断腸亭料理日記2013

電鉄富山駅・越中そば

11月19日(火)朝

さて。

昨日から大阪経由で富山出張。

昨夜遅く、富山にサンダーバードで着いた。

ホテルは駅前の地鉄ホテルというところ。

東京や大阪も寒くなったが、富山はもっと寒い。

特に感じるのが、水道の水の冷たさ。

富山というのは水のうまいところで有名だが、
立山などからの川の水なのか、真冬の東京の水道水よりも
冷たいのではなかろうか。

朝飯は、ホテルのバイキングなどではなく、今日は
このホテルの下、富山地方鉄道、電鉄富山駅の立ち喰いそばに
してみようと思っていた。

駅の立ち喰いそばやは、JRの富山駅の構内にも入っていて、
こちらのものも以前に食べている。

北陸というのもそば食は盛んといってよいのか。

福井県は永平寺そばが有名で、ちょっと入った駅前の食堂
そばでも、おろしのぶっかけなどは、随分とうまい。

石川県は、私は食べたことがないが、白山のそばが
有名なようである。

富山はどうか。

おわら風の盆で有名な、富山市八尾の八尾そば。
あるいは、立山町、砺波など山沿いの地域のそばは
比較的名が知られているようではある。

そば食というのは、古来土地がやせていて主食の米麦が
採れないところといわれてききた。

現代において都道府県別のそばの生産量順位(2013年)を
試みに調べてみた。

北海道がダントツ、11,400tでNo.1。2位が福島県2,630t、3位が
僅差で山形県2,570t。以下、2,000t台で、4位長野県、5位茨城県。
その下は、6位福井県、7位栃木県、8位秋田県の順で1,000t台、と
なっている。

昔からいわれているそばの産地とはやはり少し変わっている。
例えば、岩手県などわんこそばで有名だが、岩手県の生産量は615t。
出雲そば、なんというのも有名だが島根県の生産量は156tでごくわずか。

で、富山県はというと、146t(ちなみに石川県は96t)で多くはない。

信州や越前など、昔からのそばどころの名前と
今の生産量が一致しているところもあるが、必ずしも
そうではなくなっているのは、おもしろい。

ただ、今のそばブームで新興の産地、茨城、栃木あたりか、
も地域起しのために名物としてそばのイベントなどを盛んに催してもおり、
そばどころのイメージも変わっていくのかもしれない。

ともあれ。

朝、着替えてホテルの下へ降りる。

ホテルの下が、地鉄の「電鉄富山駅」。
立山や宇奈月温泉へ向かう電車である。

立ち喰いそばは、その改札手前の小さな待合室の中にある。

目の前はホーム。


きてみるとかわいい配色の電車。
普通の立山行き。

私は鉄っちゃんではないが、ちょっと調べてみたら、
これは京阪のお古の車両らしい。

さらに、駅の構内に西武線の以前のクリーム色に赤いラインの
特急レッドアローの模型が飾ってあり、これも調べてみると、
予想通り西武のお古で、立山の登山客を見込んで導入したという。

私は子供の頃、練馬に住んでいたので、よく見た車両が、
こんなところで余生を送っているのは、ちょっとびっくり、
ちょっとうれしくもあった。

さて。
立ち喰そばは、その名も、越前そば、という。

待合室の中にさらにガラスで仕切られた小部屋になっている。
入るとお客はなし。
お姐さんが一人でやっているが、朝、食べる人は少ないのか。

白海老かき揚げに生玉子入りを頼んでみた。


赤い、のの字の筋が入ったものは蒲鉾だが、こちらの蒲鉾は
こういうのが定番。

麺は茹で麺、かき揚げも揚げたてではない。
いや、それが決してわるいということではない。
それはそれで、そういうものとして、うまいし、
私は好きである。

福井のそばもそうだったが、麺の色が濃い。

そして、なによりよいのは、つゆの味が濃いこと。

東京浅草のそばつゆの味に慣れている私だが、
東京でも大手の立ち喰いそばチェーンなどでは、
薄いと思うことも少なくないが、これはよい。

そばの色も濃いが、つゆの色も味も濃い。
細かくいうと甘味も強いように思われる。

これはなんであろうか。

富山というのは、意外に濃い味なのか。

富山にはブラックラーメン
という濃い味のラーメンがあるが、そういうことなのか?。
もしかすると、こちらのしょうゆが、こういう味
濃くて甘い、のかもしれぬ。

ともあれ。

白海老かき揚げ。

これは、まあ、こういうものか。
最近思うのだが、白海老というのは、やはり生がうまい
ということである。

少し前から東京にも入ってきており、小さいものだが、
基本はむいて生で出てくる。(むく作業はたいへんであるが。)
これは色もよいし、うまい。

ただ、揚げてしまうと、他の海老とあまり変わらない。
桜海老よりは大きくてちょっと食べずらく、芝海老よりも小さくて
身の味は感じられない。

なんとなく、どっちつかずのような気もしなくないような。
まあ、むろん、こういう海老なのではあるが。

ともあれ。
十分に満足。
(JR富山駅構内よりもういまかも。)

ご当地立ち喰そば、ご馳走様でした。

 

 



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