断腸亭料理日記2014

リエット

2月15日(土)夜

さて、土曜日。

金曜日から一日中降った雪は予報通り、
日曜の朝には雨になった。

今日は、先週に引き続いて、歌舞伎の昼の部を
観に行くことにした。

この前は夜の部の「白波五人男」を観た。
こちらの方は作者は黙阿弥。人気もあって
上演頻度も高い。

昼の部の方は「心謎解色糸(こころなぞとけたいろいと)」という
芝居で作は鶴屋南北。
南北の名前はおそらくだれでも聞いたことがあるだろう。
代表作は「東海道四谷怪談」。また、歌舞伎作者としては
黙阿弥と並んで、歌舞伎史上、龍虎といわれている。

しかし、なぜか有名な「四谷怪談」それからもう一つ、
「盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)」あたりを除いて
ほとんど演じられていない。
いや演じられていない、というのは言いすぎかもしれぬが、
黙阿弥に比べると極端に少ないと思われる。

私は「盟三五大切」を2008年に幕見で観た
くらいで「四谷怪談」は観ていない。

今回は通しで演ってくれるし、やっぱり、
勉強のために南北先生も観ておかなければ、と
思ったのである。

(内容については、歌舞伎ばかり続くので
また別の機会に書くとする。)

芝居がはねて、銀座の[赤坂トップス]でドライカレーを
食べた。

トップスのドライカレーは池波先生の
「銀座日記」に出てくるのっで池波レシピと
いってよいのだろう。

ここのドライカレーというのは白飯の上に
ほぐした肉が入った粘度の高いドロッとした
カレーがのっているというもの。
(むろんまずくはないが、びっくりするほどの
ものではない。)

いつも食べた後、なんとなく拍子抜けというのか、
う〜ん、もう一つ、だよなぁ、、、などと考え、
今日は、ここからの連想でリエットを作ろうか
と、思いついた。

リエットというのは、豚肉などの脂の多い肉を
柔らかく煮込んで繊維をほぐし、脂とともに
冷やし固めたもので、かなりポピュラーな
フランス料理。

以前から食べたことがあったのだが、
昨年の連休にパリへ行って食べたものが
特にうまかったので、帰ってきた、初めて
自作してみたのであった。

作ってみると、時間はかかるが意外に簡単に
それらしいものができた。

銀座からの帰り道、ハナマサで
豚ロースの塊とベーコン塊、
それから白ワイン、さらにリエットをのせて食べる
バケット(フランスパン)も買って、帰宅。

材料とすれば、あとは玉ねぎくらい。

夜になって作り始める。

ロースの塊は一口に切って塩胡椒。
ベーコンの塊も一口。むろんベーコンは
塩味が付いているので塩胡椒はなし。
玉ねぎは一個、ざく切り。

ロース肉から炒め始める。

こんがり焦げ目をつける。
量が多いのでちょっとたいへん。

ここに玉ねぎ。

これもしんなりするまでよく炒める。

最後にベーコン。

脂を出して、白ワイン。

そして、水分がなくなるまで煮詰める。


煮詰まったら、煮込み用の鍋に入れ、
ローリエ、黒胡椒。
水をヒタヒタに入れ、煮込む。

今日は圧力鍋。

ふたをして、点火。
加熱、加圧。

圧が上がったら、弱火にして5分。
ここで消火。

圧が下がるまで、放置調理。

30分程度、圧が下がっているのを確認し、
ふたを開ける。


様子を見る。

普通に煮込むと1〜2時間。

目安とすれば、簡単にほぐれるまで
柔らかく煮込まねばいけない。

木べらで押してみると、ちょっとまだ足らないか。

今度は圧はかけずに煮込み継続。
15分ほど。

どうせこの後、物理的に潰すのであるから、
潰れればよいか、と終了。

ローリエを取り出し、あたり鉢へ。


二回に分けて潰して冷やし固めるための容器へ移す。


冷水で冷やしてみる。

が、脂というのはすぐに冷えるものではない。

まあ、よい、このまま食べよう。

バケットを切る。

ケッパーを散らして、マスタードを添える。


前回も書いているようだが、これがどうして
なかなか、今回もうまい、のである。

白ワインを入れている以外はたいしたものも
入っていない。

リエットというのは誰が作っても、
おおかたうまくいく、のかもしれない。

見た目はコンビーフのようなものではあるが、
むろん材料も違うが、随分とうまいものが
できる。

内儀(かみ)さんと二人、今日はワインを呑みながら
バケット一本分、リエットを塗って食べてしまった。






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