断腸亭料理日記2016

米沢・駅弁・牛肉どまん中

4月22日(金)夕

さて、金曜。

山形出張。

朝一の「つばさ」に乗って、さくらんぼ東根。
およそ三時間。

山形新幹線というのは、仙台行きの東北新幹線「やまびこ」と
連結し、「つばさ」は福島までは東北新幹線の線路を走る。
列車の名前は上野駅などで「やまびこ・つばさ」と表記される。

「やまびこ・つばさ」は福島で切り離し、
山形新幹線の「つばさ」は福島からは在来線の狭軌の線路に入る。
米沢までは峠越え。
冬はいつも雪の中。

峠を越えて、米沢盆地。

さすがに雪はもうなく、
車窓からは桜が咲いているのも見える。

狭い米沢盆地をすぎると再び山の中へ。
またまた峠を越えて、山形盆地へ。

山形盆地というのは南北に細長く、真北に向かって
走る。上山温泉、山形。その先が将棋の駒で有名な天童。
その次がさくらんぼ東根。

東根というのが市の名前で、東根市は
さくらんぼの生産量、全国一という。
車窓からも見えていたが、こちらも花盛り。

小さな駅を降りると、駅のロータリーにも
さくらんぼの木が植えられており、満開。

さくらんぼというくらいで、桜の仲間なのであろうが、
花は純白に近い。

時折、農家からの盗難が報道がされることがあるが、
超高級品種の佐藤錦は大正時代に東根で生まれているらしい。

さくらんぼの白い花に混じって、濃いピンクの花が咲いている畑も見える。
これは桃であろうか。

薄曇りだが時折陽も刺す天気。

関東地方では桜花の季節から、既に新緑に変わってきているが
暑くもなく、寒くもない、さわやかで、まったくよい心持ち
で、ある。

AMが東根で昼から天童へ移動。

帰りは山形駅からふたたび「つばさ」。
4時前に乗る。
上野着は6時半の予定。

かみのやま温泉をすぎて、米沢。

「つばさ」の車内販売では有名駅弁、
「牛肉どまんなか」が買える。

米沢駅で新しいものが積み込まれ、
車内放送でもこれが伝えられる。

売り子のおねえさんが、ワゴンではなく、
白いビニール袋に入れたたくさんの「牛肉どまんなか」だけを下げて、
車中を売って歩く。

まだ夕方。

買おうか買うまいか、迷う。

迷っているうちに、おねえさんは行ってしまった。

あっ。

戻ってきた。

え〜い。

ままよ。

食べよう。

米沢駅名物駅弁「牛肉どまんなか」、
1,150円也。

おねえさんを呼び止めて、購入。


駅弁で1,150円は高価格のグループに
入ると思うが、牛肉の、それも和牛の弁当とすれば、
必ずしも高くはなかろう。

開ける。


ほのかに、温かい。
やはり、米沢駅で積み込まれたからであろう。

牛肉は、スライスとそぼろの二種類。

おかずは小さな里芋、にんじんの煮もの。
昆布巻き、蒲鉾、玉子焼き、大根の桜漬け。

この牛肉が、絶妙にうまいのである。
しょうゆの甘辛であるが、甘すぎず、辛すぎず。
牛肉弁当というのは駅弁でも数多くあると思うが、
この味は群を抜いている。

東京駅の駅弁店でNo.1になったこともあるようだが、
単なる話題性ではなく、実のある人気であろう。

今日のは少しまだ温かいが、
この牛肉は、冷めても、脂が固まったりせずに、
うまい。

山形新幹線に乗った帰り道、
ついつい買ってしまう「牛肉どまんなか」ではある。

さて、蛇足ではあるが、、

この駅弁の「どまんなか」という言葉は
以前から気になっていたのである。
なにかといえば「どまんなか」は関西弁。
山形なのに、である。

「ど」はもともとは関西で使われていた強めの接頭語。
どでかい、ど根性、どあほう、ど助平、、、。
皆、関西弁で、まあ、品はあまりよろしくはないのか。

しかし「どまんなか」を含め、
今では東京を含めて全国的に
みんなで使っている言葉になっているのであろう。

元々「どまんなか」は「はえぬき」と並んで
山形県産のブランド米の名前での「牛肉どまんなか」には
この米を使っており、語感もよいのでそのまま
駅弁のネーミングにしたという。

うまい駅弁であるが、やっぱりちょっと
この名前は、今でもちょっと引っかかる。




新杵屋






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