断腸亭料理日記2013

金沢で鮨 6月

6月19日(水)夜

金沢出張。

日帰り、なのであるが、鮨を食って帰ろうと
考えた。

この1月、泊まりできた時に、初めて金沢で鮨を食ったが、
それ以来。

今まで、取引先と駅の往復だけで、金沢という街は、
兼六園だの金沢城、料亭街など含め、観光というものは
まったくしたことはない。

金沢駅というのはこうした旧市街というのか、
古い金沢の街とは随分離れているというのも大きな理由。

この前に食べた鮨やも、駅付近のホテルの裏。

今回も探索するほどの時間はないので、やはり駅付近で
鮨やを探してみる。

ちょっと評判のよさそうなところ。
別院通り(金沢も「り」を送るようである。)という商店街にある、
[あかめ寿し]というところ。

別院というのは西本願寺の金沢別院で、それが近くにあるため。



より大きな地図で 断腸亭料理日記 別院通り「あかめ寿し] を表示

金沢駅の東口から正面の大通りを真っ直ぐ行って、
左斜めに入っていくのが別院通り。
ちっと古そうな商店街。

5時からやっているので、帰りの都合もあり、
5時すぎに入ってみる。

入ると、口開け。
まだガラスの冷蔵ケースに魚も並んでいない。

一人ですけど、いいですか?
といって、入る。

カウンターの向こう側で白い頭を短く刈った親方が、
最初、びっくりしたような表情をされたが、
どうぞ、と、カウンターの真ん中へ座るように、促してくれる。

この時間には小降りになっていたが、
今日の北陸は朝から豪雨で列車も少し遅れ、蒸し暑かった。

この店は、リーズナブルとのことであったが、
品書きに全部値段が書いてあり、明朗会計ということのよう。

瓶ビールをもらって一息つく。

一品料理もいろいろと、書かれている。

なにか、つまみでもらおうか。

季節、ということであろう。
かわはぎが先頭に書かれている。

やはり夏は、かわはぎ。肝がうまい。
これ、もらってみよう。

ビールを呑みながら、待つ。

きた。


ふぐのように薄造りで、肝も別にたっぷり付いてきた。
ぽん酢に紅葉おろし、わけぎ、肝も一緒に入れてください、
という説明を、運んできた若い衆がしてくれた。

肝はもったいないのでぽん酢には入れず、刺身にのせてぽん酢をつけて口に運ぶ。

いやはや、うまい。

店に水槽があり、カワハギ君が泳いでいるので、活けのものなのであろう。

肝をのせてにぎりにもするが、やはりこうやって
たっぷり食べたいもの。

そういえば、東京あたりでもかわはぎは獲れないことはないが、
伝統的にはこういう食べ方はしてこなかったのではなかろうか。
どちらかといえば、関西。瀬戸内、九州。
冬のふぐ。夏のかわはぎ。
そんなイメージであろうか。

かわはぎの肝を堪能。

にぎりは、おまかせのセットをもらうことにする。

食べた順番で書いてみよう。

まずは右下。
鰹、たたき。

その上、小肌。

獲れるのかと聞けば、獲れるのだが、面倒なので
鮨やではやらないところもある、という。
〆たものなら、鯖の方が人気があるという。
なるほど、北陸は鯖、で、ある。

左、鯛。
鯛は夏が旬だが、これはべら棒に脂がある。
聞いてみると、いつもじゃないんですけどね、とのこと。
今日は、あたり、だ。

左、甘海老。

その隣、ハマチ。
天然であろう。文字通り、鰤の子供。
シコシコで、うまい。

下へいって、左から蟹。
これは毛蟹とのこと。
やはり、活け。

右へ、たこ。

これもうまい。むろん、地のものがあるよう。
江戸前仕事に近いのではなかろうか。多少柔らか目の茹で上がり。
甘いたれもかけてある。

右、これはうなぎ。

うなぎ?と、驚いて、親方に聞いてみると、
金沢にはうなぎや、というのはなくて、鮨やで扱うもの、という。
それで、金沢の人は、うなぎを食べに鮨やへくる、ということも
あるという。
蒸しますか?、ときくと、蒸さずに焼く、関西式。
また、東京よりも身の厚いものを選ぶという。

ハマチの左。
ちょっと、わかりずらいが、これはカジキ。

こちらの人は、カジキをよく食べるんですね、と、聞いてみる。

カジキの種類など私は知らなかった。親方はなん種類も言ってくれて
あれこれ説明してくれた。

前に食べた昆布ではさんだミルフィーユ状の昆布〆のことを聞くと、
あれは、家庭でやるもので、プロはあまりやらない、という。

カジキの左はいか。

名前を聞くと、アカイカ、といっていた。
いかの名前は、全国で同じものをいろいろな呼び方をしているので
なんともいえないのだが、東京でいう、あおりいかのことではないか、
とのこと。
確かに、あまみとプチっという食感がそれらしい。
一級品である。

左は中トロ。

残ったのは、いくらとうに。

どちらも大き目の軍艦に山盛り。
見た目以上に量はある。

うにも鮮度がよいのか、上物のよう。濃厚である。
都合、13個。

まさしく、堪能。

かわはぎと合わせて、大満足。

ものもよいのだろうが、流石に金沢、仕事にも魚の目利きにも
秀でたものがある。単なる魚のうまい海辺の地方都市ではないことが
十二分にわかった。

「よく、おいでるんですか?」

と、親方。
金沢弁、というのは、あたりが柔らかい。

「2、3か月にいっぺんくらいです」。

ご馳走様でした。
おいしかったです。

勘定は、カワハギ刺しが1500円で、ビール一本、
おまかせセットで、計5000円。

 

 


あかめ寿し
金沢市本町1-9-15
076-263-9787


 

 





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