、18時で予約をしておく。

台風でも浅草であれば、歩いても帰ってこれるので
問題はなかろう。

17時半頃、壊れてもよいように、ビニール傘を持って
内儀(かみ)さんとともに、出る。
風は時折強く吹くが、雨は降ってはいない。

一生懸命に歩いたら、10分で着いてしまった。

内儀さんが仕事できている外人に土産を買いたい、
といっている。

外人への土産であれば仲見世などよさそうだが、
この台風で店を閉めていそうだし、第一、
この国際通りあたりからは仲見世は遠い。

お!。

旧仁丹塔交差点にある、太鼓の宮本卯之助商店

太鼓だけではなく、お神輿なども作っている
浅草では有名な店だが、入ったことはなかった。

のぞいてみると、1階はこまごまとした土産になりそうなものを
売っている。

そう品揃えは多くはないが手拭いやら、腹掛けやら、
祭衣装も多少置いている。

ミニチュアの祭提灯でも買ったら?などといいつつ、
台風で誰もいない店内を少しひやかしていると、
おもしろいものがあった。なにかといえば、拍子木。

太鼓屋さんなので、むろん、太鼓のバチなどは置いてあり、
笛、鐘、いわゆる、お囃子で使うものがあり、それに並んで、
拍子木。

下町の祭では、神輿の担ぎ始めと終わりは、拍子木を叩くので
必需品ではある。

それから、もっとおもしろいものを見つけた。

名前は初めて知ったのだが、ツケ木とツケ板

歌舞伎で、役者が足を踏んで鳴らす時などに合わせて、
裏方が、舞台袖で、両手に持った拍子木のような木の棒を、板に打ち付けて、
小気味のよい大きな音をリズミカルに鳴らす、あれ。

見た目は拍子木と同じような感じではあるが、むろん、
そのために作られたもの。

はー、こんなもの売ってるんだ。
(しかし、誰が買うんだろう?。)

閑話休題。

よい時間になったので、店に向かう。

入ると、案の定、他の客はまったくおらず、
奥の中庭に面した窓際のよい席に案内された。

ここの店名のジャルディーノ(giardino)は庭のこと。

座って、やっぱりビール。

お馴染みのモレッティとメッシーナ。
(メッシーナはシシリアのビールであったが、
なぜか、先日のシシリアでは呑まなかった。
・・面倒なので、知っている銘柄のモレッティーを
馬鹿の一つ覚えのように、言っていたからであろう。)

オーダーは、前菜、パスタ、メインにデザートのつく
5000円のコースにする。
(その上が8000円)

パスタは私は
「生シラスとカラブリア産ウンドゥーヤ(辛口ソーセージペースト)、
オクラのソース スパゲッティ」。

内儀さんは
「信州サーモンと北海道産ホタテ フェンネル(ういきょう)のソース
リングイネ」。

メインは、魚か肉から一品。

私は魚で「伊予灘産 鮮魚のソテー、かるいクリーム仕立ての魚介スープ
椎茸を添えて」。
内儀さんは肉で「仔羊の背肉をシンプルなグリルで、有機ルッコラのサラダと供に」。

ビールを呑みながら待っていると、雨脚が強まり始めた。
依然として、お客はこない。

サービスをしてくれている男性も「今日は貸切のようですね。」
「なにかの記念日ですか?」と。
そうでなければ、こんな日にこない?。
「いや、近所なんです。」
(それでも、普通は家にいるか。)

さて。

前菜。

上のグラスが、じゃがいもの冷製ポタージュ。

右回りにホエー豚のハム。
ホエー豚、と、いうのは、チーズを作る時に出てくる
副産物の液体(乳清)で、これを食べさせた豚のこと。

テリーヌ。
ズッキーニ、ホタテのロースト。

こしょうだいのカルパッチョ。
真ん中が、信州産スモークサーモン。

どれもうまいのだが、特にテリーヌがよい。


途中であるが、長くなった。
明日につづく。

 

 

ジャルディーノ


 


 

断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5 |

2004 リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10 |

2004 リスト11 | 2004 リスト12 |2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005 リスト15

2005 リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20 |

2005 リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006 6月

2006 7月 | 2006 8月 | 2006 9月 | 2006 10月 | 2006 11月 | 2006 12月

2007 1月 | 2007 2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月 | 2007 7月

2007 8月 | 2007 9月 | 2007 10月 | 2007 11月 | 2007 12月 | 2008 1月 | 2008 2月

2008 3月 | 2008 4月 | 2008 5月 | 2008 6月 | 2008 7月 | 2008 8月 | 2008 9月

2008 10月 | 2008 11月 | 2008 12月 | 2009 1月 | 2009 2月 | 2009 3月 | 2009 4月

2009 5月 | 2009 6月 | 2009 7月 | 2009 8月 | 2009 9月 | 2009 10月 | 2009 11月 |

2009 12月 | 2010 1月 | 2010 2月 | 2010 3月 | 2010 4月 | 2010 5月 | 2010 6月 |

2010 7月 | 2010 8月 | 2010 9月 | 2010 10月 | 2010 11月 | 2010 12月 |2011 1月 |

2011 2月 | 2011 3月 | 2011 4月 | 2011 5月 | 2011 6月 | 2011 7月 | 2011 8月

2011 9月 | 2011 10月 | 2011 11月 | 2011 12月 | 2012 1月 | 2012 2月 | 2012 3月 |

2012 4月 | 2012 5月 | 2012 6月 | 2012 7月 | 2012 8月 | 2012 9月 |


BACK | NEXT |

(C)DANCHOUTEI 2012