断腸亭料理日記2014

日本橋室町・蕎麦・利休庵

その2

7月16日(水)夜

さて。

引き続き、日本橋室町。

昨日はこの界隈にあった、町年寄の三つの屋敷
のことを書いた。

江戸の町の中でも、400年前の開府以来
江戸の中心であり続けたのがこのあたり
ということになる。

この町には江戸から続く老舗をはじめ、まだまだ
住んでいる方々も多く、日本橋らしさを守り
進めようとしていもいる。

私の住む浅草にも浅草らしさを大切にしたい、
という思いを持つ人は多いが、日本橋は日本橋で
また違う、江戸の中心であった誇りを持っていることを
強く感じる。(比べると、やっぱり日本橋の方が
あか抜けているか。)

また、日本橋に青空を、問題で、ある。

以前から私もなん度も書いているが、
これは是非とも実現しなければいけない。

前向きであった小泉首相後、立ち消えになっていたようだが、
東京オリンピック決定の影響もあってか、この5月、
舛添知事も長期的には撤去、との発言をしたようである。

日本橋再開発を手掛ける、三井不動産もこの問題には
積極的に発言されていると聞く。
当地お膝元の三井の看板にかけてもこの姿勢は
続けていただきたいと思う。

江戸東京の中心である日本橋の頭の上に高架を通し
空が見えないというのは、東京で生まれ育った者として、
やっぱり『先祖の助六にすまなかろう』と、思うのである。

長々、書いてきてしまったが、
日本橋室町でなにか食べる、のであった。

食いものやがある三越と反対側の裏路地を
少しぶらぶらしてみることにした。
なにかピンとくる店が見つかるかもしれない、と。

それで見つけたのが、利休庵という蕎麦や。

実はこの店、以前にも一度だけだがふらっとみつけて、
入ったことがあり、また、うちの内儀(かみ)さんが
意外によくくる、というのを聞いていたのである。

場所は、ちょうど三越の本館と新館の間の通りの
三越と反対側。中央通りから通りに入って、一本目の
路地の先、左側。

地下から三階まである。

入ると、一階のテーブル席に案内される。

瓶ビールをもらい、肴はどんなものがあるのか、
品書きを見る。すると、意外に、割烹風の料理もある。

後で内儀さんに聞いてわかったが、ここは
ご飯もの、定食もあったり、また、接待用のコース料理も
あるような店でもあった。

なかなか、かゆいところに手が届く店である。

品書きの中で、気になったのは、穴子天の揚げ出し。

しかし、値段が書いていない。
お姐さんに聞くと、\2000とのこと。
まあいいか、頼もう。

時間が少しかかるとのことで、枝豆も。

ビールがきて、お通し。


切り昆布の酢の物である。

なんのことはない、結局、穴子と枝豆はほぼ同時にきた。


揚げ出しのつゆは透明。

なかなか、おつ、で、ある。

よい出汁で、うまい。

食べ終わり、呑み終わり、蕎麦。

蕎麦はなにかというと、ここでは決まっている。

ここのお客さんは意外に若い女性も多いようなのだが、
決まって頼むのは、納豆蕎麦。

ここにいる間にも、五つに三つは納豆、の声が聞こえていた。

やはりこれを頼んでみなければなるまい。

きたのが、これ。


冷たい、いわゆるぶっかけ。

蕎麦は更科系というのか、白っぽい。

たっぷりの納豆。
卵黄、もみ海苔、花かつお、かいわれ。

薬味にからしが添えられているのも、にくい。

これは全体をかき混ぜて食べるべきであろう。

納豆蕎麦、なんというと、江戸っ子蕎麦っ喰い的には
そんな田舎くさいもの、ということにもなろうが、
これが看板だけあって、どうしてなかなか、食べさせる、
のである。

うまいもんである。

腹一杯。

食べ終わり、入口脇にある帳場でお勘定。

ご主人であろうか、眼鏡に白髪の方。

ここの開店は昭和27年、というから、戦後で、
そう古くはない。

しかし、日本橋室町で、そうはいっても今年で62年。

なかなかよい店である。








利休庵



中央区日本橋室町1-12-16
03-3241-4006






 


 


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