断腸亭料理日記2013

森下・やきとん・山利喜

7月9日(火)夜

今週は、ビッグサイト。

ビッグサイトからの帰り道は、
ユリカモメで豊洲、豊洲から有楽町線で月島、
月島から大江戸線という経路になる。

どこか途中で、一杯、となると、門仲の魚三、なんというのが
私の頭には真っ先に上がるが、
こう暑いと、やっぱり、魚よりは、やっぱり、
もつ焼きなんぞで、酎ハイであろう。

とくると、森下の、山利喜、で、ある。

山利喜といえばやきとん、あるいは大衆酒場としては、
もはや超有名店といってよく、名前はもはや全国区かもしれない。

深川森下のこの地で大正の関東大震災後、大衆酒場を初代が
開いて、当代で三代目。

三代目がフレンチの修行をされ、名物の煮込みに
赤玉ポートワインを使うなど工夫をされ、
今の地位を築いているといってよいのであろう。

先年、昔の大きな赤提灯を下げた店から新築され、
赤提灯はあるがきれいなビルになっている。
むろん、味は依然として、深川のうまいやきとんやである。

複数でいくならは早い時間でなければ座れない。

6時台であるが、一人ならばなんとななるのでは、
と、思い、入ってみる。

自動ドアを入るとすぐに階段があり、一階は階段を半階分上がったところ。

一人、というと、案の定一階のカウンターに座れた。

座ってすぐに、レモンハイを頼む。


お通しは、鰯であろうか、小魚の南蛮漬け。

注文は、迷うことなく、煮込み玉子付きと、ガーリックトースト。

この組み合わせは黄金である。
ここへきて、これを頼まねば、モグリ、で、あろう。

それからやきとん。

軟骨タタキ。

ん?切れてる?!。

人気なのである。一人、二本までということになっている。

じゃあ、普通の軟骨。それから、シロ、レバも欠かせない。
各二本ずつが決まり。

座ったこのカウンターは、調理場の前。

目の前は、名物の煮込みの大鍋の真(ま)ん前。



大きな鍋が二つ。
フツフツと煮えている。

この右側で、やきとんを焼いている。
焼いているのは、意外に若いお兄ちゃん。

煮込みは注文が入ると、大鍋から素焼きの平皿に盛って、
青ねぎをまぶし、火にかけ、一度煮たたせてから出す。

ガーリックトーストは、フランスパン(バケット)を切って、
後ろにあるオーブンで焼いている。

きた。


これが、山利喜特製、煮込み玉子付き、に、ガーリックトースト。

今まで、あまり気を付けていなかったのだが、
この入っているモツは、真ん中に脂のある、丸腸(まるちょう)
というやつである。

ここには、一人できたことは、あったろうか。

居酒屋であるし、ほとんどがテーブル席で、
カウンターは少ない。そういうこともあって、
一人できたことはなく、必ず、なん人かできていた。
最低でも内儀(かみ)さんと二人。

なん人かでくると、むろん話をするし、
話に実が入れば、食べるものの味にはあまり神経が
いかなくなる。

今日は一人、味に集中できるというもの。

改めて、ここの煮込みの味に没頭する。
味噌がベースで、例の赤玉ポートワインが入っている、
と、いうのだが、味は濃いのだが、思っていたよりも甘味は
強くは感じられない。
そして、八丁味噌のものなのか、わずかな苦味がある。

この煮込みのつゆに、ガーリックトーストをつけて食べる。

これが、ばかうま。

やきとんもきた。


やはり、焼き具合が絶妙。

特に、レバ。
やきとんやは、レバの味で決まるであろう。

むろん、火を通しすぎれば、豚のレバは、硬くポロポロになる。
半生でも赤い部分があるのは、やはり、多少心配。

実に、よい加減で火を通してある。

そして、今日やはり、改めて気が付いたこと。

意外なようだが、添えてある溶きがらしのこと。

この溶きがらしが実に、うまい。

うまい、というのもちょいと、表現としては当たっていない、か。
塩梅がよい、というのであろうか、雑味がなく、実にすっきりしている。
市販のものではないのかもしれない。

レモンハイ二杯。
一人なら、このくらいで十分。

お勘定。
3000円ほど。

こんな感じであろう。

じっくり食い物を味わっても、やっぱりうまい。
森下の山利喜、で、あった。

 

 

山利喜

 


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