断腸亭料理日記2016

浅草・洋食・ヨシカミ

11月29日(火)夜

夜。

なぜか、かなり久しぶりであるが、
浅草の洋食[ヨシカミ]。

五反田にオフィスが変ったからであろうか。

市谷に勤務していたときには、途中にめぼしい洋食やがなく、
一度戻ってきて、ヨシカミまで行っていた。

五反田だと、五反田にも洋食やがあるし、
都営浅草線で途中下車をすれば洋食やは
日本橋や人形町にたくさんある。

9時すぎ、ちょっと遅い時刻。

少しずつかわりつつあるのかもしれぬが、
基本浅草というのは夜が早い。
なん軒かある洋食やもその例に漏れない。

しかし[ヨシカミ]は10時半ラストオーダー。
これはありがたい。

さすがにこのくらいだと、六区界隈に外人観光客も
そう多くはない。

明治、大正、昭和。
寄席、芝居小屋、軽演劇、オペラ、映画館等々、
浅草の最盛期はもちろんこんなものではなかったのであろう。

新宿、渋谷、六本木、等々、夜遅くても
ごった返しているのが東京の盛り場、で、ある。

浅草も早仕舞いから夜も大にぎわいの街に戻るのが
願うべきことなのかもしれぬ。
そうすると、まだまだ、もっともっと。

単なる観光客相手の、下町の大きなお寺のある
古い、ちょっと和風チックな街。
本当の意味で東京の盛り場として盛り返すには
これだけでは、むろんいけない。

昼の下町ツアーだけでなく、夜も若い人が
こぞって遊びにくる街でなければ。
やっぱり、そういう要素は随分と足りていない。
まだまだ、である。

ともあれ。

あいてます、と書かれた[ヨシカミ]のドアを開けて入る。

入ると、カウンターの左端へ案内される。

ビールをもらう。

ここへくると、私は、ほぼ頼むものは決まっている。

ご愛読をいただいている方は先刻ご承知であろうが、
そう、チキンライス。

私はここをチキンライスやに、してしまっている。

チキンライスが好物であるというのもあるし、
ここのものがうまい、ということもある。

それから、メインも。

今日は、なにか目先の違ったもの。

揚げ物系?カツレツ、クリームコロッケ?。

肉系?、ステーキ?。
洋食やには、必ずステーキ、ビフテキ?はある。
ここのメニューの目立つところにも掲げられている。
池波先生などは、意外にビフテキを洋食やで
食べておられたようではある。

安くはないが、一度、食べてみてもよいが、
今日は、定番、ハンバーグにしてみようか。

私が注文をいうと、店の符丁で厨房内に伝わる。
(チキンライスはチキラー、ハンバーグは、、忘れた。)

とたんに、奥の方でハンバーグの生地をパンパンと
手で叩く音が聞こえる。

こんなところがこの店の小気味のよいところ。

チキンライスからきた。

いつもの濃いめの味。

かわらずうまい。

そして、ハンバーグ。

デミグラスソースたっぷり。

ナイフを入れると、ジュワっと肉汁。

今、ハンバーグというと、粗挽きのものが流行りだと
思われるが、ちゃんと挽いたものである。

うまい。

ハンバーグというのは、今の東京の洋食やには老舗も含めて
必ずあるメニューであるが、やはり戦後のものなのであろうか。

広めたのは、かの帝国ホテルの村上シェフであったはず。
[ヨシカミ]の創業は戦後すぐの1951年(昭和26年)。
とすると当時はまだなかったのか。

ちなみに、今の帝国ホテル、パークサイドダイナーの
ハンバーグステーキは、平たくはなく、
コロッとして厚みがあって、粗挽き。

帝国ホテルが昔からそうだったのか、変わったのか。

[ヨシカミ]のちゃんと挽いたものはおそらく
以前からこの形なのであろう。

そして、デミグラスソース。
こくはあるがクセや苦味なども少なく、
さっぱり系というところか。
やはり、白いご飯に合う味であろう。


うまかった。

腹一杯。

ご馳走様でした。

やっぱり、たまにはここにもこなければ。

 

 

ヨシカミ


 



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