断腸亭料理日記2016

上野公園・中国料理・旦妃楼飯店

10月1日(土)昼

さて。

土曜日。

例によって、不忍池。

昼飯を食おうと考えて、今日思い付いたのは
[旦妃楼飯店]という中国料理。

この名前にピンとくる方は、そう多くはないのであるまいか。
私も、名前を確認したのは今回。

上野の山、上野公園というのは、東京都の持ち物である。
つまり都営の公園。

この都営公園内に民間の飲食店というのはそう多くはないが、
存在はしている。

どういう扱いになっているのか、詳しくは知らないが
今であれば、入札かなにかするのであろうか。

最も有名なのは[精養軒]で、あろう。ま

その昔、明治になって、新政府は旧幕時代の幕府縁(ゆかり)の
東叡山寛永寺から取り上げ、国営、天皇陛下のもの、
ということにした。

その後、東京市に下賜されたので、恩賜上野公園という。
その明治の頃、かの鹿鳴館ができる前に、列強各国の
公使達を読んで、西洋風の舞踏会を開く目的で建てられたのが
[精養軒]である。

民間の西洋料理やであるが、国策で開業したわけである。

探してみると、上野公園内にはいろいろなものがある。
動物園門前の子供用遊園地。
上野東照宮鳥居前の、カレーそうめんなる妙なメニューで
少し名が知られた、茶店のようなところ、名前は売店であったか。
(こんなところはどういう経緯で店開きしたのであろうか。)

そして、今日の[旦妃楼飯店]。
どこにあるのか、お分かりであろうか。

おそらくこれを読んでいる方は、東京の方でなくとも、
一度は付近を歩いたことがあるはずである。
上野公園で最も有名な場所。

どこか?。

そう。

西郷さんの銅像前。いや、前ならば、崖の下になってしまう。
脇か。

そう大きな建物ではないが、鉄筋コンクリートのもの。
ここに今はカフェのような店と、中国料理店が入っている。
それが[旦妃楼飯店]。
ダンヒロウと読むよう。

実は、有名シェフがいるので、もっと名が知られていても
不思議はないように思うのだが、そこまで有名ではないのだろう。

店を開いたのは平成元年のよう。

その有名シェフというのは、田俊料理長という人。
この人が台湾から来日したのが1999年。

台湾で料理人のコンテストで賞も取っている人で、
鳴り物入りでの来日であったようである。

したがって、安くない。
高級中華といってよろしかろう。
上海料理をベースにしたヌーベルシノワを謳っている。

私とすればご近所なので一度はきてみなければ、という
課題の店ではあったのである。

[旦妃楼]は建物の二階。
そう建物自体大きなものではないので、店もそう広くはない。

ランチセットが1600円也。

三つのバリエーションの中からこれをチョイス。
・海鮮入りあんかけ汁ソバ
・チャーシューパイ
・サラダ
・デザート・コーヒー

テーブルに座るとすぐにお茶のポットが運ばれる。

生ビールをもらう。

ほどなく、きた。

あんかけ汁そばとあるが、なぜかあんと汁そばが
別々になっている。

お好みで、かけても、別々にお召し上がりになっても
OKです、とのこと。

一先ず、別々に食べてみる。

麺の方。
見た通り細麺だがかなり腰がある。
中華で、乾麺で海老を練り込んだものがあるが、あんな感じの
食感である。
スープは見た通りの澄んだもので、深いうま味。

あんかけの方。
これも白菜など火の通り具合が絶妙。
さすがに、町の中華やとは雲泥の差である。
いか、かに、海老などにも丁寧な仕事がしてある。

ただ、別々に食べると、双方ともに味が薄い。
(味というのは塩味のことである。)

最初からかけてくれればよいのに、と思うが、
こういう出し方にした方がもったいぶった感じ?
なにかありがた味がありそうに見えるのであろう。

かけて食べる。


どちらも薄味なのでバランスはよいし、やはり
こうして食べるのが、ベストであろう。

食べ終わり、デザート。

杏仁豆腐とコーヒー。

杏仁豆腐はまあ、普通のもの、であろう。

うまかった、ご馳走様でした。

会計をして、出る。

とても上品で上質ではあったのだが、なんとなく腑に落ちない、
感じが残る。

口コミサイトの評判をみても、そういう声がちらほら。
なにかといえば、高すぎる、上品すぎる、上野らしくない、、。

まあ、簡単にいってしまえば、そう思うのなら、
こなければよい、ということでお仕舞ではある。

ちょっと思い出したのが、我々もよく行く、浅草橋の[馥香(フーシャン)]

あそこもヌーベルシノワ。

こういうところは、やはり、ランチなどではなく、コースを食べねば
よさは分からないような気もする。

先のコメントの、上野らしくない、は、私もある程度は同意する。

ただ、緑豊かで、美術館があり、芸大があり、東大も近い。
これも実に、上野の一側面ではある。

一方で、アメ横をはじめ、長いこと東北日本への
玄関口であったわけだし、アジア系を中心に様々な国の
人々がおり、まさにカオス。

この店は、上野は上野でも、後者ではなく前者なのである。

後者ばかりが上野ではない、ということも忘れてはいけない。

今度、コースを食べにこよう。







旦妃楼飯店



台東区上野公園1-59
03-3828-5571



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