断腸亭料理日記2014

團菊祭五月大歌舞伎 その1

5月6日(水)

さて。

連休最終日。

歌舞伎座での歌舞伎見物。

最終日になってしまったのは、
直前に取ったため。

今月は、團菊祭ということで、團十郎と
菊五郎にちなんだ演目ということのようである。

昼が「毛抜」「勧進帳」「魚屋宗五郎」。
夜は「矢の根」「極付幡随長兵衛」「春興鏡獅子」。

夜の部を選んだ。

選んだ理由は「極付幡随長兵衛」は観たことがなかったから。

今日も着物。

季節としては衣替え前なのでまだ袷(あわせ)。

今、気温の高い日であれば、絹物の袷は暑いと
思っていたが、今日は朝から曇天で肌寒く、
ちょうどよいくらい。

4時半開演であったのだが、ちょいと早く出てしまった。

銀座線で稲荷町から乗って、銀座で降りる。

今日の弁当は三越の地下でみてみることにした。

[今半]のすき焼き弁当と、日本橋[弁松]。

歌舞伎座の前で買うと木挽町[辨松]だが
三越の地下だと、日本橋[弁松]。




席は1階ほぼ中央。

まあまあ、で、あろう。

4時半、最初の演目「矢の根」の幕が開く。


ここで、演目と配役を書き出しておく。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

夜の部

一、歌舞伎十八番の内 矢の根(やのね)

   

曽我五郎 松 緑

大薩摩主膳太夫 権十郎

馬士畑右衛門 橘太郎

曽我十郎 田之助


二、極付幡随長兵衛(ばんずいちょうべえ)

「公平法問諍」

   

幡随院長兵衛 海老蔵

女房お時 時 蔵

唐犬権兵衛 松 緑

出尻清兵衛 男女蔵

極楽十三 亀三郎

雷重五郎 亀 寿

神田弥吉 萬太郎

小仏小平 巳之助

閻魔大助 尾上右近

笠森団六 男 寅

慢容上人 松之助

坂田公平 市 蔵

伊予守頼義 右之助

渡辺綱九郎 家 橘

近藤登之助 彦三郎

水野十郎左衛門 菊五郎


三、新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)

   

小姓弥生/獅子の精 菊之助


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

さて。

「矢の根」。

先に浮世絵から出してしまおう。



国貞「五節句之内」「端午」「七代目市川團十郎」

これが主役の曽我五郎。
今回は尾上松緑、三十九歳。

幕が開くと、上のような大仰な格好をした松緑が
大きな矢を持って、炬燵(こたつ)やぐらの上に座っている。

ただ持っているだけではなくて、研いでいるという恰好。

「矢の根」という芝居は、上にあるように「歌舞伎十八番」。

「歌舞伎十八番」というのは、幕末近くの七代目市川團十郎の
がまとめたもので、團十郎を主人公とする、市川宗家の家の芸、
である。

昼の部でやっている、歌舞伎の中でも最も有名な演目の一つと
思われる「勧進帳」があるが、これもその一つ。

今月は團菊祭ということでこれが掛かっているのであろう。

顔に施された派手な隈取(くまどり)に派手で大仰な衣装。
そして様式化されたいくつかの典型的な見得(みえ)を演じる。

これが市川家のお家芸の荒事(あらごと)と呼ばれる芸。

松緑は三十九歳で若手の部類、だが
押し出しもよく、よく演じていたと思われる。
(「矢の根」を演じるのは四度目のようである。)

松緑は役者としては口跡があまりよい方ではない
(滑舌がわるい)と思われるが、つらね、という、
聞かせどころの早口言葉のような部分も無難に
聞くことができたと思われる。

人(ニン)に合っているのかもしれない。

また、この手の芝居は大した筋もなく、セリフのおもしろさや
様式美をたのしめばよく、理屈もなく肩の力を抜いて、
みられてよいだろう。



つづく。



 


 


断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5 |

2004 リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10 |

2004 リスト11 | 2004 リスト12 |2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005 リスト15

2005 リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20 |

2005 リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006 6月

2006 7月 | 2006 8月 | 2006 9月 | 2006 10月 | 2006 11月 | 2006 12月

2007 1月 | 2007 2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月 | 2007 7月 |

2007 8月 | 2007 9月 | 2007 10月 | 2007 11月 | 2007 12月 | 2008 1月 | 2008 2月

2008 3月 | 2008 4月 | 2008 5月 | 2008 6月 | 2008 7月 | 2008 8月 | 2008 9月

2008 10月 | 2008 11月 | 2008 12月 | 2009 1月 | 2009 2月 | 2009 3月 | 2009 4月 |

2009 5月 | 2009 6月 | 2009 7月 | 2009 8月 | 2009 9月 | 2009 10月 | 2009 11月 | 2009 12月 |

2010 1月 | 2010 2月 | 2010 3月 | 2010 4月 | 2010 5月 | 2010 6月 | 2010 7月 |

2010 8月 | 2010 9月 | 2010 10月 | 2010 11月 | 2011 12月 | 2011 1月 | 2011 2月 |

2011 3月 | 2011 4月 | 2011 5月 | 2011 6月 | 2011 7月 | 2011 8月 | 2011 9月 |

2011 10月 | 2011 11月 | 2011 12月 | 2012 1月 | 2012 2月 | 2012 3月 | 2012 4月 |

2012 5月 | 2012 6月 | 2012 7月 | 2012 8月 | 2012 9月 | 2012 10月 | 2012 11月 |

2012 12月 | 2013 1月 | 2013 2月 | 2013 3月 | 2013 4月 | 2013 5月 | 2013 6月 |

2013 7月 | 2013 8月 | 2013 9月 | 2013 10月 | 2013 11月 | 2013 12月 | 2014 1月

2014 2月 | 2014 3月| 2014 4月| 2014 5月| 2014 6月| 2014 7月 | 2014 8月 | 2013 9月 |

2014 10月 |





BACK | NEXT |

(C)DANCHOUTEI 2014