断腸亭料理日記2013

落語二日間口演

9月14日(土)15日(日)

いやぁ〜、疲れた、疲れた。

昨日今日と、二日間の落語口演が終わった。

前に書いた通り、母校の都立富士高校の学園祭の
OB会の出展しているところで、落語を演らせていただいた。

考えてみると、素人のこと、今までは会社の宴会だったり、
習っていた頃の発表会などで、皆、一日一回で
二日間続けた演ったことはなかった。

プロの落語家であれば、仕事であるから
毎日落語をするわけで、当たり前のことだが、
たいへんなものだと、身を以て気が付いた次第である。

喋っていた時間は計30分。

演った落語は『黄金の大黒』。
噺自体は15分程度に短くしてある。

この前に自己紹介、なんで落語をしているのか、
を中心に、15分程度である。

噺はもちろん同じだが、自己紹介も
昨日も今日も内容はほぼ同じ。

それでもこれだけ疲れた。

ただ、やはり、得たものも大きいように思う。

なにかというと、落語を演るのは愉しいことである、
ということに気が付いたこと。

もちろん、今までも愉しいから落語をやっていた、
のであるが、それとはまた違う愉しさに気が付いた。

今までは、落語を喋る機会があったとすると
そこに向けて少しでも上手く演れるように稽古をする。

口演が終われば、一連の作業は一先ず終わる。

つまり、一度リセットし、次の機会はまたしばらく後。
そして、また同じことを始める。

ゼロには戻らないとは思うのだが、
今考えると、九割程度は元に戻っていたのでは
なかろうか。

別の角度でいうと、100回稽古をするよりもお客さんの前で
1回喋ることで得られることは思いのほか多い、
と、いうこと。

当たり前のことだが、なん度稽古をしても
お客さんはいないので、反応はない。
むろん、誰か笑ってくれるわけではない。

自分が喋る噺で笑ってくれる人、くれない人、
いろんな反応があってこれもおもしろい。

そう、お客さんの反応。

落語というのは聞いてる人に
笑ってもらう、楽しんでもらうために演る。

こんな当たり前のことに今更ながら
気が付いたのである。

笑ってもらえれば、やっぱり素直にうれしい。

まあ、私の場合、立川談志から落語に入っているので
"落語とは人間の業の肯定"ではないが、そうとう部分が
『頭』から入っている。

落語を通してなにかを伝える、のもよいのだが、
その前に聞いてもらえなければなにも伝わらない。

いやその前に笑ってもらう、楽しんでもらうのが
大衆芸能の一つである落語の最も基本的な
機能であることは、自明である。

正直のことをいえば、そんな自明な、楽しんでもらう、
笑ってもらうことの愉しさが本当の意味では
腑に落ちていなかった、と、いうことなのである。

感心をしてもらったり、前より上手くなったね
と、いわれること、あるいは、単純に自分として、
間違わずに最後まで喋れた、、そのあたりに、
留まっていた。
(これが素人、ということであろう。)

人前でちゃんと喋れるくらいの稽古は最低でも
むろん、しておかねばならぬが、それ以上に、実際に
お客さんの前で、なん度も演じることの大切さ
また同時に、愉しさを実感した。

大収穫、かもしれない。





貴重な機会を与えていただいた、
若竹会(都立富士高校OB会)幹事の皆様に
感謝申し上げたい。



 

 




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