断腸亭料理日記2014

駅弁二種・千葉「潮干狩り弁当」

富山「ますのすし」

7月31日(木)

直江津、富山へ出張。

朝、上野から上越新幹線に乗って、
越後湯沢乗り換え、ほくほく線経由で
直江津、富山というルート。

昼飯はほくほく線の中で、と、考えた。

列車の中で売っている駅弁というのは
おおむね、ろくなものがない。

選択肢がないことをいいことに、
値段はそれなりに取るのだが、中は
いい加減な幕の内、ということがある。
(越後湯沢駅のものもイマイチではなかろうか。)

それで、今日は上野駅で買って乗ることにした。

上野駅の中央改札、緑の窓口の手前に
全国の駅弁を売っているところがあって
朝からやっている。

ここで物色。

潮干狩り弁当、850円也。

やはり駅弁はこのくらいの値段でなければ
いけなかろう。
どんなものかわからぬが買ってみよう。

ほくほく線に乗ってお昼近くなり弁当を取り出す。

万葉軒、私は初めだと思うが、千葉駅のもののようである。

開けると、こんな感じ。

炊き込みご飯の上に左側は蛤の煮たもの、
右は浅蜊の煮たもの。

蛤は甘辛で、浅蜊は生姜を利かせたさっぱりした
しょうゆ味。

おかずはひじきの煮たもの、
蕗、にんじん、白くて細かい包丁目が入っているのは
いか、で、ある。

高野豆腐の煮たのに、つくね。

いか、がなかなかうまい。

総じて、これら、ちょっと日本橋弁松
を思い出させるようなクラシックな料理でかつ、
味である。

この[万葉軒]というのは調べてみると、1928年、昭和3年の
創業のようで、なかなかの老舗のようである。

千葉なので、東京の古い味に近いのかもしれない。

私の口には合っている。

毎度思うのだが、駅弁というのは、
こういうものがよい、と、思うのである。

さて。

富山で仕事を終え、6時の「はくたか」に乗って
同じルートで帰る。

時間がなく、弁当を買えずに飛び乗った。

このため、車内販売。

まあ、とはいっても富山駅の駅弁は
駅で買っても、あまり選択肢は、ない。

車内販売は、大定番、ご存知の「ますのすし」。


この、大きなもの、1300円也、しかなかった。

ビールも一緒に。

駅弁というのは、皆さんご存知のように、各地のデパートで
駅弁祭、なるイベントが盛んに行われ、定番かつ大人気。
それで全国の駅弁が東京でも、ちょくちょく買えるように
なっている。

その中でも、この富山の「ますのすし」は
定番中の大定番で、安定した人気があるのであろう。

この竹の棒をゴムでとめて押した状態で
桶に入っているのもそれらしい。

「ますのすし」には細長くて小さい普通の
押しずしのようなものもあるが、やはり、
このサイズで丸い桶だと、いかにも富山の「ますのすし」
という顔をしている。

添付されているプラスチックのナイフで切って
しょうゆもなにもなしで、そのまま食べる。

しょうゆなどかけなくとも、これは十分にうまい。

やはり昔からの大定番の駅弁というのは、
うまいものである。

この一桶、すべて食べるのは、さすがに多かろう。
半分は残して、持ち帰ろうとも思っていた
のであるが、あまりにうまいので、結局
全部食べ切ってしまった。

量も量ではあるが、この顔、この味の弁当であれば
なにをかいわんや、大満足、で、ある。

さて、そんなこんなで昨今の駅弁のこと。

駅弁というのは、選択肢が少ないところで
買わなければいけないという、購入者からすると
かなり理不尽な環境が少なからずある。
それで酷(ひど)いと思う経験も多い。

駅弁で奇を衒う必要があろうか。
値段を上げるためにしているとしか思えない
ようなものも見受けられる。
(その上それが、たいしてうまくないときては、
目も当てられない。)

愉しみの旅行で列車に乗っているのであればまだしも、
仕事のための移動で利用している人間用に
7〜800円以内で実用的な弁当を用意しておくのは
公共交通機関である鉄道の責任ではなかろうか。

結局、昔からあるものだけで、いいじゃないか、
と、思えてくるのである。


 


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