断腸亭料理日記2015

スパゲティー・カルボナーラ

8月22日(土)第一食

土曜日、第一食。

たまにはこういうものも書いてもよいか。

スパゲティー・カルボナーラ。

イタリア語では「spaghetti alla carbonara」。

イタリア語のcarbonaraは炭焼き職人で
諸説あるようだが、黒胡椒を炭に見立てたということか。

ともあれ、スパゲティー・カルボナーラ、
うまいもんである。

スパゲティー、あるいはパスタの中でも、
一、二を争うほど、うまいのではなかろうか。

材料は、スパゲティーと玉子、パルメザンチーズ、
それにベーコンがあればOKで、生クリームは、あってもなくとも
カルボナーラは成立する。

冷蔵庫にベーコンと玉子はまず、どこの家でもあろう。
したがっていつでも作れる。
その上、作り方を会得すれば、そう難しいものではない。

私の場合は、カルボナーラがあまりにも好きで
できるだけ作らないようにしているといってもよい。

まずは、スパゲティーを茹でる湯を大きな鍋に沸かす。

同時に、スライスベーコンを短冊に切る。

フライパンに油を敷き、油を出しながら炒める。
この油はイタリアのレシピでは、オリーブオイル
のことが多いが、私はサラダオイルを使う。

ボール(私は小さ目の丼)に全卵二個(一人分)を割りほぐす。
ここにパルメザンチーズ、粉のもの、どこの家庭にも
あろうが、クラフトなどのもの、を適量入れる。
これは目分量だが、多少多めか、と思うくらい入れた方がうまい。

(カルボナーラのイタリアでの本当のレシピでは、羊乳の
ペッコリーノチーズで、もっと正しくは、ローマ地方で作られる、
ペッコリーノ・ロマーノであるという。以前にイタリアへ行った際に、
シシリアのペッコリーノ・シシリアーノ(シシリアで作られるペッコリーノ。
シシリアーノもまがい物ではなく、きちんと認証されたものである。)
を買って帰ってきてカルボナーラを作ったがこれは脂分が多く、
かなりうまかった。日本ではペッコリーノはなかなか手に入らないし、
手に入ってもかなり高価である。)

そして、私の場合、ここにあらかじめ、粗挽きの
黒胡椒を入れておく。黒胡椒は、拙亭には
電動ミルがあるので、これで挽き入れる。

湯が沸いたら塩を入れ、スパゲティーを投入。

時間を計り、製品所定の茹で時間の少し前に一本取り出し、
茹で具合をみる。
いわゆるアルデンテを見計らい、火を止め、ざるにあける。

湯を切って、ベーコンのフライパンに投入。
さらに、丼に作っておいた玉子、パルメザンチーズ&
粗挽き黒胡椒のミックスを投入。
なぜミックスにしておくのかというと、ここの手際を
よくするため、で、ある。

一気に混ぜる。

混ざったら、様子を見ながらフライパンに点火。
ここからが難題。

熱をかけ、生の玉子&パルメザンチーズをトロっとした
クリーム状まで持っていく。(この時、玉子は固まるが
チーズは溶ける。同時に二つのことが起きるのである。)

これがなかなか簡単ではない。

熱をかけすぎると、あっという間に玉子は固まり、
スクランブルエッグになってしまう。

なん年か前にローマのバチカンに近いところにある
食堂で食べたが、ここのものはかなりこれに近かった。
(実際には、これでよかったと事情に詳しい友人に
諭された。世界中で玉子が生で食べられるのは
日本ぐらいのもの。海外の生玉子は実に危険とのこと。)

しかし、やはりクリーム状がうまいのは間違いない。

スパゲティーの茹で汁や、生クリームを入れて調整しながら
火を入れていくというのも一つの手であろう。

ベーコンを炒めてから、時間が経っているので、フライパンは
冷えており、ここから点火し、フライパン表面の温度の上昇を
手をかざし、そして目で確認しつつ、接地面の玉子がほんの少し
固まり始めたくらい、が、見極めどころ。

ここですぐさま火を止め、コンロからもフライパンを外す。
コンロにも予熱があるので、熱はさらに上がるのである。

そして、余熱で全体をよく混ぜる。

おそらくこのタイミングであれば、玉子が固まり、
パルメザンチーズは溶け、半生のクリーム状に
なる、と思われる。

書き忘れていたが、塩は一切入れない。
スパゲティーの茹で汁、ベーコン、パルメザンチーズにも
塩が入っているので、塩を別に入れる必要はない。

OK。

皿に盛りつけ、もう一度黒胡椒を挽きまぶす。

やはり黒胡椒もたっぷり入れるのがうまい。


生クリームは今日はなし。

だが、まあ思った通りの仕上がりにはなったであろう。
生クリームや茹で汁を入れていないので、クリームとしては
存在せず、スパゲティーの表面に絡んでいるという状態である。

これでも十分にうまい。

自分で作り始めたのはいつ頃であったか。
30才を越えたくらいであったか。

なん度も試行錯誤をして、今は100%失敗はしなくなった。

しかし、それにして、なぜ、カルボナーラは
こんなにもうまいのであろうか。

ほぼパルメザンチーズ(あるはペッコリーノ)と玉子の味だけ、である。

よほどの好相性なのであろうか。

例えば、オムレツにチーズを入れても同じようなものに
なるのかと思えば、そんなことは決してないだろう。
カルボナーラの味はカルボナーラでしかできないのでは
なかろうか。



 


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