断腸亭料理日記2016

上野・餃子・昇龍

7月10日(日)夜

日曜日。

今日は、なにを食べようか。

暑くなると、辛いものなのだが、もう一つ。
そう、やっぱり餃子。

餃子でビール。

夏でなくとも、餃子はうまい、のであるが、
やっぱり、この季節に食べたくなる。

むろん、焼餃子。

餃子がきらいな人、というのもそうは
あるまいが、餃子フリークという人もいる。

私は目がないというほどではない。

自分で作るのであれば、焼餃子ではなく、
一応、野菜は入れない中華のオーソドックスな
点心系のレシピで、水餃子か蒸餃子を作る。

これはこれで手間はかかる。
焼餃子とは全く違ったものであるが、
うまい。

なぜであろうか。

中国では圧倒的に、焼餃子ではなく
水餃子が一般的であるのに、
日本にはほぼ焼餃子しかないのであろうか。

むろん、皆さん水餃子を知らないわけではなかろう。

昔からの中華料理店や、最近の点心店でも
水餃子はある。

日本の焼餃子の起源は、戦後、満州からの
引揚者達が広めたといわれている。

例えば、宇都宮、浜松が今、餃子の街として
覇を競っている。

この理由は、この二地方が、戦争後、
引揚者が多く集まったから、という説を
聞いたことがある。

栃木県の北部、那須地方に多くの引揚者が
開拓民として入った。
また静岡県の三方原台地にも多くの引揚者が
同様に入植している。
これが理由である、と。

引揚者がこの二つ地域に入ったというのは
歴史的には事実であるようで、宇都宮、
浜松が餃子の街になった理由として、
あながち、見当違いではないのかもしれぬ。

東京だと、ちょっと有名な餃子店が数軒ある
蒲田、なんというところが思い浮かぶ。
ここは引揚者が多かったのか?。
まあ、これはあてにはならなかろう。

ともかくも、満州引揚者と焼餃子。

いや、水餃子や蒸餃子ではなく、なぜ
焼餃子がここまで日本人に定着したのか、
で、あった。

本格中華点心系で早くに定着していたのは
水餃子ではなくやはり焼売であろう。

ただ、これは家庭では作らない。

なぜか?。

レシピをご存知の方はおわかりになろうが、
本格点心の餡というのは、野菜なしの、
ほぼ豚肉、なのである。

ここがポイントではなかろうか。

焼餃子にはたくさんの葉物野菜を入れる。
肉は少なくともよい。

つまり、安くできる。
こういうことなのではなかろうか。

安くて腹にたまる。
(まずい餃子というのも存在するが、
コツを知っていれば、家庭でもうまいものが
できる。)

こんなことだったのではなかろうか。

考察になっているようで、なっていないかも
しれぬが、ともかくも[昇龍]であった。

私が焼餃子が食べたくなると、ここに決めている。

賛否両論あろう。

店がきたない。
ジューシーではない。

まあ、否定はしないが、私はうまい餃子の
部類に入ると思うし、なにより大きいのが
気に入っているのである。

界隈では千束の[末っ子]も有名で、うまい餃子
だとは思うのだが、やっぱり大きいものに
軍配を上げてしまう。

大きいので皮も厚めで、モチモチしているものよいし、
なにしろ、ガツンと腹にたまるのが、よいのである。

夕方、内儀(かみ)さんと自転車で出かける。

旧小島小学校で投票をして、
アメ横付近、海苔やのガード。

近くのパチンコや前に自転車をとめて[昇龍]へ。

きてみると、ほぼ満席だが、二人というと、
いつもの太ったお姐さんが、奥、どうぞ〜、と。

瓶ビール、ここはなぜかサッポロラガー。

焼いているローテンションの狭間だと、
少し待つということがある。

有線の歌謡曲が流れている。

リクエストのチャンネルであろうか。
選曲がメチャクチャでおもしろい。
北島三郎・函館の人、金田たつえ・花街の母、
かと思うと、森進一・冬のリビエラ、
河合奈保子・けんかをやめて、、、

と、きた。



やっぱり[昇龍]の餃子、うまいわ。





03-3832-0847
台東区上野6-10-14



 

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