断腸亭料理日記2013

魚のフライ

12月6日(土)第二食

さて。

土曜日。

ちょっと前から、魚のフライが食べたかった。

魚のフライとは、また、ざっくりした言い方だが、
魚のフライなら、なんでもよいか、ということではある。

いわゆる白身魚のフライというのは、欧米人も好みの食い物で、
特にイギリスなどはフィッシュ・アンド・チップス
なんといって名物である。

フィッシュ・アンド・チップスの魚は主に鱈(たら)、なのか。

あるいは、マクドナルドのフィレ・オ・フィッシュなどの
ハンバーガーやの白身魚フライのサンドイッチ。

フィッシュサンドは、私などは実は好物といってよい。
時たま、無性に食べたくなる。

特に[ベッカーズ]という赤い看板のJR系のところのものは、
キャベツが入ってタルタルソースとともに、うまい。
今日食べたいと思ったのも実はこれからの連想。

ちなみに、マックのフィレ・オ・フィッシュは調べてみると、
魚の種類は、スケトウダラとのこと。(これ以外にもマックでは
深海魚のホキやメルルーサが世界的には使われているらしい。)

スケトウダラは日本では卵はたらこだが、身は鮮度落ちが早く、
鱈と並んで、鍋にする、あるいは干して棒鱈(ぼうだら)などで
食べられていたが、ご存知のように今は蒲鉾などすり身の原料に
主として使われている。

日本人は、鱈にしてもスケトウダラにしても、あまりフライにはしない。
なぜであろうか。

日本で食べようと思えば、ファストフードのフィッシュサンドくらいである。

欧米では肉よりもヘルシーということなのか、定番ではある。

しかしまあ、考えてみれば、白身魚のフライは淡泊なので、ほぼほぼ、
マヨネーズやタルタルソースの味で、そうたいした食い物ではない
といってよろしかろう。(私の場合はそれが時折、無性に
食べたくなるのだが。)

それ以外の白身の魚はどうであろうか。
白身の代表といえば、鯛、平目、鰈。

このあたり、日本人の感覚とすれば、フライにしてしまうのは、
もったいない。

鮮度がよければむろん鮨や刺身で食べたい。
多少落ちても、煮魚、がうまかろう。

フライにしてマヨネーズで食べてしまうのは、
もったいないと思うのが正直なところである。

で、日本で魚のフライといえば、青魚。
鯵や鰯、である。

安くてうまい。

さて。

冷凍庫をかきまわして、凍った魚を探してみる。

出てきたのは、鰯二匹と、いなだ(わかしくらいか?)の切り身が二枚。

いなだはむろん鰤の子供。
一本買って、余ったのを冷凍してあったのであろう。

どちらも解凍。

鰯は頭を取って腹を出しただけであったので、開いて、中骨を外す。
もろくなっており一匹はさばいている途中、尻尾が取れて
しまった。

揚げ油を用意。
予熱をしておく。

今日の衣付けは、先日の海老フライでやった、
浅草の[大宮]のパン粉二度付けを再びトライしてみよう。

薄力粉をまぶし、割りほぐした全卵二個分にくぐらせ、パン粉。
もう一度、全卵、さらにパン粉。

やはり、しっかりした衣になるようである。

油温は、高温。
身の薄い魚であれば、これでよいだろう。

狐色にこんがりと、揚げる。
(そういえば、フィッシュ・アンド・チップスも
フィレ・オ・フィッシュもパン粉をつけたフライではない。
日本風にいえば天ぷらということになるか。)

キャベツでもあればよいが、在庫なし。

ソースは、マヨネーズ、トマトケチャップ、ウスターソースの
三種のブレンド、オーロラソース。
鰯フライには、これがよい。

魚もフライにしてしまうのであれば、冷凍でもなんら問題はない。

鰯フライは普通の鰯フライで、うまい。

だが、いなだの方は、ちょいとむずかしい。

鰤という魚は鮨やでは、白身に入れたりするが、むろん、
白身というほど淡泊ではなく、苦味ともいべき、独特の味がある。

脂がのった鰤の成魚であれば気にならないが、脂のない
いなだぐらいであるとこれがちょっと問題。煮付けはまだよいが、
塩焼などでは、ダイレクトにこの味を感じてしまう。

フライでくどいオーロラソースをつけても、この味は
やはり、多少気にはなる。

が、まあこれで私の魚フライ欲求は満たされた。

P.S.
衣の、全卵+パン粉の二度付け、意外によい調子、で、ある。
そう厚ぼったくもならず、実にしっかりした衣になる。
とんかつにこれをするのは難しそうだが、もしかしたら、
私のフライものの定番になるかもしれぬ。



 




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