断腸亭料理日記2015

神楽坂・うなぎ・志満金

2月23日(月)夜

さて。

うなぎ、で、ある。

日本うなぎの、レッドリスト登録で食べる機会は
個人的には随分と減っているが、やっぱりたまには
食べたくなる。

うなぎでも、食べるかぁ〜〜。

と、こういうことはやはり、ある。

にぎり鮨、天ぷら、これにうなぎ蒲焼を加えて、
江戸・東京発祥の食い物で。

京料理などとはまた違うが、世界に誇る
和食文化を一方で代表するものといってよろしかろう。

そして、私などにとっては故郷の伝統食である。

頻度が減ると行動範囲の中にある店になる。

元浅草の拙亭ご近所、徒歩3分の小島町[やしま]

そして牛込のオフィス近所の神楽坂[志満金]

この二軒。

冷たい雨の中、傘を差しオフィスから神楽坂方向に牛込の御徒町、
南町を抜けて新坂を降り、若宮町、左に曲がりさらに右。
だらだらと降りる右カーブの神楽坂の裏路地を降りて、
[志満金]の裏へ。

店に入り、一人といって、一階のテーブルに座る。

冬だからか、2月だからか、こんな季節だからか、
静かな店内。

うなぎの季節というのはやはり一般には夏なのであろう。
私の場合はいつでもよい。
冬などは特に、むしろ食べたい食い物ではある。

うな重はむろん食べるのだが、その前になにをつまむか、
道々考えてきたのは、肝煮。

肝焼きというとうなぎやでは、好きな人も多いし、
名物だったり、するところもあるが、どこにでも
いつもあるかというと、なかなかそうはいかないのだが、
ここには肝煮であれば、いつもメニューにある。

ビールはエビスの中瓶。

うな重は?。

ん!。

「東(間蒸し)5,616円」。

これ、前からあったろうか。

店によって呼び方は違うが、値段をみても、
飯の間にもダブルで蒲焼が入っているものであろう。

お姐さんに聞いてみると、やはりそのよう。

どうせだ。これにしよう!。

ビールと肝煮がきた。


佃煮のような甘辛煮であるが、さほど濃い味付けではない。

しょうがが香る。

うまいもんである。

肝をつまみながら、呑んでいると、きた。

紫色のお重。

お重のふたを開ける。


そして、山椒の器のふたを取り、青々とした山椒の粉を
お重の蒲焼の上に振る。

前にも書いていると思うが、このお重がきてから、
ふたを取り、山椒をふって、、、、といううな重を食べるまでの
一連の動作の時間というものは、なにものにも代えがたい
ちょっと大袈裟ではあるが、いとおしく思う。

うな重を食べる前の大切な儀式というのであろうか。

箸を入れる。

おお、やっぱり(あたりまえだが)中にも蒲焼。

これも幸せ。

これ以上の幸せはないかもしれぬ。

食べかけであるが間にはさまった蒲焼。


やはり、このうなぎ蒲焼が思うさま食べられなくなってしまうというのは
なんとしても、避けねばならなかろう。
全力を挙げて。

東京の大切な大切な、伝統食文化である。

やはり、東京都も保護活動や人工ふ化、などに
一肌脱いでしかるべきであろう。

うまかった、うまかった。

ここの家は、抹茶が出る。

ガラにもなく、優雅な時間である。



ご馳走様でした。

おいしかったです。



志満金


 


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