断腸亭料理日記2014

浅草今半別館 その2

引き続き[浅草今半別館]。

数寄屋造りでもそうとうに凝った部屋での
すき焼きのコース。

担当のお姐さんがいうには、
この店でも、これだけ凝った部屋は
この部屋といくつかしかないらしい。

普通は空けてあるのか、直前の予約が
むしろ幸いしたようであった。

さて。

コースの二皿目。

先付。


無花果(いちじく)の白胡麻かけ、子持ち鮎甘露煮など。

食べ終わった頃、
いよいよ肉の登場。


この霜降り。

すばらしいではないか。

白ねぎに白滝、春菊、豆腐、えのきだけ。

白滝は細め。
白滝はやはり細めがよい。

お姐さんが作ってくれる。


煮えてきた、煮えてきた。

わくわく、で、ある。

玉子を溶いて、肉を取り、


玉子をくぐらせて、口に入れる。

ひゃぁ〜、これは堪らない。

この上の肉であれば、どんなものなのであろうか。

この上には、さらに、¥10,000、¥12,000、¥15,000とあって、
一番上は近江牛A5ランクのサーロイン・リブロース
だそうな。

しかしこれで、十二分、で、ある。

これが世界に冠たる、WAGYU、である。

これだけの霜降り肉を食べるのは久しぶり、で、ある。

WAGYUというくらいで、今は世界中に出回る
ようになっているが、これも一つのCool Japan
なのであろう。

しかし、考えてみれば不思議なもの、で、ある。

なぜ日本人はこんな牛肉を作ったのであろうか。

すき焼きのもとは、明治に入って獣食が本格的になり
大人気になった、牛鍋。

おそらくその頃の牛鍋に使った牛肉はこんな霜降り
ではなかったのでなかろうか。

新しいもので、人気にはなったが、やはり
今一つではなかったのか。

当時の牛鍋は、今でも東京にある桜鍋や猪鍋のように
しょうゆではなく(赤?)味噌であったようで
やはり匂いが気になったのであろう。
また、その後の霜降り牛の発展をみると
硬さも問題であったのかもしれない。

おそらく牛鍋が生まれた当初は食用の牛は
なかったはずで、農耕などに使っていた牛を食べていた。
とすれば、黒い和牛であっても、筋肉が発達して、
脂身は少ない硬いものではなかったのではなかろうか。

どうやって霜降り肉が出来上がってきたのか、
今度調べてみようか。

ともあれ。

ねぎは真っ白で太め。
千寿ねぎであろうか。

よく煮えてから、食べる。

味の染みた、細めの白滝もうまい。

内儀さんとともに、玉子をお替り。

うまい、うまい。

幸せ、で、ある。

と、箸休め。


生秋刀魚の三杯酢。
黄色いのは菊の花のよう。

さっぱりとして、脂っこいすき焼きにちょうどよい。

ご飯。


豆腐の吸い物に香の物。

水菓子は、お姐さんは“ありの実”といって
出してくれた、梨。

ご馳走様でした。

勘定をして、立つ。

廊下の向こう側は硝子戸で中庭。
その向こうは、やはり二階建ての別の棟。

あちらの方も、むろん有形文化財で、
天井に大きな鳳凰の彫り物などがある
大広間があるという。

そんなところで宴会でもやったら、愉しそうである。

ちょいと憧れるではないか。




今半別館

台東区浅草2-2-5
03-3841-2690





 


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