断腸亭料理日記2012

神楽坂・うなぎ・志満金

9月25日(火)夜

夜、なにを食べようか、夕方から考えていて、
思いついたのが、松茸。

涼風(すずかぜ)が吹いてきたので、
頭に浮かんだ、のである。

もっとも、私の場合、子供の頃から、松茸など秋になっても
食べた記憶はなく、是非ともたらふく食べなければ、
なんということはない。
季節を感じたい、というくらいのものではある。

毎年、同じようなことをしているが、松茸が手軽にたべられる、
神楽坂の志満金

ここの土瓶蒸し、と、まあ、ささやかなもの。

7時半頃、市谷のオフィスをを出る。

地図



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牛込中央通りを突っ切って、牛込南町の真っ直ぐな通りを歩く。
このあたりは高級マンションなどもある、今でもお屋敷町。

毎度書いているが、この市谷牛込界隈というのは、
町割りも町名もほぼ江戸のまま、という都内でも
珍しいところといってよかろう。

市谷から牛込の江戸の地図

牛込南町というのは、隣の中町、北町と合わせて、
幕府の御徒(おかち)の組屋敷のあったところ。
つまりここも御徒町で、御徒であった、かの蜀山人、
大田南畝先生も住んでいた。

南町を抜けて左、すぐ右に曲がる。
新坂を降りて、クランク。
また突き当たり。このあたり若宮町、八幡様がある。
ここまでお屋敷町。

神楽坂の江戸の地図

左に曲がって、次を右。
真っ直ぐ行けば、料亭の加賀。
このあたりから、神楽坂の裏町になり、小料理屋、クラブなどに
町並みは変わる。

道はゆるい坂道で徐々に右にカーブする。
神楽坂の通りに平行になったあたりに、昨年できた
理科大の複合ビル・ポルタ神楽坂があり、その脇を抜けて、
神楽坂に出る。

右に曲がり、天下一ラーメンなどあり、右手、志満金到着。

自動ドアを入ると、一階はけっこうにぎわっている。
若旦那(?)がいて、一人、と、いうと、お二階へ。

階段を上がって、奥の窓側の席へ。

座って、上着を脱ぐ。
今週から、気温が下がったので、ネクタイは必要な時のみだが、
上着を着ている。

市谷からここまで歩いてくると、やはり汗が出るくらい。

瓶のヱビスをもらう。

 

ビールとともに、お新香がくる。

うなぎやの新香は池波先生などもそうだったようだが、東京人は基本、
うなぎやでは、他の肴はもらわないで、これだけで呑みながら、
焼けてくるのを待つ。

このため、そうとうに気を配ったものを出すのが、
東京のうなぎやの伝統といってよいのだろ。

ここのものは、きゅうりにしても実によい漬かり具合。


さてと。

池波先生の教えには背くが、注文は決まっている。

かの、土瓶蒸しと、これだけではさびしいので
うなぎの肝を煮た、肝煮も。
そして、むろん、うな重。

土瓶蒸しからきた。


さすがに、顔がほころぶ。

ふたを取ってゆずを絞る。


流石に、よい香り。
(出汁とゆずの香りが半分だが。)

猪口に取って、飲み、

 

松茸もつまんで食べる。
ささやかに、秋を祝う心持ち、で、ある。

肝煮もきた。


煮え立てかもしれぬ。

柔らかくて、うまい。

腹も減っているので、肝煮も、バクバクと食べてしまう。

呑み終って、お重。


体調のせいか、今日はたれが、からめに感じられる。
過去のこの日記の志満金の記事を読んでみると、“バランスが取れている”
などと書いていた。

まあ、いずれにても、さっぱりとして、うまい蒲焼、で、ある。


食べ終わると、いつものように、抹茶が出てくる。
これもうれしいサービス。

添えられているのは、丸い落雁。

私は、最近、自宅でも抹茶を飲むようになったが
まさに、ここの影響。
また、抹茶には他の和菓子よりも、素朴な落雁が
より合うように思う。

うまかった。
ご馳走様でした。

階下で勘定をし、出る。

東京のうなぎやで、割烹の看板も同時に上げて、
コース料理を出しているところは有名どころ、
他にもなん軒かある。

どうも、私自身は、そういうところとは、相性がわるい。
往々にして、高飛車な、有名店の態度のでかさに出会い、
さらに、それにともなわない、味にがっかりする。

それに対して、ここは味はむろん、そうした態度は、
お姐さんも含めて、ほぼ、ないといってよかろう。
実によい感じの店である。

 

ぐるなび


 

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