断腸亭料理日記2015

人形町・ピッツア ダ バッボ

3月1日(日)夜

さて。

日曜日。

毎週のことだが、夜、なにを食べようか、
内儀(かみ)さんと相談することになる。

近所の浅草界隈、あるいは上野方面が先にくるのだが
今日はなかなか決まらない。
少し寒いので、ふぐでもと思ったのだが、
目当ての店が、一杯とのこと。

困って、鍋ではなく、内儀さんが希望をしていた
ピッツァで探してみた。

ピッツァも日曜の夜にやっているところ、浅草などでもあるのだが、
私自身、あまりフリークというわけではないので、
これというところは、思い浮かばない。

そこでまたまた、例のグルメ本(サイト)で調べて
人形町の[ピッツア ダ バッボ]というところを見つけた。

むろん知らないところ。

浅草などでは地元民も多いので、日曜の夜も開けている
店は少なくないのだが、人形町などでは珍しいのでは
なかろうか。

6時半に予約を入れる。

今日は雨が激しい。

元浅草の拙亭からだと、仲御徒町まで歩いて日比谷線
ということになる。

ただ地下鉄に乗ってしまうと、岩本町、小伝馬町、人形町で
すぐである。
(拙亭から人形町までは自転車でも行ける距離ではある。)

場所は甘酒横丁。
人形町通りの交差点からすぐのところ。

甘酒横丁はむろんなん度も歩いているが、ここに
こんな店があるのは知らなかった。

浜町に向かって左側。志乃多寿司の先。

ちょっと洒落た、古風というのか
石造りのような、いかにもイタリアンな店構え。

入って名前をいうと、奥のテーブルに通される。

目に付くところに焼窯がある。

日曜の夜であるが、もう既ににぎわっている。

座って、オーダー。

前菜を少しと、ピッツァを二枚頼もう。

まずは生ビール。

パンとビールが運ばれる。

お通しのようなものはブロッコリーのムースと
いっていた。

前菜は、レバーのムースと、ムール貝と浅蜊のワイン蒸し。
ピッツァは、オーソドックスなマルガリータと、サルシッチャ。

サルシッチャというのは、イタリアのソーセージだが
これをほぐしてのせ、最大の特徴は半熟玉子がのること。
以前にどこかで食べたことがある。

レバーのペースト。


ムール貝と浅蜊。


どちらも凝っているわけではないが、うまい。

ビールから白ワインにかえて、いよいよピッツァの登場。

マルガリータから。


ふちがふくらみ、真ん丸ではなくちょっと凸凹している。

中心の生地はごく薄い。

そしてなによりの特徴は薪の香りのすること。

やはり、ナポリ風ということなのであろうか。

イタリアンの店でピッツァを看板にしているところでも
この香りがするところとそうでないところがあるように
思われる。

ピッツァそのものが、イタリアでもナポリが発祥と聞くが、
私自身、ナポリにはいったことはなく、従ってナポリの
ピッツァがどんなものなのかはわからないのだが。

うまいもんである。

サルシッチャ


半熟というよりは、生玉子に近いくらい。

これもまた、うまい。

昨日(3/2)であったかNHKの「世界ふれあい街歩き」でちょうど
ナポリをやっていた。(再放送)
ナポリの庶民の街で、ピッツァも庶民の気取らない食い物。
形も、ちょうどこんな感じのふちが凸凹したもので、
やっぱり薪で焼いていたのも写っていた。

なんだかナポリへ行ったみたくなった。

ともあれ。

ここのピッツァ、本当にナポリ風なのかどうかは
そんなわけで私にはわからないが、食べた限りは素人ながら、
評判通りなかなかのものだと思われる。

薪の香りというのも独特で、多少のコゲくささというのか
生木(なまき)が燃えた時の香り。

ピッツァなのかピザなのか、は、世界中にあって、
特にアメリカ人はかなりよく食べている。

日本へもおそらく戦後、当初は、そのアメリカ経由で
入ってきたのであろう。

ぶ厚い生地もまあ、それなりに食べられるが、
やはり食い物としての洗練度というのか、完成度は
段違いである。
(なにもアメリカに限らず、イタリアでもローマのスーパーなどで
買ったものは、ぶ厚い生地であった。)

おそらく短時間で生地を伸ばし、ソースを塗り、
具をのせ、焼くのも数分。これでこのうまいピッツァが
出来上がる。

職人技といってよいのであろう。
そして、例えばうまいにぎりの鮨が持っている、芸術性に近いものも
このピッツァからは同じように感じられるのである。

 



 

ダ バッボ

 





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