断腸亭料理日記2014

箱根塔ノ沢・福住楼 その2

12月20日(土)

引き続き、箱根塔ノ沢温泉の[福住楼]。

数寄屋造りの部屋に落ち着き、名物の丸風呂。
風呂から上がって転寝(うたたね)をしていると、
飯(めし)の時刻。

献立書きがあったので、書き出してみる。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

先付 エイヒレ煮凝り

酒菜 五点盛

造り 旬の地魚

       鮪 黒ムツ

中皿 和牛ロースト煮

       西洋山葵おろし

名物 おしつけみぞれ鍋

       白子 湯葉

鰤大根照り焼き

       蕪阿茶羅漬

公魚香り揚

       酢橘 塩

海老芋ふくませ煮

       梅田牛蒡

白飯 止椀 香の物

季節の果物

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

先付と五点盛。


右側のピンク色の小鉢がエイヒレ煮凝り。

五点盛の方は、海老とアスパラの白胡麻(ピーナッツ?)和え、
子持ち昆布、河豚のにぎり鮨、なまこ酢、山菜の和え物など。

造りは二皿。


左から鮪といか。いかはあおりいか。

東京の鮨やで使うあおりいかよりも、肉厚ではなかろうか。

左の皮付きで、霜降りになっているものは、ヤガラ、
と、いっていた。

私などはダイビングをするのでよく見るのだが、
細くて1m程度はある、ちょっと異体の魚。
東京の魚や、吉池などでも見たことはある。
白身である。歯応えがこりこり。
食べたのは初めてである。

もう一皿は、鯛。

おしつけの鍋。


昨年きた時にも、鍋として出た。

「おしつけ」といっているのは、小田原地方の呼び名で、
あぶらぼうず、という名前の深海魚。

ちょっと、ギンダラに似た感じで柔らかい白身だが
脂がある、、、のであるが、今日のものは心なしか
脂がもう一つの、ような、、、。

牛のロースト。


写真を撮るのを忘れて、食べ終わってしまった。

ローストビーフのサラダ仕立て。
生野菜とオレンジの輪切り、ホースラディッシュの風味。
普通にうまい。

焼き物。


鰤照り焼きはノーマルなもの。
大根は茹でたものかもしれぬ。
品書きにある「蕪阿茶羅漬」というのは、甘酢漬けのこと。
さらに杏の甘煮添え。

揚げ物。


公魚(わかさぎ)のから揚げ。

煮物とご飯、赤出汁。


海老芋というのは里芋の種類である。
京野菜といってよいのであろう。
独特の風味と甘味。

梅田牛蒡というのは、私も初めて。
調べると、埼玉の春日部原産。見た通り、太い品種。
古くは宮内省御用達だったものという。

太い分、柔らかいというのか、多少スカスカした感じ。
苦味もあるか?。
緑のものは春菊のよう。

ご馳走様でした。
腹一杯。

あとはデザートのいちごがあるのだが、
これだけの品数があると、もう食べられない。
気を利かせてか仲居さんは、冷蔵庫へ入れておいてくれる。

食器類を下げてくれて、布団を敷く。

ホテルに比べて、日本旅館のサービスというのは、
よく考えると、すごいものである。

同じ給仕をしてくれた仲居さんと、部屋まで
運んでいる番頭さんがそのまま二人一組で、布団を敷く。

今でもあるレベル以上の日本旅館ではこのサービスを
していると思われる。
(西洋のホテルは食事と部屋は完全に分業されているわけだが。)
これも日本式の“おもてなし”といってよいのか。

それから。

ここの布団の敷き方はなかなかに芸術的。
お客を外に出す旅館も多いと思うが、ここはそんなことはいわない。
シーツを広げる時に埃が立たないように配慮もしており、
あっという間に敷き終わる二人の連携した手際が素晴らしい。

枕元に小さな行燈ランプをセットしてくれて
お湯と冷水、二種類のポットを用意してくれて、
夜の準備完了、で、ある。



つづく。



福住楼



 

 


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